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メディア消費形態の変化についていけるか?

NYに戻りました。1週間オフィスを空けると、不在郵便や入手資料、データの整理で結構時間を取られてしまいますね。

さて、久しぶりの話題はテレビ視聴の変化についてです。

ニールセンが10月に約1500名を対象に実施した調査によると、18〜34歳の視聴者の56%が、見逃したテレビ番組をDVRやインターネット、MP3プレーヤーで見ているという結果が出たそうです。これは、55歳以上の約2.6倍にあたり(55歳以上は21%)、若い世代のテレビ消費形態の多様化がうかがえます。ちなみに、55歳以上の層の55%は「再放送を待つ」と答え、これは18〜34歳の2倍以上(18〜34歳は24%)となっています。

この数字は見逃した番組についてなので、生放送の価値が高いスポーツコンテンツにはそのまま当てはならないでしょうが、スポーツ組織も、遅かれ早かれこうした視聴者のメディア消費形態の変化に柔軟に対応していかなくてはいけなくなるでしょう。

先月出席したスポーツビジネス関連のカンファレンスでも、ESPNやTNTなどのスポーツコンテンツを放送するテレビ局のプロデューサーが、「テレビ局としても、多チャンネル化が進み、消費者のメディア消費形態が多様化する今、視聴率に囚われすぎるのは非現実的である。パソコンや携帯端末などを用いた視聴者のメディア消費の多様化に柔軟に対応することが必要」と異口同音に語っていました。

スポーツ組織としては、メディアパートナーとしてのテレビ局のこうしたマルチメディア展開をサポートできるコンテンツ提供を検討すると同時に、どういったコンテンツはパートナーを介して幅広く普及させ、どこまでは自前で抱えるかを戦略的に判断することが必要となります。

この度合いはリーグによってまちまちですが、その興行形態やデジタル資産の量、これまでのデジタル投資額といった変数を考慮しながら行うことになるでしょう。先日、クライアントと一緒にNBAにデジタルメディア戦略の話を聞きに行って来ましたが、彼らもこの辺のことを鑑み、「統合から拡大」に思い切って戦略変換したと言っていました。

ただし、日本の場合、キー局による“系列ビジネスモデル”によるネット配信への拒否反応(番組のネット配信を実現すると系列局のネタがなくなる)などの障害も多く、実現には時間が掛かるかもしれませんが。

【関連情報】
Nielsen: Young Viewers More Likely to Watch Shows Using Non-traditional Media(Media Week)

フランスもプレミアリーグに追随(YouTube訴訟)

先月、「プレミアリーグがYouTubeを提訴」にてプレミアリーグがYouTubeを著作権侵害で提訴したニュースをお伝えしましたが、この動きに仏テニス協会や仏フットボールリーグなどが追随する動きを見せています。このブログでも度々お伝えしている通り、NBAやMLSが積極的にYouTubeとの提携戦略を進めていくなかで、ヨーロッパはアメリカとは対照的な動きを見せているようです。

誤解を恐れずに言えば、ヨーロッパのプロスポーツは、ボスマン判決に象徴されるように法令順守の姿勢が例外なくスポーツ産業にも適用され、その中で自由競争が繰り広げられている特徴がありますが(いわゆる「開放型」)、アメリカのプロスポーツはMLBの反トラスト法免除法理に代表されるように、スポーツビジネスと特殊な産業として位置づけ、その中で部分的法律を曲げながらビジネスを行っている特徴があると思います(いわゆる「閉鎖型」)。

今回のYouTubeに対する対応も、こうした欧米のスポーツビジネスの差から生じたと言ったら、飛躍しすぎでしょうか。

【参考情報】
French sports groups join suit against YouTube(CNET News.com)

テレビCM効果逓減に対するテレビ局の試行錯誤

テレビCM効果の逓減が言われる中、テレビ局側もいろいろな新しい取り組みを始めているようです。

以前、「Tivolutionとテレビ局の反撃」「CM差し替え機能に見る新たな収益源」で、試合展開によって内容を変えるCMや、DVR録画に備えて毎朝タイムリーなCMを配信する特許の話などを書きましたが(これらはいずれもFOXのもの)、CBS系列のテレビ局CWは、5秒スポットのCMやCM枠なしで番組中にプロダクトプレースメントを行うなどにより、視聴者のCM離れに歯止めをかけるということです。

5秒CMは、CM枠の最初のスポットでオンエアされるということで、5秒枠を最初に持ってくれば、DVRに録画されていたとしてもスキップされずに見てもらえるのではないか(5秒なら早すぎてスキップできない?)という思惑もあるようです。まあ、苦肉の策と思えなくもないアイデアですが。

【参考記事】
Ads That Are Too Fast for a Fast-Forward Button(NY Times)

地上波FOXが社内広告代理店を設置

米国の4大地上波の1つ=FOXが、社内にクロスメディア型の広告代理店「Fox Infinity」を設置したと発表しました。

放送メディアと通信メディアの融合に代表されるように、各メディアを配信チャネルとして区別して捉えるのが無意味化してきたことが背景にあるのではないでしょうか。FOXも「自分たちのコンテンツが生きるところなら、誰とでも手を組む」という姿勢を鮮明にしています。

スポーツビジネスでも、「放映権」「インターネット」「スポンサーシップ」といった各収益領域の境目が今後ますます曖昧になっていくことが予想されます。こうした近未来を予想した組織再編、コンテンツ製作などを行っていく必要があるでしょう。

【関連記事】
Fox Launches In-House Ad Agency(Broadcasting & Cable)

テレビ放映権の未来

最近『テレビCM崩壊〜マス広告の終焉と動き始めたマーケティング2.0』(翔泳社)という本を読んだのもあってか、テレビ放映権モデルの領域にアンテナが無意識に張られていたため、いくつか気になる記事を目にしたのですが、それぞれの関連性を考えるとそれらが何だか1本の線につながったような気もしました。

この本自体は、そもそもテレビ視聴率の測定方法や、その効果に疑問があったテレビCMというビジネスモデルが、近年のインターネット(Google)の登場や、このブログでも度々触れているDVR、VODなどの登場によって窮地に立たされているという内容のものです。

僕が最近目にした記事は、まずはFinaicial Timesのもので、テレビ番組製作費の高騰がテレビ局の収益を圧迫しつつあるというものです。記事によると、1990年代始めの番組製作費は100万ドル(=約1億2000万円)程度だったのですが、これが近年270万ドル(=3億2400万円)にまで高騰しているということです。この背景には、番組制作に人気脚本家・俳優を起用や特殊効果などが必要不可欠になってきていることが挙げられるそうです。

スポーツ中継は、比較的製作費のかからないキラーコンテンツとされてきましたが、近年米国のスポーツ中継でも質の高いテレビ中継をファンに届けるためにカメラの台数を増やしたり、カメラマンの教育費を確保する、(試合前練習など)試合時間外の選手の動向をも追いかけるなどの動きが出てきており、これが製作費を圧迫しているのではないかと個人的には感じていました。

次いで、Biz Reportの記事では、来年からNFLと、スーパーボウルの放映権を持つ地上波ネットワーク=FOXが、SBの広告主に対してCMだけでなく米国最大のSNSサイト=MySpaceでの露出も用意するというものです。昨年のSBの30秒CMスポットは260万ドル(=約3億1200万円)で販売され、今年はこれが270万ドルになるものと予想されています。MySpaceでの追加露出は広告主へのバリューアップの一環として行われるワケですが、裏を返せばCM効果だけでは高い広告費をペイしないと考える広告主が増えてきたということでしょう。テレビ局の立場で考えれば、番組製作費がかさむ中で、CM料でそれを回収するのがより難しくなってきたと言えるのかもしれません。

そして、最後に最近SBJで読んだのが、米国テニス協会(USTA)と地上波CBSが更新したテレビ放映権契約の内容についてです。CBSは2008年まで、年額平均3000万ドル(=約36億円)でUSTAと放映権契約を結んでいました。そして、2009年以降の放映権の更新が最近なされたわけですが、この契約の内容が、最初の2つの記事で僕が感じていた流れを裏付けるようなものになっていたのです。

2009年からの新契約の内容は、6年契約で総額(ギャランティー部分)が1億4000万ドル〜1億5000万ドル(年額平均2300万ドル〜2500万ドル)と言われており、これにプラスして一定条件を満たした収益が双方に分配されるという収益分配条項が盛り込まれていたのです。ギャランティー部分だけで比較すると、旧契約より20パーセントほど放映権料が安くなっている計算になりますが、その分を(視聴率が予想通り取れれば)後から収益分配で回収できるという具合です。

誰が勝つか分からないという結果不確実性がスポーツの醍醐味ですが、テレビ局としてはその不確実性を吸収できないほど収益環境が変化してきているという証なのかもしれません。テレビ放映権契約に収益分配スキームを導入しているスポーツ組織は以前から一部に見られましたが、今後こうした傾向は益々強くなっていくものと思われます。

スポーツ組織には、今後よりテレビ局が放映権料を支払いやすいような番組制作における協力体制、契約スキーム、広告主がCM料を出しやすいスポンサーシップインベントリの開発などが求められていくことになるでしょう。


【関連記事】
Quality TV squeezes networks(Finaicial Times)
Fox to offer MySpace slots to Super Bowl advertisers(Biz Report)

バイラルマーケティング

Web2.0時代には、どれだけ他者との関連性を仲介できるかが成功のポイントとなると言われていますが、こうしたパラダイムシフトは広告にも影響を与えているようです。

先日、実施された東京インタラクティブ・アド・アワードでグランプリに輝いたのが、以下のナイキの「Cosplay」です。YouTubeといった動画共有サイトにアップして、口コミを狙うというバイラルマーケティングの典型的な作品と言えるのではないでしょうか?



【関連情報】
東京インタラクティブ・アド・アワード

DVRユーザをどう取り込むか

昨日「CM差し替え機能に見る新たな収益源」でDVRユーザが録画した番組を再生した時にCMはほとんど見ないのではないかと書きました。この点について、今日偶然面白い記事を見つけたので、ご紹介したいと思います。

これは日経BP Netが紹介しているeMarketerのものなのですが、記事によると「DVRに録画されたテレビCMの約4分の1は、実際に視聴者が見ている」ということです。僕は個人的な体験として「ほとんど100%CMはスキップしている」と昨日書きましたが、DVRユーザは僕のような人ばかりではないということでした(笑)。

この記事のエッセンスは、次の点だと思います。

これまで、根拠がないにもかかわらず、「DVRや、ビデオ・オン・デマンド(VOD)が、従来のテレビ放送の広告モデルを駆逐する」という認識が広く浸透してきた。全米広告主協会(Association of National Advertisers)のメンバーであるForrester Research社が実施した2006年3月の調査によると、広告主の約70%は、DVRやVODが従来の30秒CMの効果を低減させ、もしくは消滅させるだろうと信じているという。さらに、DVRを所有する世帯が3000万世帯に達すると、広告主の大半はテレビCMにかける費用を削減するようになるだろうという結果が出ている。

このような調査結果は、事実がどうであるかということよりも、テレビCMの効果に対する懸念から生まれたものだといえるだろう。つまり広告主の多くが、DVRユーザーにリーチするための戦略を、現在見直しているということを、この結果は意味している。


つまり、DVRやVODの出現によってテレビCMが消えてなくなってしまうわけではなく、DVRやVODユーザにリーチするチャネルが従来の電波やケーブルを通じたCM配信から変化しているということなんでしょう。そういう意味では、昨日ご紹介したFOXとTiVoが開発した「CM差し替え機能」などは、こうした動きに対応した戦略と言えるわけですね。

こうした背景を踏まえずにTiVoの動きを「単なるポーズでは?」などと言ってしまいました。スミマセンでした。

とはいえ、「4分の1」という数字を高いとみるか、低いとみるかはまちまちだと思います。やはり、番組自体の視聴率に比べると、(トイレに行ったり、他のチャンネルに換えるなどで)CM中の視聴率が落ちるのは避けられないところだと思います。こうした背景もあり、米国ではCGを用いたバーチャルAdを番組内で流すといったことも増えてきています。

将来的には、先に紹介したCM差し替え機能も、番組内でのバーチャルAdに対応したものになっていくのではないでしょうか。また、スポーツ組織側もそうしたトレンドを踏まえた上で動いていく必要がありそうです。

【関連記事】
DVRユーザにリーチする最適な方法とは(eMarketer)

CM差し替え機能に見る新たな収益源

昨年末、「Tivolutionとテレビ局の反撃」にて、DVR(デジタル・ビデオ・レコーダー)の登場でテレビCMの広告価値が低下していく中で、テレビ局(地上波FOX)が広告価値を高めるささやかな反撃を行っているというブログを書きました。実は、同じくFOXが今度はなんとTiVoとタッグを組んで広告価値を高めていこうとする動きが出てきました。

FOXはTiVoと協力して、DVR内に録画された番組のCMについて、番組再生時にCM内容を新しいものに差し替える技術を開発し、それを特許申請しました。この技術によれば、毎朝TiVoに新しいバージョンのCMが配信されるため、いつ録画番組を再生しても、タイムリーなCMが見られるということです。

例えば、週末のイベントやセールをターゲットにしたCMを週の半ばにオンエアしたとしても、視聴者が録画した番組を週明けに見たとしたら、このCMの効果はゼロになってしまいます。新技術によれば、こうしたタイムラグによるCM効果の減退を防ぐことができるようになるということです。

ただし、いくら新しいバージョンのCMが毎朝配信されたとしても、肝心の視聴者がCMをスキップしてしまえば効果なしということになります。いちTiVoユーザの意見として、録画した番組を見る際は、ほとんど100%CMをスキップしているので、この新技術の実際的な効果のほどはかなり疑問です。穿った見方をすれば、大手ケーブルテレビキャリアがTiVoと同じようなDVR機能をユーザに安価に提供するようになり、TiVoの旗色が悪くなる中で、テレビ局との関係を悪くしたままにしておけなくなったTiVoの単なるポーズなのではないか、という気もしないわけではないですが。

ただし、少し視野を広げて、こうしたCM差し替え技術がテレビだけでなく、ネットや携帯でもできるようになれば、大きな収益源になる可能性を秘めているとも考えられます。例えば、現在インターネットでMLB.TVを見ると、テレビCM中はネットではCMはオンエアされず、スクリーンセーバーが現れるだけになっていますが、こうしたライブ映像やアーカイブ映像にもタイムリーなCMがオンエアできるようになれば、大きな収益源として期待できるのではないでしょうか?

【関連記事】
Media Buyers Intrigued by Fox Plan for Updated DVR Ads(AdAge)
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