日本でも是非真似して欲しいフランチャイズ同士の“親善賭け”

突然ですが、これ誰が何してるのか分かりますか?分かったらかなりのアメフトオタクです。


実はこの人、ピッツバーグの市長さんで、「ティーボーイング」(Tebowing)しているところです。

このTebowingは今年アメリカで社会現象になっているものなのですが、敬虔なクリスチャンであるデンバー・ブロンコスQBのティム・ティーボウ(Tim Tebow)が事あるごとに神に祈りを捧げることから、その真似をし出したのが始まりです。

ティーボウは大学時代は最優秀選手賞(ハインズマン賞)を獲得するなど活躍したのですが、パスが苦手で、高いパス能力を求められるNFLでは成功しないんじゃないかと言われていた選手です。今シーズンも開幕当初から控えだったのですが、先発したQBが結果を残せず、ブロンコスが藁にもすがる思いで?彼をランニングQBとして先発起用したところ、そこから神がかり的な快進撃が始まり、プレーオフ出場を決めてしまいました。

当初は、冴えないパスを投げるティーボウを揶揄するような形でこれが始まったのですが、ブロンコスの快進撃が始まるや、いつの間にか「不可能を可能にする儀式」のようなイメージにイメチェンしてしまったんですね。Tebowingでググってみると、無数の写真が出てきます。

で、冒頭の写真の話に戻ると、PO1回戦でブロンコスがピッツバーグ・スティーラーズと対戦したのですが、その際ピッツバーグの市長が「もしスティーラーズが負けたらティーボウのユニフォームを着てティーボーイングする」と大見得を切ったんですね。下馬評でも強豪スティーラーズが有利とする向きが多かったのですが、結果的には大アップセットを食らって負けてしまい、市長は公然の前で辱め?を受けるハメになってしまいました。それがあの写真というわけです。

実は、アメリカではここ一番の試合の前でフランチャイズの市長同士が親善賭け(friendly wager)をするというのが定番になっています。

例えば、先週末のジャイアンツ対パッカーズ戦でも、NY市長とグリーンベイ市長が「負けた方が勝った方にチーズケーキを奢る」という賭けを行っていました。これは、NYがチーズケーキで有名なことと、グリーンベイがチーズの名産地として有名な点から地域振興も兼ねてやっているんですね。

こういう賭けなら誰も損しません。スポーツは都市と都市のプライドの戦いですから、市長が率先してプライドを賭けて戦うというのは、1)地元特産品のPRにもなりますし、2)ファンも一層熱狂できますし、3)市長の人気も高まるでしょうから、いいこと尽くしです。こういうことは是非日本でも真似して欲しいところです。「市長が賭けだなんて、青少年の健全育成に良くない」なんて野暮なことを言う人はいません。楽しむところは目一杯楽しむ。これがアメリカ流です。

例えば、昨年の日本シリーズで福岡と名古屋の市長が、「ドラゴンズが勝ったら福岡市長が名古屋できしめんを、ホークスが勝ったら名古屋市長が福岡で明太子をPRする」なんて賭けてたら一層盛り上がったかもしれません。

さて、パッカーズを撃破したジャイアンツですが、今週末はサンフランシスコ49ersとNFC決勝です。既に、市長同士の賭けも決まっているようですね。

今回は、もし49ersが勝ったらマンハッタンの49th Streetのタイムズスクエアの一角を「49ers Street」に改名してサンフランシスコ市長にNY名物のベーグルを1ダース贈る、もしジャイアンツが勝ったらサンフランシスコ名物の路面電車にジャイアンツのフラッグを取り付け、名産のサワードウパンをNYに贈る、という内容になっています。さて、どういう結果になりますか。

49th Stが49ers Stになるなんてことは、ニューヨーカーとしては絶対に許すことはできないことですね。上手く地域振興を図りながらファンも巻き込んで楽しんでしまうのは、素晴らしいアイデアだと思います。
category:- | comments(1) | trackbacks(0)

MLBが推進する国際ドラフト構想のインパクト(中)

日経ビジネスに最新コラムがアップされました。日経ビジネスへの寄稿も早いもので5年目になりました。いつもご愛読ありがとうございます。今年もまた様々なご意見・ご批判を賜れればと思います。

さて、年をまたいでしまいましたが、MLBの国際ドラフトに関するコラムの続編です。今回は、日米の移籍ルートにどのような影響を与え得るのかを少し具体的に考えてみました。

国際ドラフトは、海外選手を一律に「新人選手」としてドラフトにかけてしまおうとする発想なので、日本のようにプロ野球のレベルが高い国にとっては、様々な不整合が生じてしまいます。コラムでは、仮に世界ドラフトがそのまま日本球界に適用された場合どのようなシナリオが考えられるのかを、1つの思考実験として提示してみました。

日本球界にはある程度日米の利害を調整した形で最終的に導入されることになるとは思いますが、その際にはどのような点に配慮すべきなのかを考えてみました。

=====================================
■MLBが推進する国際ドラフト構想のインパクト(中)
 〜移籍制度の抜本的な見直しを迫られる日本球界

 読者の皆様、明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。

 2012年も引き続き米国から最新のスポーツビジネス情報をお届けしたいと思います。私は日本のスポーツ界を健全に発展させる一助になりたいと願う者です。私のコラムが参考情報として、あるいは反面教師として少しでも皆様の創造性を刺激する“考える糧”になることができれば幸いです。

 さて、年をまたいでしまいましたが、MLBが推進する国際ドラフト構想に関するコラムの続編です。前回、私が伝えたかったメッセージを一言で言えば、「MLBが推進する国際ドラフト構想は日米間の選手移籍に大きなインパクトを与え得るもので、その動向を注視した方がよい」というものでした。特に、昨年締結された新労使協定に盛り込まれた世界ドラフトへの布石とも言える動きについては、ほとんど日本では報じられていなかったこともあり、警鐘の意味も込めてその背景等も含めてお伝えしました。

 今回のコラムでは、実際に世界ドラフトが実施された場合、日米間の選手移籍にどのような影響が出る可能性があるのかを、もう少し具体的に考えてみようと思います。米国でも、昨年12月に世界ドラフトのあり方を協議する「国際タレント委員会」が立ちあがったばかりでまだ暗中模索の状況ですが、1つの思考実験として捉えて頂ければと思います。

 現在、日本人トップ選手の日本球界から米球界への主な移籍ルートとしては、日本野球機構(NPB)を経て移籍する【ステップアップ移籍】と、高校・大学・社会人野球などのアマチュア球界からNPBを経ずに移籍する【ストレート移籍】の2つに大別できます(話を簡単にするために、トップ選手を前提として進めます)。

(続きはこちら
=====================================
category:MLB | comments(0) | trackbacks(0)

年初、グローバル化の潮目に思ったこと

明けましておめでとうございます。

と言っても、年が明けてボヤボヤしていたら、あっという間に16日も経ってしまいました。歳を取るにつれ、1年1日が人生に占める比率がどんどん小さくなって行きます。時が流れるのが早いはずです。

年始に1年振りに休暇を取って5日ほどゆっくりしたのですが、いつもは目先の仕事で短視眼的になりがちなので、ここは思いっきり長いスパンでモノを考えてみようと思い、ブックオフで目についた書籍を片っ端から買い込んで休暇先で読んでいました。

人類の営みは、何千年も前の太古の昔から今に至るまで脈々と続いてきているわけです。その中で、今自分が当然と思っている人生の在り方は、実はこれまで続いてきた変化の一断面に過ぎず、今当たり前と思っているルールは、未来の常識ではないのではないかと思います。古くは農業革命が起こり、次いで産業革命が起こり、現在の資本主義社会の基礎が築かれました。

しかし、よく考えれば日本で産業革命が起こってからまだ100年程度しか経っていませんし、規格大量生産を前提とした大企業牽引型のサラリーマン社会ができてから40年程度しか経っていません。長い人類の営みから見ると、こうしたスタイルは歴史のほんの“一瞬”に過ぎないのではないかと感じます。

そして、一人の人間の人生という現実的なスパンから見ても、今は大きな時代の潮目にいるような気がします。つまり、自分が生きているうちに、社会が目に見えて変化していくように思えるのです。それが、よく言われる「グローバル化」なのだと思います。

では、グローバル化って何?って考えたときに、堺屋太一さんが著書の中で面白いことを言っていました。「国際化とグローバル化は違う」というのです。つまり、国際化(Inter-Nationalization)は読んで字のごとく「国家と国家の間」という意味で、前提として国家の存在が肯定されます。しかし、グローバル化(Globalization)は「地球(Globe)になる」ということですから、国家の存在は前提とされていません。なるほどな、と思いました。

その意味では、国際化は明治維新の時から始まり、既に150年程度の歴史があるということになります。一方、グローバル化が始まったのは、インターネットが世に出現し、新興国の経済成長が始まったここ10年くらいの比較的新しい出来事ということになります。

個人的には、グローバル化の時代には「金銭的・情報的独立の確保」「“個の論理”に慣れる」「損得と好き嫌いのバランス」の3つが重要になってくるように思います。

国家の存在が前提とされないグローバル化の時代には、国や企業という組織を当てにして生きるスタイルは逆にリスクを伴う可能性が高くなるかもしれません。「お上意識」はあまり強く持たないほうが良いのかもしれません。昨年の日本で、こうした兆候を裏付けるような出来事がいくつも起こったように思います。

その1つの例が、震災を機にした政府の対応だったり、マスコミの報道だったりします。あの経験が、(自覚的・意図的かは別にして)政府や企業が切羽詰ったら国民に平気で嘘をつく時がある、マスコミも真実を報道しない時があるということをまざまざと思い知ったわけです。国債を連発して未来の世代に借金を押し付ける財政問題も、年金問題もそうでしょう。国を信じていたら大丈夫、と心から言える人は今どれくらいいるのでしょうか?

もちろん、こうした問題に無関心になって当事者性を失ってはいけませんが、グローバル社会の中のリスク管理として、個人の幸福を確保するためには、金銭的・情報的独立をある程度確保しておくことが重要になってくると思います。言い換えれば、特定のところとの金銭的・情報的依存関係を作らないということです。

「金銭的独立」というのは、何も独立して起業することを奨励しているわけではなく、例え企業に勤めていてもコモディティ(代替可能な人材)にならないようにスキルを磨いたり、転職して所属する産業を変えることでグローバル化の波に飲まれてパージされないように気を配ることも可能です。

これから就職を控えている大学生なら、少なくとも自分が所属しようする産業や会社がどうグローバル化の影響を受けるかは、大学生のうちから考えておかないと、後から悲惨な思いをすることなるかもしれません。就職ランキングに惑わされてはいけません。「フラット化する社会」や「ハイコンセプト」位は分からないながらも読んでおいたほうがいいかもしれません。

「情報的独立」は、マスコミ報道を鵜呑みにするのではなく、常に批判精神を持って情報に対峙するということでしょう。要は、「用意される正解」を待つのではなく、自分で正解を考える態度を身につけるということです。

これから日本も否応なくグローバル化の波に飲み込まれていくことになりますが、その際に避けられないのが欧米の「個の論理」との衝突です。グローバル化は「個の論理」で動く人たちとの遭遇です。

欧米の「個の論理」と日本の「場の論理」については、以前「社会において集団と個人のどちらを優先するか」でも書きました。キリスト教という宗教に後押しされた「個の論理」というのは非常に強力で、10年以上アメリカに住んでいる僕でもまだ馴染めない部分が多くあります。宗教という絶対的信念に裏づけされた自我を持つ人たちと一緒に何かを進めるというのは結構大変なんです。これは、日本で英会話学校に通っている位では分からないと思います。

一見、「個の論理」を志向しているように自分では思っていても、実はそれは単に格好つけたかっただけで、本当にそれに呑みこまれそうになった時に、実は自分は「場の論理」の方に馴染んでいることに改めて気づいたりもします(これは僕の話ですW)。

「個の論理」と「場の論理」はどちらが良いということを言いたいのではなく、違った価値観の人間がいるということと、「場の論理」に馴染んだ日本人が「個の論理」に飲み込まれる事実に注目すべきということです。これは結構大変なプロセスだと思いますが、日本人としての価値観を改めて見直すという意味では、ポジティブなプロセスになりえると思います。

予定調和的になんとなく場が流れていくコミュニケーションは通じませんから、個人として何が良くて何が良くないかということを考えることを強いられることになります。制約条件のない中での価値判断は、究極的には「自分が何を幸せと感じるか」を知らないとできません。他人との比較で幸せを定義することに慣れている日本人には産みの苦しみになるでしょうが、有意義なものになるはずです。

こうしたプロセスを少し経験すると、身の回りの全ての存在に神を信じる日本人の鷹揚さだとか、相手に配慮する気遣いといった“日本的なモノの考え方”が愛おしく思えてきたりするわけです(これも僕の話ですW)。

幸せを見つけるという意味で、最近面白い記事を読みました。「お金で幸せになれるか?」(Can money make you happy?)という記事なのですが、2002年にノーベル経済学賞を受賞者したプリンストン大学のダニエル・カーネマン教授と、その同僚のアンガス・ディートン教授の調査をまとめたものです。邦訳された記事もありました。

これによると、年収7万5000ドルまでは収入に応じて幸福感は高まるそうですが、これを超えると収入の多さにはあまり影響を受けなくなるということです。この7万5000ドルというラインは個人差がありそうですけど、まあ物質的に満たされ、お金で不自由しなくなるレベルということでしょうか。

とすると、人生の幸福度を最大化するためには、「7万5000ドルを稼ぐ力を何としてでも身につける」という損得の判断の部分と、その上に乗る「あとは好きなことをして生きていく」という好き嫌いの部分をうまくバランスさせる必要があるということになりますね。お金だけ目指して損得判断に明け暮れても幸せにならない。かといって、経済力のない夢見る夢子ちゃんでも駄目だということでしょう。

何だか全くもってとりとめもない文章になってしまいましたが、年末年始はこのようなことを考えながら過ごしました。

一体、こうしたグローバル社会への潮目に際し、スポーツはどのような役割を果たすことができるんだろう、果たすべきなんだろう、ということを、今年のテーマとして考えて行きたいと思います。

2012年もどうぞよろしくお願いします。
category:- | comments(0) | -

今年もお世話になりました。

日本は新年が明けてしまいましたが、NYはまだあと9時間少々は2011年です。 

さて、今年も「スポーツビジネス from NY」をご覧頂きましてありがとうございました。

今年は良くも悪くも「歳を感じる」ことの多い1年でした。

まずは怪我が多かったこと。7月には手術もしましたし、指の脱臼も経験しました。若いころのように無理がきかない体になってきていますね。強行日程の出張では、翌日以降に疲れが残るようになりました。徹夜の仕事はそもそもやらなくなりました。

これからは年齢と回復度を踏まえて最適化した働き方を考えないといけません。無理して乗り切るには、1年は長い。もう40歳も目の前です。20代、30代とは働き方を変えないといけませんね。

あとは、若手スタッフやインターンとの世代的ギャップも感じるようになりました。これは僕が歳を取ったというのと、いわゆる「ゆとり世代」的な価値観の異なる世代が社会に登場しだしてきたことが原因だと思いますが。

一方、公私を通じてリーダー的な役割を仰せつかることが徐々に増えてきました。プライベートではフラッグフットの監督になったり、仕事でも日米の異なる組織のスタッフを束ねて仕事を進めていく役回りをお願いされるなど、メンバーを束ねて成果を上げる役割を期待される機会が増えてきました。

リーダーの仕事とは何なのか、というのを考えることが多くなりました。自分にしてみれば、「歳ばかり食って中身は変わっていない」という感覚が強いもので。これは今後も悩んでいくことになるんだと思いますが。まあ、新境地の開拓ということでポジティブにとらえています。

2011年も刺激に満ちた年でした!来年もどんな一年になるのか楽しみです。

2012年も「日本のスポーツ界をより良くしたい」と考える多くのまだ見ぬたくさんの同志の方と出会えるのを楽しみにしています。

Trans Insight Corporation
President
鈴木友也
category:- | comments(0) | -

2011年の米国スポーツビジネスを振り返って

今年ももう大晦日。あっという間でした。

歳をとるにつれて、人生に占める1年の割合がどんどん小さくなっていきます。これからも1年はどんどん短くなって行くんでしょう。

さて、勝手に恒例化している一年の振り返り企画ですが、今年も懲りずに独断と偏見でまとめてみようと思います。 

■ロックアウト
今年は何といってもこれでしょう。メジャープロスポーツが2つ同時にロックアウトに突入する前例のない年になりました。日米の労使関係をリサーチする仕事柄からも興味深い年になりました。

労働争議を生で体験してみて、意外にもファンはそんなに気にしていないというのが第一印象でしょうか。良くも悪くも労働争議慣れしれいるという感じです。

結局、NFLはシーズンに間に合いましたが、NBAはダメでした。このあたりは、リーグ自体が儲かっているかいないのかが重要なファクターになったようです。

今年は4大スポーツのCBAが全て期限切れになった年でしたが(NHLは早々に延長を決めましたが)、NFLやMLBが新CBAで新人選手の年俸抑制に舵を切ったのは特筆すべきでしょう。

■ニューメディア
FacebookやTwitterなどのソーシャルメディアが市民権を得て、iPadなどのモバイル端末も大きく普及してきました。このブログでも「MLB Fan Cave」や「TagOramic」などについて取り上げましたが、こうしたニューメディア領域は今大きく動いているところで、ファンのスポーツ観戦形態や楽しみ方も徐々に変わってきているように感じます。

こうした動きに呼応して、スポーツ組織にもSNS利用ポリシーを策定する動きなどが見られますね。

ファン同士のコミュニケーションの取り方にも変化が生まれています。身近なところでは、3月にFacebook上に「アメフト復興会議」というコミュニティーが立ち上がったのですが、あっという間に2000名を超えるメンバーが集まりました。

■大学不祥事の多発
今年は大学スポーツの不祥事が多発した年でした。OSUのスキャンダルで名将トレッセルの辞任に驚いていたら、今度はPSUのパターノが解任されました。そして、スラキュースのアシスタントコーチも幼児虐待で解任されています。

強ければ何をやっても許される的な甘えがあったとしたら、改めないといけませんね。日本でも、元金メダリストの不祥事がつい最近ありましたし。

■怪我防止
日経ビジネスのコラムなどでも書きましたが、スポーツの迫力を削いででもけがの防止に万全を期すという強いコミットメントが各リーグから感じられます。例えば、NFLなどは近年現役時代のプレーと脳疾患の関係性を指摘されており、多くの訴訟も起こされています。

こうした動きは、将来的な育成(親は危険な競技は子供にやらせない)やCSRを意識したスポンサーシップを視野に入れると非常に重要な意味を持ってくるでしょう。NHLでは、公式スポンサーがリーグに対し「怪我防止の対策を立てなければ協賛を辞める」と言ったりもしましたし。

■CSRの文脈でのスポンサーシップ
企業活動にCSRの視点がより強く求められるようになってきているので、スポーツの協賛活動にも同様の発想が求められるようになってきています。7月に出版した拙著にも書きましたが、これをビジネスとして実にうまく進めているのがNBAです。

今後は、スポーツもCSRの視野を持つのは当たり前のこととして認識されるようになるので、むしろ対応の遅れた組織に批判が集まる可能性もあるでしょう。

例えば、米国は喫煙に対して厳しいことで知られますが(タバコを吸うと死にます、というCMがオンエアされています)、4日前にオレンジボウルの命名権を取得しようとしていたタバコ会社が周囲の反対から協賛を中止したばかりです。日本でも、11月に開催されたバレーボールワールドカップに協賛するJTに対して抗議活動が行われましたよね。また、ロンドン五輪でも、インドで有毒ガス流出事故を起こした会社を買収したダウ・ケミカルがIOCのTOPスポンサーになったことを受け、インド五輪委員会がボイコットを検討したり、英五輪委員会が同社のロゴ非掲載を決めるなど波乱を呼んでいます。

つい最近、NFLはXboxとパートナー契約を結び、NFLが進める「Play 60」という子供の健康増進活動を強化していくようですが、一方でNFL選手がペプシのCMに出演してユニフォーム姿のままペプシを飲むCMもオンエアされています。双方のメッセージは相反するものだけに、個人的には違和感を禁じえません。

特に、成人の7割が太りすぎというこの国では、糖分を大量に含む炭酸飲料やファーストフードは、これから10年20年たつとタバコやアルコールと同様の自粛カテゴリになっているかもしれません。

■人材のレベルアップ・流動性の高さ
ここ数年、ヒアリングなどで4大スポーツのリーグやチームの人に会うと、ハーバードやスタンフォードのMBAを持っているということが珍しくなくなってきました。ここ数年で人材も大きくレベルアップしてきているように感じます。

また、人材の流動性も相変わらず高く、昇進も早いです。先日、クリスマスカードの準備をしていた時に思ったのですが、日本と比べるとアメリカの方が前の年と肩書や所属組織が変わっている人が圧倒的に多いです。そして、なにより若い。

日本のスポーツ界にも若くて優秀な人が今以上に集まってくれるようになるといいです。

以上、誠に勝手かつ乱文でしたが、2011年の米国スポーツビジネスの振り返りとさせて頂きます。
category:- | comments(1) | -

MLB新労使協定トリビア

MLBの新労使協定については、先日日経ビジネスのコラムなどでも触れました。まだCBA全文は公表されていないのですが、要約はMLB選手会のHPにて公開されています。

ところで、先日AP通信がCBAの内容を一部スクープしました。中にはなかなか面白い変更も含まれるので、かいつまんでトリビア的にお知らせしようと思います。

■試合中に選手がマイクをつける可能性がある
これは、こちらではスポーツ中継でどんどん選手やコーチの肉声を取り入れる方向に動いています。その流れを汲んだものでしょう。NFLでもハーフタイムにコーチにインタビューしますし、NBAも試合中の選手の肉声(録音したもの)を後からオンエアしています。MLBでも試合中に監督のインタビューを行うことは今までやられてきましたが、これを選手にも拡大して行くのでしょう。「Player Accessibility」は近年のキーワードです。

■背番号を変更する場合は8か月前までに告知するか、在庫を全て買い取らないといけない
これはちょっと笑ってしまったのですが、ライセンシーに配慮して在庫リスクをなくすということですね。

■意図的にボールやバット等をファンやメディア関係者に投げてはいけない
当たり前です。子供が見ています。

■違法賭博の禁止
これはプロ選手としては言うまでもないことです。Aロッドの事件を踏まえたものでしょう。

■選手が企業ロゴの刺青をすることは禁止
これは確かどっかのボクシング選手がやってましたよね。一応明文化するということでしょう。

これ以外にも記録員に抗議するのを禁じたり、遅延行為への罰則が強まるなどいろいろあるようです。興味がある方は下のAPの記事を読んでみて下さい。

アメリカは契約文化なので、曖昧な部分は全て文書にされます。こうして米国では契約書がどんどん厚くなっていくという見本みたいな話ですね。旧CBAは巻末の別表等も入れて229ページありました。新CBAがどこまで増えるか楽しみですね(笑)。

【関連情報】
category:MLB | comments(0) | -

MLBが推進する国際ドラフト構想のインパクト(上)

日経ビジネスオンラインに最新記事がアップされました。今回は、今後日米間の選手移籍に大きな影響を与える可能性のあるMLBが推進する“国際ドラフト構想”について書いてみました。

MLBは今月11日のCBAの失効を待たずに先月末に新CBAを締結したのですが、その中には多くの重要な改革案が盛り込まれています。その中でも、特に大きなものがドラフト改革で、契約金に事実上の上限を設けたり、低収入・小市場チームだけを対象にした戦力バランスドラフトを創設するなど、戦力均衡を一層推し進めるための大胆な施策が盛り込まれていました。

実は、その中に、国際ドラフト設置を視野に入れた、日本球界にとっては他人事には思えない(思ってはいけない)大きな変更も加えられています。

=======================================
■MLBが推進する国際ドラフト構想のインパクト(上)
 〜もう“第二のダルビッシュ”は見られなくなる?

 今年のオフも日本球界から米メジャーリーグ(MLB)への人材流出が止まりません。

 ポスティング制度を通じて、現在日本球界最高の投手の一人とも言われる北海道日本ハムファイターズのダルビッシュ有選手の独占交渉権を、テキサス・レンジャーズが松坂選手を上回る5170万ドル(約40億円)もの史上最高額の入札金で獲得したというニュースは先週、日本中を駆け巡りました。埼玉西武ライオンズの中島裕之内野手や東京ヤクルトスワローズの青木宣親外野手も同制度を利用してのメジャー移籍を目指し、中島選手の交渉権はニューヨーク・ヤンキースが、青木選手はミルウォーキー・ブリュワーズが取得しました。

 また、フリーエージェント権を行使してMLB球団との交渉を進めていた福岡ソフトバンクホークスの和田毅投手がバルチモア・オリオールズ入りを決めたほか、同じくホークスの川崎宗則内野手や、昨年ポスティングシステムを利用したものの日本球界に残留した東北楽天ゴールデンイーグルスの岩隈久志投手も、FA選手としてMLB移籍を目指していると言われています。

 今や、日本球界で一定の成功を収めたトップ選手が更なる飛躍を求めてMLBに挑戦する姿は、オフシーズンの見慣れた光景になりました。しかし、こうした日本人のMLB移籍に大きな影響を与える可能性のある動きが、現在米球界の水面下で静かに起こっています。“国際ドラフト構想”です。

 MLBでは先月末に新たな労使協定が締結されましたが、その決定に従い今月15日に、国際ドラフト導入を検討する「国際タレント委員会」が設置されました。国際ドラフトとは、MLB球団に入団する全ての海外選手をドラフト制度で指名するというもので、仮に例外なくこれが実施されると日本人選手も今のように比較的自由にMLB球団に移籍することができなくなります。

 今回のコラムでは、国際ドラフト構想が生まれた背景や新労使協定に盛り込まれた布石とも言える変更点、それが日本球界に及ぼす影響などについて考えてみようと思います。

(続きはこちら
=======================================
category:MLB | comments(0) | -

NFLのオーナーになりました!

早速、先日購入したグリーンベイ・パッカーズの株式が手元に到着しました!残念ながら日本からは購入できないということなので、株式を手にした時の体験を皆さんに共有させて頂きます。

まず、UPSから速達が到着。きちんと法律関連書類専用の速達封筒に入れられているところに配慮が感じられます。


この封筒を開けてみると、パッカーズのチームロゴつきの専用ドキュメントケースが出てきます。この「G」のマークを見て少し感動。


これを開いてみると、こんな感じ。「おおっ」と思わず声を上げてしまいました。


株式には自分の名前と住所が記入されています。「うーん、これで俺もパッカーズのオーナーの一人かー」などと満足感に浸ることができます。


これ以外に、球団社長からの手紙も入っていて、「これであなたもNFLオーナーの一人です」などとファン心理をくすぐる台詞が。そう言われると悪い気はしません。「なるほど、これで俺もジェリー・ジョーンズやロバート・クラフトと肩を並べたわけかー」などと妄想することができます。

これが250ドル。高いか、安いか。

ちなみに、パッカーズは株式発売後48時間で4630万ドルを調達(=18万5200株を販売)したとのこと。当初、2月までの約3ヶ月で2200万ドルを調達する予定だったので、見込みを大幅に上回ることになりました。

【関連情報】
category:NFL | comments(0) | -

パッカーズの球団株式追加発行に賛否両論

NFLグリーンベイ・パッカーズが今週火曜日(12月6日) より球団株式を追加発行しています。本拠地ランボー・フィールドの改築に必要な資金の一部を調達することが目的です。パッカーズは過去に4度株式を発行しており、今回が14年ぶり5度目の発行になります。

球団株式の公開は、一般市民にも球団保有を認めることから、米国では「パブリック・オーナーシップ」(Public Ownership)などとも呼ばれます。

パッカーズは現在、米国4大スポーツで唯一パブリック・オーナシップを実現している球団で、日本でも“市民球団”として有名です。しかし、言葉の響きがよいのでどの球団もパッカーズのような“市民球団”を目指しているかというと、そうではありません。

パッカーズは1923年に最初の株式公開を行っていますが、実はNFLは1970年にパブリック・オーナーシップそのものを禁止しています。つまり、パッカーズが「唯一の市民球団」であるという事実は、他の球団が目指してもなれない、というわけではなく、制度的にパッカーズが例外扱いされている、という意味合いの方が正しいのです。

米国プロスポーツ界では、1950年代くらいから資金調達の手段として球団を上場して株式公開を行う球団が多く現れましたが、現在は過去に公開した球団も全て株式公開を止めています。理由としては、命名権などの資金調達手段が多様化したため、敵対的買収などのリスクを負ってまで株式公開する必要がなくなったことや、SOX法の制定によりIRコストが増大したこと、スポーツビジネスの特殊性(選手の怪我の情報など、株価に大きなインパクトの与える情報を公開できない)が証券取引法の求める広範な情報開示義務になじまない等が挙げられます。

米国では、スポーツ球団は株式公開に馴染まないというのが定説になっており、過去に株式を公開したケースでも様々なリスク(特に株主代表訴訟)を避けるために、事前に大きな制約(配当なし、株式の売却・譲渡の禁止、議決権なし等)を株主に課していました。

(ちなみに、現在唯一株式の公開を続けているパッカーズはちょっと特殊で、証券取引所に上場しているわけではなく、SECにも認可されていません。パッカーズの株式は「非上場の公募」という形を取っており、一般的な意味での「株式への投資」には当たらない整理になっています)

「では、株式を買う意味ないじゃん!」と思う方もいるかと思います。

そうなんですよね。「投資」と考えると、プロスポーツ球団の株式を保有するメリットはほとんどありません。強いて言うなら、「球団の一部をOwnしている喜びを買う」という位かもしれません。実質的には、グッズを買う感覚、もしくは寄付を行うイメージに近いと思います。

今回のパッカーズの株式追加発行も、ネットでラクラク株式を購入することができます(買いたい人はここをクリック)。1株250ドルです。一応、買う前には目論み書に目を通さないといけないことになっていますが、その後、カートに入れてチェックアウトするだけという、ネットショッピングと全く同じプロセスです。

米国内では、こうしたパッカーズの取組みに批判もあります。口悪く言うなら、「ファンを騙して金を巻き上げてるんだろう」「原価3セントの株式を250ドルで売ってぼろ儲けしている」というものです。まあ、本人は好きで買っているわけですから、巻き上げているわけではないとは思うんですけど。

でも、グリーンベイのようにフットボールが市民の生活の一部になっている(誤解を恐れずに言えば、フットボール以外に娯楽のない)ような街ならではの話という気がします。例えば、ジェッツが株式を公開しても誰も買わないのではないかと思います。ジェッツファンは新スタジアムに移る際に、数万ドルのPSLを払わされていて皆怒ってますから(笑)。

かくいう私ですが、プロ球団の株主になれる機会もそうはないだろうと思い、1株買ってしまいました。

【関連情報】
category:NFL | comments(6) | -

DeNAがセ・リーグ改革の旗手になりうる理由

日経ビジネスオンラインに表題の最新記事がアップされました。

最近は日本球界を騒がす話題が何かと多いのですが(笑)、今回もベイスターズを買収したDeNA社がオンラインゲームを本業とするということで、米国では既に市民権を得ていてファン基盤開拓のツールとして一般化しているオンラインゲーム「ファンタジースポーツ」と絡めて書いてみました。

DeNA社の本業については、ファンの間でも賛否両論あるようですが、僕はきちんと球団のステークホルダーに目を向けた経営を実施して頂けるなら、プロ野球興行との間には大きなシナジーが期待できると思っています。 

先日寄稿した日経ビジネス本誌にも書いたのですが、1903年に設立されたMLBは、1994年にストが起こるまではNPBと同様に球団が互いの既得権を手放さずに足を引っ張り合い、まさに経済用語で言う「合成の誤謬」のような状態が続いていました。しかし、ストで観客動員が2割以上落ち込むと、さすがにヤバイと思って設立後90年以上経ってからようやく球団の既得権にもメスを入れる聖域なき改革を実施しました。

一方、日本球界でも2004年の球界再編の際に、改革の機運は少し高まったのですが、球界全体としての改革は中途半端に終わってしまっています。その中で、パ・リーグは参入初年度で単黒を実現した東北楽天ゴールデンイーグルスに刺激され、PLMが設立されるなど経営改革が進みました。これは、伝統的に巨人戦という既得権を持たなかったパ・リーグには早くから危機意識があったことと無縁ではないように思います。この7年でパ・リーグとセ・リーグの経営力の差は大きく開いてしまったように感じます。

誤解を恐れずに言えば、今回のDeNAの球界参入が球界全体を改革するラストチャンスかもしれません。

球団経営を変えるために一番インパクトがある方法は、球団オーナーを変えることです。そして、それが今回セ・リーグの球団で起こったわけです。ベイスターズの経営が変われば、楽天がそうであったように、他のセ球団にもポジティブな影響を与えるでしょう。

リーグマネジメントという視点で考えると、実はパ・リーグにだけにPLMが設立されているというのはおかしな状況です。本来であれば、NPBがこれに反対し、「いやパ・リーグだけではなくて、球界全体の共有マーケティング会社をつくらないとダメでしょう」と言うべき立場にあったはずです。しかし、日本ではそうはならなかった。

しかし、楽天が参入してパ・リーグで起こった同じことが、DeNAの参入でセ・リーグにも起こっていくかもしれません。CLMを設立し、ゆくゆくはPLMと合併させてNPB全体の共同事業会社を作っていく。順番はボトムアップで時間がかかってしまうかもしれませんが、リーグマネジメント機能の希薄なNPBではこのやり方しかなかったのかもしれません。

優秀な人材もベイスターズに続々と集っているようです。DeNAさんには、従来型オーナーのように本業への広告効果という視点に留まらず、球界改革という視点から是非とも大胆な取組みをして頂きたいと期待しています。

===================================
■DeNAがセ・リーグ改革の旗手になりうる理由
 〜米国スポーツを活性化する「ファンタジースポーツ」とは?

 12月1日に開催されたプロ野球オーナー会議にて、TBSホールディングスから横浜ベイスターズを買収したディー・エヌ・エー(DeNA)の球界参入が正式に承認されました。プロ野球球団の売却は2004年にソフトバンクが福岡ダイエーホークスを買収して以来7年ぶりで、IT企業の球界参入は楽天、ソフトバンクに次いで3球団目になります。

 DeNA社の球界参入では、東北楽天ゴールデンイーグルスを保有する楽天が、DeNA社の運営する「モバゲー」が事実上の出会い系サイトであると主張して反対に回っていたほか、ソーシャルゲーム業界の競合に当たるグリー社らから計10億5000万円の損害賠償訴訟を提起されるなど、波乱含みとなりました。ベイスターズファンの中にも、「親会社が変わるまでファンをやめる」と公言している漫画家のやくみつる氏のように、DeNA社の事業内容に疑問を持っている方もいるようで、賛否両論があるようです。

 個人的には、球界参入が認められた以上、親会社のビジネスが「主」、球団経営は「従」という形で球団を自社ビジネスのツールとしてだけ使うのではなく、しっかりと野球ファンや協賛企業、地元自治体などのステークホルダーを見据えた球界の発展に資する球団経営を行って頂きたいと願っています。

 実は米国スポーツ界では、ここ数年「ファンタジースポーツ」(Fantasy Sports)と呼ばれるオンラインゲームがファン開拓に大きな役割を果たすようになってきており、その可能性が注目されています。今回のコラムでは、今では米国では当たり前のサービスとなりつつあるファンタジースポーツを紹介すると共に、DeNA社の球界参入によってもたらされる改革の可能性について考えてみようと思います。

(続きはこちら
===================================
category:NPB | comments(0) | -
S M T W T F S
1234567
891011121314
15161718192021
22232425262728
293031    
<< January 2012 >>
新刊情報
LINK
鈴木友也 on Twitter
Twitter ブログパーツ
Inspiring Words
"Life begins when you get out of the grandstand into the game"(P. L. Debevoise)

"If you can dream it, you can do it"(Walt Disney)

"It's not who I am underneath, but what I do that defines me"(Batman)

"知識は、それを使って未来を開拓するものでなくては価値はない"(本田宗一郎)

"人生とは希望の光を求めて生きる実感を味わうこと"(宋文洲)

"成功者とは、金や身分ではなく、なりたい自分を手に入れた者のこと"

"止まっていたら何も起きない。挑戦するから、何かが起こる"(桑田真澄)

"Blame Nobody. Expect Nothing. Do Something."(New Jersey Nets)

"解決に必要なのは、知識でなく考え方。足りないのは、才能でなく意識だ"

"決断力と判断力のある方向音痴は勝者たりえる"(K.I)"

"一番の勇気は、いつの日も自分らしく素直に生きること"(渡辺美里)

"Google時代の勝負は知識の量ではなく思考の深さで決まる"(大前研一)
ブクログ
RECENT ENTRIES
RECENT COMMENTS
CATEGORIES
ARCHIVES
PROFILE
OTHERS