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“テレビ放映権のボスマン裁判”で原告勝訴の判決

出張で2週間ほどNYを離れていたのですが、その間大きなニュースが飛び込んできました。“テレビ放映権のボスマン裁判”で原告勝訴の判決が下されたのです。

この裁判については、以前「“テレビ放映権のボスマン裁判”のインパクト」にて触れました。ギリシャの衛星放送NOVAが提供する安価なテレビパッケージを英ポーツマスのスポーツバーでオンエアし、プレミアリーグから提訴された店主が、EUの通商の自由(freedom of trade)を主張し欧州裁判所(ECJ)に提訴していたものです。本質的には地域ごとに独占契約を認めるスポーツビジネスの有り方と、自由競争を前提とするEUという地域連合がコンフリクトを起こしているというものです。

この裁判の判決が10月4日に出たのですが、ECJは「英国内法で外国のデコーダーカードを輸入、販売、使用することを禁じているが、それはサービスの自由提供に反する」として原告勝訴の判決を下したのです。

プレミアリーグは国ごとにテレビ放映権を販売していますが、放映権契約の中で放送事業者が国外の住民にデコーダーカードを販売することを禁じています。ですから、本来はポーツマスでギリシャのカードを用いてテレビ中継を視聴することは認められないことになりますが、ESJはこの契約(あるいは法律)自体がEUの認める通商の自由に反すると判断したわけです。

特に英国は、土曜日の午後のサッカーの試合は意図的にテレビ中継しない(スタジアムに観客の足を向かせるため)のですが、ギリシャのテレビ中継なら試合が見られるということで、今後英国ではNOVAにスイッチする人が続出するかもしれません。

現行のプレミアリーグの海外向け放映権は2013年に切れますから、契約内容の見直しは必至ですね。

【関連情報】

“テレビ放映権のボスマン裁判”のインパクト

今、ヨーロッパで“テレビ放映権のボスマン裁判”とも呼ばれる裁判が進行中です。争っているのは、英プレミアリーグとポーツマスでスポーツバーを経営するカレン・マーフィーさん。

マーフィーさんは、バーで放送するサッカー中継でSky Sportsによる高額のプレミアリーグテレビ購読料を嫌い、ギリシャの衛星放送NOVAが提供する安価なテレビパッケージに切り替えました。しかしプレミアリーグは「イギリスで認められているテレビ放送事業者はSky Sportsだけだ」として、英著作権法(UK copyright law)違反でマーフィーさんを訴えたのです。結局、裁判ではプレミアリーグの訴えが認められ、マーフィーさんに8000ポンドの支払いが命じられました。 

しかし、この判決に納得のいかないマーフィーさんは、「自分の行為はEUの通商の自由(freedom of trade)により保証されている」として、この事案を欧州司法裁判所(ECJ)に持ち込んだのです。

実はこの構図は、サッカー界を震撼させたあの“ボスマン裁判”と似ているのです。

ベルギーリーグ2部のRFCリエージュの選手だった、ジャン=マルク・ボスマン選手は、契約終了後、オファーのあったフランス2部のダンケルクに移籍しようとしたのですが、リエージュが同選手の所有権を主張して移籍を阻止しようとしました。そのため、ボスマン選手が所有権の放棄を求めてベルギー国内で裁判を起こしたのです。

裁判自体はボスマン選手の勝訴に終わったのですが(ここは今回のマーフィーさんの件とは違うところかもしれませんが)、これに満足しなかった同選手は、UEFAを相手取って「選手の移籍はEUの労働の自由(freedom of movement for workers)により保証されている」としてECJに訴え、これが認められたのです。

この判決により、クラブは契約の切れた選手の所有権を主張できなくなり、サッカー界の移籍金ビジネスは再考を余儀なくされたわけです。

そして、最近、この“テレビ放映権のボスマン裁判”に関して注目すべき動きが出てきました。

8名いるEC法務官のうちの一人が「テレビ放送の地理的独占権はEU法に違反する」との意見を表明したのです。EC法務官の意見はECJでの判断に大きな影響を与えることは必至です。もしECJがこの法務官の意見のようにテレビ放映権の地理的独占の違法性を認めれば、国ごとに独占権を販売することで多額のマネーを手にすることができている現在のテレビ放映権ビジネスは崩壊することになります。

この影響はプレミアリーグに留まらず、ワールドカップやオリンピックなどヨーロッパ全体を相手にするスポーツ全てに及ぶことになるでしょう。また、テレビ放映権だけでなく、スポンサーシップなど独占権を前提とするビジネス領域には、“第3のボスマン”が現れる可能性もあります。

ヨーロッパは「EUが1つの国」という発想でできていて、EU内では自由競争が前提となっているので、その部分が従来のスポーツビジネスの仕組みと不整合を起こしているようです。

【参考情報】

スコティッシュ・プレミアリーグがリーグ再編を決定

スコティッシュ・プレミアリーグ(SPL)は昨日リーグ再編について合意し、現行の12クラブ1リーグ制を、10クラブから成るトップリーグ「プレミアシップ」と、12クラブから成る下位リーグ「チャンピオンシップ」の2リーグ制にすることが決まりました。

今後は、スコティッシュ・フットボールリーグ(SPLの下部リーグで10クラブ×3部で構成)やスコットランドサッカー協会と協議して細部を詰めていくようです。

この結論に達するまでは、上位10クラブ/下位10クラブの2リーグ制にする案や、14クラブや16クラブの1リーグ制にする案などがあったようですが、最終的にトップリーグのレベルや日程(対戦カード)などが総合的に勘案されて決まったようです。

要は、最上位リーグを厳選・縮小する方向性と、拡大する方向性の2つがあったわけですが、前者になったのは非常に興味深いところですね。Jリーグでも上位8〜10クラブを選抜してプレミア化する構想が検討されていると昨年報じられましたが、SPLもコンセプトとしては同じ方向性なのかなと感じます。

Jリーグは現在J1の18クラブとJ2の19クラブの合計37クラブで構成されていますが、J1クラブだけでも上位と下位の差がありすぎるのではないかという意見も出ています。これを解消するための1つの選択肢としてプレミア化構想が出てきたわけです。

ただ、仮にプレミア化をすればこのリーグに限り人気は相対的に上がり、放映権やスポンサーなどの営業はやりやすくなるでしょうが、プレミアより下のリーグはその逆になってしまうことが容易に想像できます。その際、収益分配をするのか、するにしてもどういった比率で行うのかなど検討すべきポイントは山積みです。

こうした意味から、SPLのリーグ再編は格好のベンチマーク対象になるのではないでしょうか。

【参考情報】

QSLスポーツ、今度はリバプールを買収か

以前「中国人によるプロ野球アジアリーグ構想」でご紹介した中国のスポーツ投資会社QSLスポーツですが、今度は英プレミアのリバプール買収を目論んでいるようです。

リバプールのオーナーは、ジョージ・ジレット氏とトム・ヒックス氏です。ジレット氏はNHLモントリオール・カナディアンズやNASCARのチームオーナーでもあります。また、ヒックス氏は、先日新たな売却先が決まったMLBテキサス・レンジャーズやNHLダラス・スターズのオーナーです。リバプールでは、アメリカ人オーナー排斥運動が起こるなど、地元からの反感もあって、今年春にはクラブを売却する意向を示していました。

買い手として名乗りを上げている黄建華(Kenny Huang)氏が率いるQSLスポーツは、NBAクリーブランド・キャバリアーズの15%の株式取得を進めているほか(まだ正式承認されていない)、MLBニューヨーク・ヤンキースの中国マーケットでの代理店を務めるなど、アメリカのプロスポーツと太いパイプがあります。今度はヨーロッパということでしょうか。

QSLスポーツは中国の野球やバスケットボールリーグのマネジメントも行っているようで、欧米のノウハウを積極的に吸収していくものと思われます。

こうしたアジアの投資家マネーがどうにかして日本市場にも回ってくるような仕掛けを作っていかないといけない時期に来ていますね。

【参考資料】

UEFAが“プラティニ・プラン”を承認

先日、日経ビジネスオンラインのコラムでも書きましたが、負債を前提にした過剰投資モデルでクラブ経営が急速に悪化している欧州サッカー界ですが、財政健全化に向けた草案(通称“プラティニ・プラン”)が昨日UEFA理事会で承認されました。

草案の内容は、基本的にはクラブ経営を単年度単位でモニタリングして、少なくとも収支がトントンになることを目標とするもので、負債が収入を超えそうなクラブには負債縮小計画を求めたり、年俸総額が損益分岐点の70%を越えたクラブにはリーグの査察が入るなどの内容になっています。

実際、プラティニ・プランは2012-13年シーズンから本格実施され、それまでは移行期間として経過措置が取られるようですが、2012年までにこの要件を満たさないと、UEFAが主管する大会には出場できなくなります。例えば、プレミアリーグでは、20クラブ中14クラブが赤字ということで(2008-09年の財務情報)、約4分の3のクラブが財務体質の改善を強いられることになります。

これまでプレミアリーグを筆頭とする欧州サッカー界には、その成長性に目をつけた中東やロシア、アジアの投資家のカネが流れ込んでいました。この投資マネーが欧州サッカー界の成長を後押ししてきていたわけですが、UEFAはここにきて「成長」から「安定」に大きく舵を切ったことになります。

Financial fair play protects football's stability(UEFA) 

”ウィンブルドン化”する英プレミアサッカーリーグ

昨日(7月4日)はアメリカの独立記念日(Independence Day)でした。1776年7月4日に独立宣言が公布されたので、アメリカは231歳の誕生日を迎えたことになります。実は、アメリカが独立宣言を交付したのは、イギリス本国との独立戦争(1775年〜)のさなかでした(アメリカの独立が正式に認められたのは1783年のパリ講和条約)。独立が承認された日ではなく、戦争中だったにも関わらず独立を宣言した日を「独立記念日」とするのは、いかにもアメリカらしいところですね。

ところで、独立記念日に偶然僕が目にしたSBJの記事は、皮肉にも「アメリカの侵略」(American Invasion)と題された、アメリカのメジャープロスポーツのオーナーが英プレミアサッカーリーグに進出するというものでした。記事の内容を紹介する前に、ごく簡単にプレミアリーグの概要を見てみようと思います。

プレミアリーグは全20チームで構成されるリーグで、2006年のリーグ収入は29億3000万ドル(=約3516億円)です。同年のNFLの売上が60億ドル、MLBが52億ドルであることを考えると、リーグの経営規模としてはアメリカトッププロリーグの半分くらい、だいたいNBAやNHLと同程度といったところでしょう。ただ、イギリスの人口がアメリカの約6分の1程度であることを考えると、相対的にはかなりの市場規模と言えるかもしれません。

ところで、今プレミアリーグでは「ウィンブルドン化」が進んでいるようです。「ウィンブルドン化」とは、テニスの聖地=ウィンブルドンで活躍する選手に自国のイギリス人が少ないことから、「市場開放した結果、マーケットが外資で占められてしまう」といった意味で使われる用語ですが、現在20チームあるプレミアリーグのうち、実に8チームがイギリス以外の企業や個人によって保有されています。アメリカ4大スポーツ全122チーム中、筆頭オーナーが純粋な北米企業/個人でないのは、任天堂の米国法人=Nintendo of Americaが保有するMLBシアトル・マリナーズ1チームだけであることを考えると、いかに「ウィンブルドン化」が進んでいるかが分るでしょう。

さて、SBJの記事に戻りますが、現在プレミアリーグのオーナーに名を連ねているアメリカ人は次の4名で、合計3つのチームを保有しています。

■チーム名 / オーナー名(アメリカでの保有チーム)
Aston Villa / Randy Lerner(NFLクリーブランド・ブラウンズ)
Liverpool / Tom Hicks(MLBテキサス・レンジャーズ、NHLダラス・スターズ)、
         George Gillett(NHLモントリオール・カナディアンズ)
Manchester United / Malcom Glazer(NFLタンパベイ・バッカニアーズ)

記事によれば、こうしたオーナー達は、

・インターネット経由で満足にチケットが購入できない
・スタジアムの老朽化が進んでいる
・法人顧客への営業が弱い
・スイートボックスのプライシングが画一的

といった点などから、プレミアリーグは「今まさにアメリカが10年以上前に経験した、スモールビジネスからプロフェッショナル企業への過渡期にある」と考え、アメリカの資本とノウハウを投入して効率的なビジネスモデルを確立しようとしているとのことでした。事実、Aston Villaは、毎年幹部スタッフをブラウンズに視察・勉強会に派遣しており、Liverpoolもレンジャーズやスターズの経営幹部からコンサルティングを受けているということです。

ただ、個人的にはこうした取り組みがすぐに成功するかは?だと思います。どこかのファンドのCEOが「日本の経営者と株主をエデュケイトする」と言って物議を醸していましたが、いかに全うな言い分・ソリューションであったとしても、その導入方法を間違えれば現場の抵抗にあうのは必至です。

こうした意味で、231年後のアメリカの「逆襲」がどうなるか注目したいと思います。

プレミアリーグがYouTubeを提訴

NBAやNHLなどが積極的にYouTubeやGoogle Video、Joostなどのニューメディアとの提携戦略を推進していますが、プレミアリーグは今月4日、YouTubeを著作権侵害で提訴したそうです。

リーグによりYouTubeなどのニューメディアへの対応が分かれているところですが、この訴訟の行方も引き続き追って行きたいと思います。

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YouTubeClassAction.com

空飛ぶ看板広告?

本当に風で飛んでしまったみたいですね。
こんな仮想広告があったら、注目度は抜群でしょうが(笑)。

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