NFLバッカニアーズが首下全身まひの選手と契約

NFLタンパベイ・バッカニアーズが、大学の試合中の怪我で首から下が全身まひしている元ラトガーズ大のエリック・リグランド選手と契約を結んだことが話題になっています。

リグランド選手は3年生だった2010年10月の試合中に頸椎を骨折して首から下が麻痺し、当初は自発呼吸もままならないのではないかと医師から診断されたそうです。しかし、その後の懸命のリハビリの甲斐もあって、今では自発呼吸はおろか、自動車椅子で自由に動き回れるまでに回復しています。


ラトガーズ大はNY州の隣のNJ州にあるということで、彼の事故やその後のリハビリでの回復などはNYでも度々報じられているのですが、彼のポジティブな態度にはいつも驚かされました。「自分の足で地面に立つ」ことを目標に日々の厳しいリハビリをこなしているのですが、彼の表情には一点の暗さもなく、信念に貫かれた強さは周りの人をインスパイアするのです。

怪我から約1年後、彼はチームメイトとともに車椅子でフィールドに姿を現しました。スタジアムはスタンディング・オベーションに包まれます。


実は、今年からバッカニアーズの新HCとなったのは、昨年までラトガーズ大HCだったグレッグ・シアーノ氏。まさに、リグランド選手が怪我でフィールドに倒れた時のHCでした。こうした縁もあり、バッカニアーズはオフシーズンの90名のロースターの1つを彼のために空けたのでした。

バッカニアーズはNFL球団の中でもコミュニティー活動に熱心な球団です。今回の契約も、単なる話題作りではなく、脊椎の怪我への啓蒙や問題提起が目的なようです。リグランド選手も、契約金は治療法発見のためのリサーチに寄付するそうです。

スポーツの価値は試合を行うことだけでない、ということを教えてくれる素晴らしい事例だと思います。

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スポーツの盛り上がりは民主主義の成熟度に比例する?

日経ビジネスオンライン最新コラムがアップされました。

  米国でスポーツ観戦された経験のある方は感じられたかもしれませんが、日米ではファン気質に大きな違いがあります。その違いが日米のスポーツ市場の大きさの違いを生み出している本質的な違いなのだと常々考えていたのですが、それをコラムにまとめてみました。

  端的に言うと、「自由」というものに対する意識・感覚に大きな違いがあるように思います。少し大げさに言うと、アメリカ人はスポーツ観戦を通じて「自由の価値」を守ろうという意識があるように感じます。

  「自由」を行使するためには「強さ」が必要です。  西欧では、宗教革命により思想的近代(資本主義)の素地が作られ、次いで市民革命により社会的近代(民主主義)がもたらされ、最後に産業革命により経済的近代がもたらされ、いわゆる“近代社会”の成立を見るというプロセスを踏んでいます。

  一方、西欧が300年かけて思想的闘争を繰り広げてきた間、日本は鎖国政策で200年以上にわたり外国との交わりを絶っていました。日本に近代社会がもたらされたのは、西欧の圧倒的に優れた技術を目の当たりにし、開国を余儀なくされた江戸時代末期でした。

  かくして、西欧で300年もの長い年月をかけて成熟しつつあった“近代社会”が、宗教革命や市民革命を経ずに「外圧」によって日本にもたらされました。

  「勝ち取った自由」なのか、「与えられた自由」なのか。このプロセスの違いこそが、「自由」を求める「強さ」の違いを生み出している背景にあるように感じます。


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スポーツの盛り上がりは民主主義の成熟度に比例する?
 〜「競技軸」に走る日本と「地域軸」で勝負する米国の差

私が米国に拠点を置きながら日本のスポーツ関連組織のお客様に対してコンサルテーションをさせていただくようになって10年以上が経ちました。この間、お客様の様々な悩みを共有させていただきながら、その解決のヒントとなるような優良事例(ベストプラクティス)を米国で模索し、そのエッセンスを収集・体系化してお客様にご提供するというプロセスを繰り返してきました。

 お客様の抱える悩みは多岐にわたります。チケットやスポンサーシップ販売といった事業系領域から、国際戦略、広報、社会貢献活動。最近では昨年3月11日に発生した東日本大震災への対応や、ソーシャルメディアを活用したファン育成など様々です。  

 情報収集に当たっては、米国スポーツ界の球団・リーグ経営者やプロジェクト担当者と会ってお話をうかがうことも多く、この10年間で面会した方々は恐らく1000人を超えると思います。

 その中で、日米のスポーツビジネス環境の違いを生み出している本質的な違いが大きく2つあるように感じています。  

 1つは、球団経営のあり方の違いです。球団保有目的の違い(誰のために、何のために保有するのか)と言い換えてもいいかもしれません。この点については、以前このコラムでも「ベイスターズ買収劇で露呈した日本プロ野球界の“伝統”〜球団保有の在り方に透けて見える日米スポーツビジネスの違い」などで触れました。  

 米国スポーツビジネス界では、日夜新たなアイデアが生み出され、共有され、進化しています。これは営利目的の球団経営が徹底されているからです。球団が成長エンジンとなって地元のファンや協賛企業、自治体などのステークホルダー(利害関係者)に利益をもたらし、共に成長していくことがDNAとして組織に刻み込まれています。  

 もう1つの大きな違いは、市場特性の違いです。スポーツファンの気質の違いと言ってもいいかもしれません。もっと大きくとらえるなら、社会の違いです。そして、誤解を恐れずに結論を先に言えば、民主主義の成熟度の違い。言い換えるなら、社会の中での「自由」というものに対する向き合い方の違いがこの差を生み出しているように思われます。  

 今回のコラムでは、この点についての私なりの見方をお伝えしたいと思います。

(続きはこちら
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米国におけるプロスポーツ選手の税務申告

今日、4月17日は米国の税務申告の期限です。通常は4月15日なのですが、今年はそれが日曜日で、翌16日はワシントンDCの休日(奴隷解放記念日だそうです)なため、今年だけ17日が期日ということになりました。

日本との大きな違いは、日本ではサラリーマンなどは会社が源泉徴収して年末調整まで行ってくれるので、個人が確定申告するのは自営業などに限られますが、米国では基本的に個人が確定申告を行わなければなりません。日本は会社がやってくれれるので楽ですが、その分節税のチャンスを失っている、米国は面倒くさいけど、やり方次第で個人でも節税可能ということになります。

で、当然、米国のプロスポーツ選手も個人で税務申告しなければならない(球団がやってくれるということはない)のですが(といっても、実際はマネジメント会社と提携している税務事務所が代理で全部やってくれます)、米国で特徴的なのは、連邦への税務申告と、州への税務申告の2つのレベルがあるというところでしょう。

連邦は1つしかないのでシンプルなのですが、例えば年間162試合行うMLB選手の場合、半分の81試合は遠征でいろいろな州に出かけるので、州レベルの税務申告は複雑になります。

2012年の場合、連邦税は例えばMLB選手のような所得が約39万ドルを超える高額所得者の場合、35%の限界税率が適用されます。一方、州についてはプレーする場所により税率が違うのでややこしいです。州レベルで対象となる所得は、プレーした比率で案分されることになるので、チームが本拠地を置く州から所得の半分が課税され、残りは遠征先でどの州に行ったかで、その試合数に応じて所得を案分して州税が課税されることになります。

州税の税率は、米国内だとカリフォルニア州が一番高くて約10%程度、逆にフロリダ州、テキサス州、ワシントン州は州税(所得税)がかかりません。そのため、イチロー選手やダルビッシュ選手はこの恩恵に預かっていることになります。ちなみに、カナダの税率はカリフォルニア州より高いので、例えばトロント・ブルージェイズの選手はMLBの中では一番損をしていることになりますね。
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セインツオーナーのホーネッツ買収(NFLクロスオーナーシップ)

本日、NFLニューオリンズ・セインツのオーナーがNBAニューオリンズ・ホーネッツを買収したと報じられました。買収価格は3億1800万ドルだそうです。

日経ビジネスのコラム「球団移転ダンス“最後は私と踊って”〜ホーネッツ身売り騒動に見る日米の球団売却事情の違い」などでも書きましたが、ホーネッツは前オーナーが手放そうとした際、望ましい買い手が現れず、買い叩かれるリスクを恐れてNBAリーグ機構が3億ドルで買収し、次のオーナーが見つかるまで暫定保有していました。

NBAは、今回ホーネッツ売却を果たしたことで、何とか球団価格を右肩上がりに保つことができたわけです。米国では球団は投資物件(Investment Property)と認識されていますから、これもリーグの重要な役目です。

ところで、NFLのオーナーシップルールは4大スポーツの中でも最も厳格なことで知られています。例えば、球団オーナーは基本的に個人か家族しか認められない(法人所有はNG)、球団の上場(パブリックオーナーシップ)もダメ(パッカーズはこの規制ができる前の例外事例)といくつもの制約が課されています。

今回のようなクロスオーナーシップ(同一オーナーが複数球団を保有する)についても、NFLが球団を置くフランチャイズ都市では、他のスポーツの球団を保有することができません。最近、このルールにひっかかったのが、コロラド州デンバーでNBAデンバー・ナゲッツやNHLコロラド・アバランチなどを保有し、最近では英プレミアリーグのアーセナルなどを買収したスタン・クロエンケ氏です。

同氏は、NFLセントルイス・ラムズの買収を試みたのですが、同氏が既に球団を保有していたデンバーにはブロンコスというNFL球団があるため、NFLのクロスオーナーシップ・ルールに抵触するとして却下されてしまいました。結局、同氏はデンバーの球団の保有権を息子に譲ることでラムズ買収を達成しましたが。

NFLと言えば、リーグ主体の共存共栄の思想が強いことで知られていますが、オーナーシップ・ルールにもその思想が染み込んでいるわけですね。要は、NFLオーナーどうし、他球団の商売の邪魔はしないという申し合わせです。クロエンケ氏も「NFLファミリーに入りたいなら、他のオーナーに迷惑をかけるな」と踏み絵を踏まされた感じでしょうか。

こうした厳しいクロスオーナーシップ・ルールを持つのはメジャースポーツではNFLだけです。他リーグは、八百長防止という観点から同一競技内でのクロスオーナーシップ(例えば、同じオーナーがMLB球団を2つ持つなど)は禁じていますが、競技が違えばどこに球団を保有してもOKです。

しかし、NFLのクロスオーナーシップでも唯一の例外があります。それは、自分が他競技の球団を保有している同一マーケット内なら、複数球団の所有が認められるという点です。この場合、マーケットがカニバライズされたとしても、自分のもう一方の球団が損するだけなので、OKということなのでしょう。

今回のホーネッツ買収は、厳格なオーナーシップを科すNFLの中では例外的な事案だと言えます。

※この記事の中の「保有」とは球団株式の過半数以上のマジョリティー・オーナーシップのことを指します。少数比率の株主は該当しません。

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ダルビッシュ効果はどの程度か?

ダルビッシュ選手がいよいよMLBデビューしましたね。本人としてはほろ苦いデビューだったかもしれませんが、勝ちも拾えたし、イチロー選手も活躍したので、日本のメディアとしては一番うれしい展開だったかもしれませんね。

ところで、松坂選手が渡米した時も話題になりましたが、ダルビッシュ選手を獲得したレンジャーズにとって、その経済効果はどの程度あるのでしょうか? 

そもそも、経済効果を目的として海外選手を獲得しているのかどうか、という点が疑問かもしれませんが、現場サイド(Baseball Operation)はそこまで考えていないはずです。「活躍してくれた結果としてビジネスがうまく行ったら嬉しいな」という感じだと思います。少なくとも松坂選手の場合、レッドソックスは単純に戦力補強の一環として考えていました(これは球団幹部に聞いた話なので、間違いありません)。

国際戦力上、外国人選手が活躍してくれることは成功のための必要条件ですが、マネーありきで実力のない選手を無理やりプレーさせるということはないはずです。米国で最も国際戦略を成功させているのはNBAですが、国際的な強化施策の延長線上に外国人選手の活躍があり、その結果、海外マーケットの取り込みがあるわけで、その順序が逆になるということはありません。

ダルビッシュ選手の場合、入札金約5170万ドル+6年総額6000万ドルと言われているので、球団として選手獲得に費やした資金は1億1170万ドルとなります。入札金は、形式的には年俸とは認識されず、課徴金制度にもカウントされませんが、球団から見れば実質的な年俸ですから、平均年俸は1861万ドルということになります。この額は、今年のMLB選手の上位20位にランクインする数字なのですが、要はレンジャーズは投手としてこれだけの評価をダルビッシュ選手に下しているということだと思います。

さて、話を経済効果に戻しましょう。

松坂選手がMLB入りした際、日経ビジネスのコラムで「松坂効果はほとんどない」と書きました。MLB球団の主な収入源は、1)チケット販売、2)メディア権利料(テレビ、ラジオ)、3)スポンサーシップ、4)グッズ・飲食の4つですが、人気球団でチケット完売記録を続けていたレッドソックスには、そもそも1)4)(飲食)のアップサイドはなく、3)もほとんど同様の状況でした。2)と4)(グッズ)はMLBの収入になりますから、球団収入はほとんど上がる余地がなかったのです。

では、ダルビッシュ選手の場合はどうでしょうか?

2)と4)(グッズ)の状況は一緒です。恐らく、松坂選手の場合と比較して一番違うのは、1)でしょう。レンジャーズの場合、昨年の観客収容率は約74%で、平均して約6000席ほどの空席があります。ダルビッシュ選手の活躍により、“ダル・マニア”が球場に押し掛けるような状況になれば、アップサイドは期待できることになります。ただし、野手のように毎日試合に出場するわけではないので、その効果は限定的かもしれません。

3)については、テキサス州には日系企業も多いので、球団公式スポンサーにそうした企業が加われば収入アップということになります。ただし、多くの企業は露出目当てでしょうから、テレビ映りの良いバックネット広告などへの露出を図ることが予想されます(昨日の試合の「ほけんの窓口」のように)。

ただし、リーグが管轄する全米放送、オールスターゲーム、プレーオフ、ワールドシリーズなどにおいては、こうしたテレビに映る内野看板は全て放映するテレビ局の収入になるので、国際放送もそれに準じているのではないかと推測します。つまり、球団の収入にはならないということです。

こうしてみると、現実的にアップサイドが期待できるのは、チケット販売と飲食のみということになりそうですね。昨年のレンジャーズのFCI(4人家族が1試合で消費する平均金額)が約160ドルでした。仮に、ダルビッシュ選手が中4日で30試合に登板し、登板した試合は満席(6000名=1500家族アップ)とすると、年間720万ドルの増収という計算になります。実際はプレミアムシートが入ってきたりして計算はもう少し複雑になりますが。
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たばこで2020年五輪東京招致が失敗する?

日経ビジネスオンラインに最新記事がアップされました。

やや刺激的なタイトルになっていますが(笑)、今回触れているのは、スポンサーシップの軸足がCSRにシフトしつつある昨今、今までは気にされなかったようなCSRと相反するように見える活動も逆に目立つようになってきているという点です。その結果、互いの活動が打ち消し合い、協賛効果を減退させるような事例が見られるようになってきました。

協賛企業やスポーツ組織の担当者は、今後スポーツ組織が志向している方向性と協賛活動との整合性について、これまで以上に説明責任が求められることになると感じます。

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■たばこで2020年五輪東京招致が失敗する?
 〜CSRとスポンサーシップの利害相反

 7月27日に開幕するロンドンオリンピックまであと4カ月を切りました。これからは、代表枠獲得に向けた予選や選手選考も佳境に入り、メディアがオリンピック関連ニュースを取り上げる頻度も上がってくるでしょう。メディアでの注目度が高まるにつれ、企業による協賛(スポンサーシップ)活動も本格化して行くことになります。

 今や、スポンサーシップはスポーツイベントにとって欠くことのできない大きな収入源になりました。「今や恒例、オリンピックのゲリラ広告(上)」でも書きましたが、赤字続きで“国を滅ぼす”とまで言われたオリンピックをドル箱のスポーツイベントに変えたのも、ピーター・ユベロス氏によって企業による協賛活動に革命がもたらされたためです。

 露出効果の高いスポーツイベントは、企業の協賛活動としてもうってつけで、例えば、北米市場における企業によるスポンサーシップ活動の約7割がスポーツを通じた協賛活動になっています。

 しかし、高い注目度は“諸刃の剣”にもなりえます。特に、近年は企業のCSR(企業の社会的責任)への意識の高まりを受け、スポーツ組織もCSRの文脈に協賛活動の軸足をシフトしつつあります。こうした中、協賛企業の不祥事や、不祥事と言えないまでも社会的に物議を醸すような製品・サービス、企業活動が逆に目立ってしまうという、思わぬ結果を招くことも散見されるようになりました。

 今回のコラムでは、物議を醸した協賛企業の活動を参考に、今後スポーツ組織や協賛企業のスポンサーシップ担当者に求められる意識の変化について考えてみようと思います。

(続きはこちら
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ブレイクスルーは忙しさの中で起こる

今、前例のないほどの忙しさに見舞われているのですが、そんな時に思い出す言葉があります。

「忙しかったら、もっと忙しくしてみろ」

これは、僕が外資系コンサルで働いていた時、入社1年目当時アサインされていたプロジェクトのパートナーに言われた言葉です。パートナーと言えば、新米コンサルタントにとって雲の上の神様みたいな存在です。おまけに、そのパートナーはとっても恐いことで有名で、プロジェクトマネージャーが別室で怒鳴り散らされている姿が何度も目撃されていました。

なので、たまにパートナーがプロジェクトルームに顔を出すと(パートナーはクライアントサイトに常駐する訳ではないので、たまにしか来ない)、フロア全体に緊張感が走ったものでした。そんな天皇みたいなパートナーがひょっこり顔を出したある日、あろうことか仕事をする僕のそばにきた時に声をかけてきたのです。

パートナー:「鈴木、元気でやってるか?」

僕(背筋をピンと伸ばして):「はい、元気です」

パ:「忙しいか?」

僕(背筋をピンと伸ばして):「むちゃくちゃ忙しいです」

パ:「そうか、ただ忙しかったら、もっと忙しくしてみろ。そうしたら、今の忙しさでは忙しくなくなる」

こう言い残すと、そのパートナーは向こうに行ってしまいました。

最初は何て無茶苦茶なことを言う人なんだろうと思ったのですが(笑)、その後コンサルタントとして仕事を続けるに当たり、激務に見舞われるとなぜかこの言葉が思い出されました。そして、今にして思えば、この言葉は本質をついているように思えるのです。

「忙しい」というのは相対的な感情です。ある人にとっては「無茶苦茶忙しい」と思える仕事量でも、別の人にとっては「楽勝」と思える仕事だったりします。

人間はチャンスよりもリスクを過大評価する生き物なので、自分のキャパを少しでも超えそうな仕事量に直面すると、「あー忙しい」とワーニングが発せられるわけです。キャパを少しだけ超える位の仕事なら、本当にそのタスクが必要なのかを再検討したり、冷静に優先順位を考えて納期を伸ばせる仕事は先送りにするなどで対処可能ですが、処理能力を大幅に超える仕事に直面すると、無条件降伏ではないですが、人は機能停止に陥りがちです。

でも、そんな時こそブレイクスルーのチャンスだと思うのです。今までの仕事の仕方が通用しなくなっている訳で、無理やりにでもアプローチを変えることを強いられるからです。無理に進化を強制されている感じ。そして、これは仕事だけでなく、英語の勉強などの他の分野にも当てはまることだと思います。

例えば、アメリカの大学院に留学すると、それはそれは鬼のような量の宿題に追われることになります。1週間後の次の授業までに、100ページ、200ページのReading Assignmentが2つも3つも出るということが良くあります。

こんな中、分からない単語をいちいち辞書で調べたりしていると、1ページ読むのに2分も3分もかかってしまい、「今から1週間寝ずに読み続けても間に合わないじゃん!」という状況に陥り、しばし途方に暮れることになります。

しかし、気を取り直していろいろ考えるわけです。面白いのですが、切羽詰まっている時の方がいろいろとアイデアが出てきます。そして、「形容詞はあまり文脈上重要でないから、訳すのは止めよう」とか、「段落の最初の一文を読めば、その段落がエッセンスをまとめているのか、事例を紹介しているのか、筆者が意見を言っているのか大体分かるので、頭の一文を読んで不要と思われる段落は読まない」などの新たなアプローチが開発され、進化していくわけです。

今までの自分を振り返ってみても、大きく成長したと思われる局面は例外なく「これは死ぬな」と感じるほど忙殺されていた時なので、自分に進化を強いる意味でも、そんな時は逃げずに立ち向かうようにしています。

さあ、気を取り直して頑張りましょう。
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ダルビッシュとウッドフォードと橋下徹

日経ビジネスオンラインに最新コラムがアップされました。

実は今回のコラムでは、ほとんどスポーツビジネスには触れていません。僕自身、米国にビジネスの拠点を移して12年目になりますが、その中で痛切している西欧社会の日本との差というものを書いてみました。

年初に「年初、グローバル化の潮目に思ったこと」でも書きましたが、日本は好むと好まざるとに関わらず、近い将来グローバル化の波にのまれて異文化との本格的な遭遇を余儀なくされるはずです。西欧社会のバックボーンにある一神教的父性原理とは、非常に協力で時として破壊的ですらあります。

日本では、無批判に欧米のものや考え方が良しとされる風潮が一部見られますが、これは非常に危険なことだと思います。確かに、欧米の考え方はクリエイティブで参考になる場合も多いですが、それを猿真似すれば上手くいくという訳ではないと思います。西欧人と日本人の思考・行動様式は本質的に異なるものだからです。

人は異質なものに触れて初めて自らの本質に気付くことができるのかもしれません。その意味で、多くの日本人にとってピンとこないであろう一神教的父性原理をここで敢えて取り上げてみることにしました。近い将来、西欧の一神教的父性原理と遭遇して「何だこれは?!」とびっくりすることもあるかと思いますが、その時「ああ、鈴木の言っていたのはこのことだったのか」と思いだして頂ければ幸いです。

いつもはスポーツビジネスに特化したコラムを書いているわけですが、今回は趣向を変えて変化球を投げてみた感じです。

実は先日日本出張した際、日経ビジネスの担当編集者さんと会食していて、「鈴木さんのコラム、良くも悪くも読者が定着してきましたね」と言われました。実は僕も最近マンネリ感を感じていたので、これは有難い指摘だったのですが、やはりプロの編集者の目は鋭いです。で、いろいろと話をする中で「一度スタイルを崩して書いてみるのも良いのではないか」ということになり生まれたのが今回のコラムでした。

著者と編集者の間には、信頼関係がもちろんベースにあるのですが、コラム1回ごとに勝負をしている感じがあります。良い意味で編集者の期待を上回ったり、裏切ったりする内容を書くことができるかどうか。僕はジャーナリストではありませんし、ライターを本業としている者でもないのですが、そのような僕に対してもプロの編集者として真摯に向き合って下さるのには頭の下がる思いがします。

担当編集者も、それぞれタイプがあって対応はまちまちです。日経ビジネスの場合、定期的に担当が替わるのですが、コラムの内容を真っ赤になる位赤字を入れて返してくる人もいれば、内容にはほとんど修正を加えず、タイトルだけ修正するような人もいます。

ちょうど今の担当は後者のようなタイプの方なのですが、そのような人だっただけに、直接会って前述のようなアドバイスを頂いた時は感激したのでした。

ちなみに、どんな編集者でもコラムのタイトルには非常に敏感で、僕の場合、自分が考えたタイトルがそのまま採用されるのは10回に1回か2回位です。はやり、コラムの場合、タイトルにより読者の数が大きく左右されるという現実もあるので、そこはプロである編集者に基本的にお任せするようにしています。

前置きが長くなりました。初めての試みで読みづらい点もあるかと思いますが、ご批判賜れれば幸いです。

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■ダルビッシュとウッドフォードと橋下徹
 〜父性原理に直面する日本と日本人

 メジャーリーグ(MLB)各球団は2月下旬から春季キャンプに突入しました。史上最高の5170万ドル(約40億円)の入札金でテキサス・レンジャーズに鳴り物入りでポスティング移籍したダルビッシュ有投手も、初めてのメジャーでのキャンプをスタートさせています。今シーズンからメジャー移籍を果たしたのは、ダルビッシュ投手のほか、岩隈久志投手、和田毅投手、青木宣親選手の4名です。これで49名の日本人選手がメジャーでの活躍を目指して海を渡ったことになります。

 MLBで活躍するためには、野球選手としての優れたスキルだけでなく、慣れない異国での環境適応力も必要だとよく言われます。しかし、これは何もスポーツ選手に限った話ではなく、ビジネスパーソンにも同じことが言えるのではないかと思います。つまり、世界で活躍するためにはビジネスを遂行するための優れたスキルだけでなく、異国での異質な生活や思考に揉まれながら、それに飲み込まれることなく力を発揮する力強さも等しく重要だということです。

 日本は少子高齢化社会を迎え、国内市場は縮小して行く一方です。多くの企業では、生き残りをかけて海外マーケットの取り込みが至上命題となりつつあります。ユニクロや楽天のように、英語を社内公用語にする動きも見受けられるようになりました。スポーツ選手は自らの意志で海外に移籍しますが、ビジネスパーソンはその意志や希望に関わらず、近い将来異文化との遭遇を余儀なくされていると言えるかもしれません。

 その意味では、海を渡ってMLBで勝負している日本人選手は、日本のビジネスパーソンの未来の姿と言えるかもしれません。彼らが日夜遭遇している異文化体験は、とりもなおさず日本のビジネスパーソンが近い将来直面するであろう体験なのです。

 私がアメリカに拠点を移して活動するようになって11年半が経過しました。自分の人生の3分の1近くを異国で過ごしていた計算になります。日本人が異国の環境に身を置き勝負するためには、どんな覚悟しなければならないのか。いつもはスポーツビジネスという視点から直球を投げ込むことを目標にしていますが、今回は趣向を変えて日米比較文化論というチェンジアップを投げてみようと思います。

(続きはこちら
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悪くない!パッカーズ株券フレーム

先日、グリーンベイ・パッカーズの株式を購入したのは「NFLのオーナーになりました!」でレポートしました。

株券が来たらこれを飾っておきたいと思うのが、ファンの心理ですよね。250ドルも払ったのに、机の中に寝かせておくのはもったいない!

というわけで、ネットでいろいろと探してみたのですが(いろんな業者がいろんなフレームを作って売っています)、パッカーズファンサイトに良さげな株券フレーム(そうです、株式専用のフレームが売っているのです)が紹介されていたので、そこで購入してみました。値段は、送料・税込で99.98ドル。

実際、額が飛ぶように売れているようです。株券の販売は昨日で締め切られたのですが、発売開始から12週間で26万8000株が売れてるんですもん。見事なクロスセルです。1つ不思議なのは、パッカーズの公式サイトで株券用のフレームが売っていないこと。そこまでやると露骨だと思われるからやっていないのでしょうか??

で、フレームを今か今かと胸を躍らせて待っていた、というのは嘘で、アメリカのグッズには粗悪品も多いので、「どんなのが来るんだろう」と半信半疑で待っていたというのが正直なところ。写真ではディーテルが分からないので(でかいアメリカはこういうところが不便です)。

で、今日フレームが届いたのですが、これがなかなか悪くないのですよ。届いてから、仕事そっちのけで夏休みに工作を作る子供のようにオフィスに設置作業を開始。

↓そして、できあがりがこれ。プリンターを置いているラックの後ろに掛けてみました。


もう少し寄ってみるとこんな感じ


さらに寄ると


木製のフレームの中に、パッカーズのチームカラーの濃い緑色のソフトフレームが入れられており、株券を飾る背景には、お馴染みの黄色のバックがラウンドが。凝ってますよね(笑)。

この色遣いは写真でも分かるのですが、実際に見てみないと、それが安っぽい色なのか、高級感が漂う色なのか分からないんですよね。でも、今回購入したフレームは当たりだったようで、買って良かったと思っています。かなり気に入りました。

さ、仕事しよっと。

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名門コネチカット大バスケ部が学業不振で来季のMM出場権を喪失

大学バスケットボール界に激震が走っています。名門コネチカット大学バスケ部が、部員の学業不振により来季の全米トーナメント(March Madness)の出場権を失ってしまったのです。

以前、日経ビジネスでも「なぜ米国は「スポーツバカ」を戒めるのか(上) 〜大学バスケ優勝チームが受けた、「学業不振」による厳罰」で書きましたが、NCAAは選手の学業成績をモニターする「アカデミック・パフォーマンス・プログラム」を設置しており、この中で学生の成績や卒業率がNCAAの定める最低ラインを下回った場合、チームに厳しい処分を科すことになっています。

NCAAは、昨年10月、更にこのルールを厳しくし、ポストシーズン参加のための学業成績(APR=Academic Progress Rate)の引き上げを決めたばかりでした。4年平均のAPRが900、もしくは2年平均で930を越えなければポストシーズンでプレーする権利を失うのです。

ハスキーズは、一昨年のリクルーティング違反や昨年の部員の学業不振で3つの奨学生枠(スカラシップ)を失うという非常事態に陥っていたのですが、さらにこの新ルールに引っ掛かり、来季のMM出場権を失ってしまいました。ちなみに、ハスキーズのAPRは4年平均で888.5、2年平均で900.5だったそうです。

ただ、アメリカらしい?と思ったのは、コネチカット大も黙ってペナルティーを受け入れたのではなく、大会収益の放棄などを条件にNCAAに特例措置(ペナルティーの免除)を掛けあっていたところでした。男子バスケの全米トーナメントはNCAAバスケ収入の9割を叩き出すお化けイベントです。そこに名門ハスキーズが出場しないとあっては、その人気に水を差すことにもなりかねません。

しかし、NCAAは今月10日、ハスキーズからの免除要請を却下し、来季の出場権喪失が決まってしまいました。バスケファンとしては残念なニュースですが、NCAAはマーク・エマートがトップになってから矢継ぎ早にこうした改革を推進しています。

NCAAは、見方によっては選手をマクドナルド以下のバイト料で雇って巨額なビジネスを手掛けているわけで、その手法に批判はつきものです。穿って見れば、こうした学業とスポーツの両立は、アマチュアリズムというブランドを守るための戦略とも考えられるわけですが、「やらぬ善よりやる偽善」ではないですが、日本でもこうした取り組みは少し参考にできるのではないかと思います。

【参考情報】
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