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惨敗を理由にシーズンシート保有者に払い戻し?

MLSシアトル・サウンダーズは、5月8日の対ロサンゼルス・ギャラクシー戦で0-4の惨敗を喫したことを理由に、シーズンシート保有者にこの試合のチケット料を払い戻すことにしたそうです。

このニュースを聞いた時は、一瞬「嘘!?」と思いました。理由はいくつかありますが、まずチケット価格をむやみに割引することは“禁じ手”とされているからです。1回下げたチケット価格を上げることは非常に難しいからです。今回は、「0-4で惨敗したこと」が割引の理由だそうですが、今後も0-4で負けることがあれば同じように割り引きするのでしょうかね?しないならば、それなりの理由が必要になります。

また、他のチケット購入者との公平性の問題もあります。今回の割引はシーズンシート保有者限定ということですが、シーズンシート保有者とそれ以外のファンでこの1試合の観戦価値は同じはずです。確かに、シーズンシート保有者は最も収益性の高い顧客ですが、他の顧客もシーズンシート予備軍として大切に扱わなければならないはずです。

と、大まかにこの2つがこのニュースをタイトルレベルで知った時に僕の頭をよぎった所感でした。

で、気になったので、少し情報を集めてみたところ、まず払い戻しは現金ではなく、来シーズンのシーズンチケット更新時に割引クレジットとして利用されるということが分かりました。つまり、正確には「払い戻し」ではなく、体の良い「シーズンシート更新プロモーション」だったということです。この辺りのPR術は上手いですね。

また、サウンダーズは昨年MLSに加入した新しいチームなのですが、新チームということでご祝儀市場も手伝ってか観客動員数がもの凄く、初シーズンだった昨年の1試合平均観客動員数は3万943名とMLS新記録だったそうです。しかも、プレーオフに進出したということで、その人気は今年も継続しており、シーズン開幕後5試合の平均観客数は3万6144名だったそうです(ほぼ満席)。うち、シーズンシート保有者が3万2000名ということですから、その人気の凄さが分かります。

この数字を見て、サウンダーズのシーズンシート比率が非常に高いことが分かります。単純計算で88.5%となり、これはNFL並みの数字です。逆に言えば、シーズンシート保有者以外のチケット購入者は1割ちょっとということで、この数字からシーズンシート保有者限定の払い戻しを行ったのではないかと推測されます。

しかし、ここまで分かった今でも、個人的には4000名以上のファンの中には「自分はシーズンシート保有者でないから差別を受けた」と感情を害するファンがいるかもしれませんから、この払い戻しプロモーションには賛成できません。仮に僕がたまたま試合を観に行っていたライトユーザだったとして、このようなニュースを耳にしたら、少なくとも「次回も行きたいな」とは思わず、「好きな人で勝手に行ってくれ」と思うでしょう。

僕ならシーズンシート保有者以外のファンにも、集客が難しい試合を対象に「友達を誘ってきたら半額」券のような割引を実施すると思います。そうすれば、もしかして都合がつけば行くかもしれませんし、行かなくともネガティブな印象を残すということはないでしょうから。

で、笑えたのが最新のSBJにあった風刺漫画。このニュースを聞いたマリナーズのファンが球団に払い戻しの問い合わせをしているというものです。

【関連情報】

MLSが新労使協定を調印し、スト回避

MLS労使は3月20日に新労使協定を調印し、ギリギリでストライキ突入を回避しました。

詳しいCBAの内容はまだ明らかになっていませんが、懸案となっていた選手のFA権拡大については、「再入団ドラフト」(re-entry draft)のような仕組みが導入され、旧所属クラブとの契約が切れた選手が別のクラブと公平に契約を結ぶ制度が検討されるようです。

アメリカン・ニードル訴訟の最高裁での口頭弁論が開始」でも述べていますが、旧CBAでは、選手は契約が満了しても自由意志で移籍先を選べないなどの問題点が指摘されていました。これは、契約終了後の移籍の自由を認めたボスマン判決以降の世界のサッカー界の流れに反するもので、FIFPro(国際プロフットボール選手協会)もFIFA基準に従うようにMLSに勧告を出していたところでした。

こうしたことが可能だったのは、MLSがシングル・エンティティで設計された組織で、リーグが一括して選手契約を行っているためなのですが(要は異なる組織間の契約問題ではなく、同一組織内の人事異動という位置づけにできる)、新CBA締結に当たってはリーグ側が選手会側に譲歩したようです。

MLSがスト突入か?

MLSがストライキに突入しそうな気配を見せています。

MLSでは、2005年にリーグ設置後初めて締結された労使協定(CBA)が1月31日に失効しました。その後、2回の交渉期限延長を経て2月25日の最終期限内に妥協点が見つからず、協議は物別れに終わったようです。交渉期限直前に、MLS選手会より労働争議回避(no-lockout pledge with a no-strike offer)が打診されましたが、リーグ機構側がこれを拒否しました。

アメリカン・ニードル訴訟の最高裁での口頭弁論が開始」でも書きましたが、選手会側が求めているのは、ギャランティー(年俸保証)契約の増加、最低年俸の引き上げ、フリーエージェント権の拡大などです。現在、MLS選手の平均年俸は14万7945ドル(約1300万円)ですが、これはアメリカ社会の縮図と言うべきか、一部の高額年俸取得者が平均を押し上げているので、メジアン(中央値)でみると8万8000ドル(約800万円)です。決して高いとは言えない額ですね。

MLSのシーズン開幕は来週木曜日(3月25日)なのですが、先日MLS選手会はシーズン開幕までに新CBAが締結されない場合はストライキを実施する「スト投票」を賛成多数で可決しました。

MLSは、今年フィラデルフィアに新チームがエクスパンションで誕生するほか、NYレッドブルの新スタジアムが完成するなど、新シーズンに向けて話題性が高まっていたところでした。アメリカではサッカー人気はイマイチなだけに、スト突入によってせっかくのポジティブな話題性が吹き飛んでしまわないといいんですけどね。

【関連情報】

MLSチケット販売状況

最新号のSBJにMLSの最新チケット販売状況(8月27日現在)が掲載されていました。残念ながらベッカム選手は8月29日に行われた2007スーパーリーガの決勝で膝を負傷してしまいました。診断の結果、全治6週間ということで、10月一杯でシーズンを終えるMLSの残り試合に間に合うかは微妙な状態になっているようです。

4月に書いた「ベッカム効果はあるのか?」では、4月時点でチケットの前売りが前年同月比で9〜30%アップしていたという状況をお伝えしましたが、8月27日までの販売状況をみると、前年比で+4.3%という結果になっています。

■MLSのチケット販売状況(8月27日時点)
チーム名 / 平均観客動員数 / 前年同月比
===============================
Chicago Fire / 15,028 / +8.8%
Colorado Rapids / 15,093 / +32.0%
Chivas USA / 12,789 / -39.6%
Columbus Crew / 13,510 / -2.0%
D.C. United / 20,721 / +18.3%
FC Dallas / 14,696 / +2.2%
Houston Dynamo / 14,835 / -22.9%
Kansas City Wizards / 9,696 / -9.1%
Los Angeles Galaxy / 23,076 / +15.8%
New England Revolution / 16,199 / +57.6%
New York Red Bulls / 16,543 / +8.3%
Real Salt Lake / 16,225 / +0.8%
Toronto FC / 20,098 / NA(新設チーム)
===============================
MLS平均 15,931 +4.3%

明日、ベッカムがデビュー

いよいよ明日、ベッカムがMLSにデビューします。デビューが13日の金曜日というのもどうなんでしょうか。アメリカでは、こんなベッカムのデビュー戦告知CMもオンエアされています。

ベッカムMLSデビューまであと10日

いよいよ、ベッカムがMLSロサンゼルス・ギャラクシーのデビュー戦(7月13日)に登場するまであと10日となりました。MLSの公式HPには、こんなベッカム・カウントダウン時計なるものまで登場しています。



また、ベッカムのデビューに合わせて、ギャラクシーでは既にオンラインショップでベッカムのジャージの販売も開始しています。



値段は、ホームジャージが$79.99、トレーニングジャージが$59.99となっています。ギャラクシーやアディダスもここぞとばかりにベッカム・マネーの獲得に力を入れだした感じですね。まあ、「ベッカムの高額契約のからくり」でも書いたように、両者のベッカムへの投資額を考えれば当然の動きと言えるでしょう。

こうしたマーチャンダイズでの売り上げ増のほか、「ベッカム効果はあるのか?」でも述べたように対戦チームのチケット売り上げ増などが見込まれるものと思われますが、僕はこうした売り上げに及ぼす直接的な効果以外にも、MLSの目論見として新たなファン基盤の開拓があるのではないかと考えています。

実は、アメリカは知る人ぞ知るサッカー大国であり、競技人口は世界ナンバーワンの約1800万人と言われています。これは、アメリカの野球の競技人口約1000万人を上回る数です(ただし、1800万人のうち約1000万人は女子サッカーと言われています)。つまり、米国でサッカーは「する」スポーツであり、「観る」スポーツとして育ってはいないということでしょう。

MLSは観戦観客(個人顧客)としてヒスパニックマーケットを、またスポンサー顧客(法人顧客)として、そのニッチなヒスパニックマーケットをターゲットにする企業を狙っていると考えられますが、観戦顧客を考えた場合、ヒスパニック以外にも広大な潜在的マーケットが眠っているのではないかと僕は考えています。

これは別に数値で抑えているわけではないのですが、体験的にヨーロッパのクラブが夏季にエクジビションゲームなどでアメリカで試合をする際の観戦者層がまったくMLSの観戦者層と異なっている光景を見たことがあるためです。そこには、ヒスパニックとは全く別な、例えばイタリア系アメリカ人といったヨーロッパ系移民マーケットという別のマーケットが存在するのではないかというのが僕の仮説です。事実、数年前に僕がNYで観戦したマンU対チェルシーの試合では、こうした観戦者層で7万人以上入るジャイアンツスタジアムが満員になっていました。

ベッカム獲得は、アメリカに眠るこうしたヨーロッパ移民系マーケットを掘り起こし、MLSを「観る」スポーツとして更に育成していく意図があるのではないかと僕は考えています。

メッツが新MLSチームの運営に乗り出す?

MLSは2010〜2011年までにフランチャイズ数を16チームにまで拡大する事業計画を発表しています。今年トロントに新フランチャイズ=トロントFCが誕生し、合計13チームになったMLSですから、あと3〜4年で3チーム、ほぼ1年で1チームずつ増やしていく計算になります。そして、ここNYでも現在唯一のフランチャイズであるNYレッド・ブルズ以外にもう1チームを増やす計画があるようです。

面白いのは、その新MLSチームの運営権をメッツが取得に向けて動いているという報道が出ている点です。MLSコミッショナーのドン・ガーバー氏はこの件について「肯定も否定もできない」とコメントを拒否しているようですが、来シーズンから新MLSチームが設置されるカリフォルニア州サンノゼのチームの運営権をMLBオークランド・アスレチックスのオーナー=Lew Wolffが2000万ドルで購入していることを考えると(サンノゼには2005年までアースクエイクスというチームがあったが、2006年よりヒューストンに移転した)、2010年に予定されているNYでの新MLSチームの設置において、メッツがその運営権を取得したとしても、何の不思議もない状況です。

もっとも、同一フランチャイズにある異なる競技のスポーツチームを同じオーナーが所有・運営するというのは別に珍しいことではなく、NYであればかつてMLBヤンキース、NBAネッツ、NHLデビルズを共同経営し、NFLジェッツのマーケティングを行っていたYankeeNets(ヤンキーネッツ)の名前が挙げられます(YankeeNetsは2003年に解散)。それ以外でも、NBAアトランタ・ホークスとNHLアトランタ・スラッシャーズは同一の運営会社によりチーム経営が実施されていますし、NBAフェニックス・サンズやWNBAフェニックス・マーキュリー、AFLアリゾナ・ラトラーズは同じオーナーのもとで経営が行われています。

こうしたクロス・オーナーシップの利点は、経営資源を共有することで効率的なチーム経営を実施することができる点でしょう。例えば、CRMシステムを導入することを例に考えた場合、1チームで行うよりは顧客基盤を同じくするチームでサービスを共有した方が投資対効果が上がるはずです。こうしたシェアード・サービスの思想はチケット販売やスポンサーシップ、放映権販売などあらゆる収益領域に適用できるわけです。

【関連記事】
Mets Said to Be Looking Into an M.L.S. Franchise(NY Times)

MLSがYouTubeと提携へ(続報)

昨日お伝えしたMLSとYouTubeの提携の件ですが、既にYouTube内に次のようなMLS専用ページが設置されていました。



MLSがYouTubeと提携へ

MLSがYouTubeと提携し、今週中にもYouTube内に専用チャンネルを設けるようです。これは、「NBAとYouTubeが提携」でもお伝えしたようなNBAのものと似たようなイメージで、コンテンツ配信により得られた収益は両社により分配されることになるようです。

MLSの昨年の平均観客動員数は約1万5000名。Jリーグが約1万8000名ですから、集客力はJリーグを一回り小さくしたようなイメージで、NFLやMLBなどと比べれば、日本のプロスポーツリーグが比較的ベンチマークしやすい相手とも言えます。

実はMLSのデジタルメディア戦略は徹底したアウトソーシングを活用したものになっており、現行の公式HPがMLBAMによって運営されていることはよく知られています。今回のYouTubeとの提携も、こうしたアウトソーシング戦略の延長線上にあるものと考えられ、日本のスポーツ組織も大いに参考にすべきステップだと思います。

ベッカムの高額契約のからくり

以前、「ベッカム効果はあるのか?」で、ギャラクシーがベッカムと5年総額2億5000万ドル(=約300億円)で契約を結び、MLSが負担する200万ドル(=約2億4000万円)を差し引くと、残りの2億4800万ドル(=約297億6000万円)はギャラクシーの負担となると書きました。

1チームの負担としては大きすぎる額だとちょっと疑問に思った人もいたかもしれません。僕もその一人です。5年総額2億5000万ドル(=約300億円)といえば、米国4大スポーツそれぞれの最高年俸選手を軽く上回ってしまう額で、1週間で100万ドル(=約1億2000万円)が懐に入る計算です。

■各リーグの最高年俸選手(リーグ:選手名 / 契約総額 / 1年平均)
MLS: David Beckham / 2億5000万ドル(5年契約)/ 5000万ドル
--------------------------------------------------------------------
MLB: Alex Rodriguez / 2億5200万ドル(10年契約)/ 2520万ドル
NBA: Shaquille O'Neal / 1億5200万ドル(6年契約)/ 約2530万ドル 
NFL: Michael Vick / 1億3000万ドル(10年契約)/ 1300万ドル
NHL: Jaromir Jagr / 8800万ドル(8年契約)/ 1100万ドル

ただ、ギャラクシーのオーナーがリーグ創設から今までMLSに巨額の投資を行ってきた大金持ちのPhilip Anschutzだっただけに、もしかしたらアリなのかもなぁとも思ったのですが、気になったので少し調べてみたところ、面白いことが分りました。

SoccerAmerica誌によると、2億5000万ドルのうち、ギャラクシー(+MLS)が負担するのは5000万ドル(=約60億円)で、残りはスポンサーシップ企業とのエンドースメント契約や物販収益から捻出されるようです。

■ベッカムの契約内容詳細(SoccerAmerica誌)
・ギャラクシーとの契約(約5000万ドル)
・adidas, Gillette, Motorola and Pepsiとのエンドースメント契約(約1億ドル)
・物販収入(約5000万ドル)
・AEG社との収益分配契約(約5000万ドル〜1億ドル)

これが正しいとすると、サラリーだけで5年総額5000万ドル(=約60億円)、年平均で1000万ドル(=約12億円)と、A-RodやShaqと比べると見劣りする内容ということになります。MLSは契約内容の詳細を明らかにしていないので、話題作りのためにうまく広報したなあと今更ながら感じます。「5年総額2億5000万ドル」という数字はインパクトありますから。

ちなみに、SBJによればAdidasはベッカムとのエンドースメント契約により、MLS関連グッズの売り上げ400%増を予想しているとのことです。

【関連記事】
DAVID BECKHAM: Anatomy of a deal(SoccerAmerica)
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