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MLBの収益分配制度

MLBの収益分配制度は、日本でもよく取り上げられることが多いですが、実は非常に複雑な制度で、「分かったようで分からない」制度なのではないでしょうか。収益分配制度の功罪を分析した経済学者の本を邦訳出版するということもあって、僕にも多少の説明責任はあるのかなぁとも思います。なので、今日はこの場を借りてMLBの収益分配制度の全体像をご紹介しようと思います(ただし、これは僕の個人的な理解ですので、もし誤解がありましたらご一報下さい)。

尚、本日ご紹介する概要は2002年から2006年までの労使協定に定められていたものです。新協定では、収益分配制度に修正が加えられていますが、それはまた別の機会にご紹介しようと思います。

労使協定に規定されている収益分配制度(Revenue Sharing Plan)は基本的に以下の3つの仕組みから構成されています。

  Base Plan(基本プラン)
  Central Fund Component(中央基金コンポネント)
  Commissioner's Discretionary Fund(コミッショナー裁量基金)


このうち、報道などでよく取り上げられるのは,痢Base Plan」の部分です。以下に、 銑の基本的な概要を解説しますと、

Base Plan(基本プラン)
全チームに課税して、全チームに分配するもの。

<課税方法>
各チームの純収入(全チーム収入からスタジアム経費を差し引いた額)の34パーセントを課税
<分配方法>
総徴収額の100パーセントを全チームに均等分配(いわゆる「ストレート・プール方式」)

当然、チームの収入には大きな差があるので、ヤンキースやレッドソックスのようなチームは分配額より徴収額の方が多くなり結果的にマイナスに、ツインズやロイヤルズのようなチームはその逆でプラスになります。

Central Fund Component(中央基金コンポネント)
高収入チームのみを課税して、低収入チームに再分配するというもの。課税総額はBase Planで再分配された総額の41.066パーセント相当額(これを便宜的に「A」としましょう)と決められている。

<課税方法>
Base Planにて支払い側に立ったチーム(つまりマイナスになったヤンキースなどのチーム)に対して、チームの売上げがリーグ平均をどれだけ上回っているかにより、「A」が按分されて徴収される(Base Planとは別に課税される)。例えば、平均をそれぞれ30億、10億上回っているチームがいるとしたら、前者は後者の3倍の額が徴収される。
<分配方法>
Base Planにて受け取り側に立ったチーム(つまりプラスになったツインズなどのチーム)に対して、チームの売上げがリーグ平均をどれだけ下回っているかにより、「A」が按分されて分配される。

そもそも、「Central Fund」とは、MLBがリーグ収入を管理するために設けている基金で、後述する「Central Revenue」をチームに収益分配する際に用いている仕組みです。この「Central Fund Component」は文字通り、Central Fundの一部(Component)として機能するもので、最終的に全ての収益分配の要素が計算された後に各チームに収益分配が実施されることになります。

Commissioner's Discretionary Fund(コミッショナー裁量基金)
コミッショナーが最大1000万ドルまでを自由裁量でチームに分配できるというもの


以上3つが、いわゆる「収益分配制度」を構成する分配の仕組みとなります。ただし、MLBにはこれ以外にも以下の2つの分配制度が存在します。

  Central Revenue(リーグ収入)
  Gate Receipts(入場料)

Central Revenue(リーグ収入)
オールスターゲーム収益、テレビ放映権収入(全国放送)、インターネット収入、グッズ(ライセンス)収入などのリーグ収入は、コミッショナー事務局のコストが差し引かれた後で全チームに均等分配される

Gate Receipts(入場料)
ア・リーグでは入場料が80対20でホームチームとビジターチームに分配される。ナ・リーグでは入場者1人につき42セントがビジターチームに分配される。これは、1995年まではチーム間で行われてきましたが、96年よりCentral Fundを通じて行われるようになりました。

↑1996年の協定により中止されました

このように、細かく見るとMLBの収益分配には上記の5つの仕組みがあり、繰り返しになりますが全ての仕組みが最終的に勘案された額がCentral Fundを通じて各チームに分配されることになります。

また、課徴金(一定の年俸総額以上のチームに課せられるぜいたく税)が収益分配の対象になるかのような報道が一部に見られるようですが、これは誤りです。ぜいたく税は収益分配の対象にはなりません。これはまた今度解説しますね。

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comments

ぜいたく税は収益分配の対象にはならないんですね。
今まで勘違いをしていました。
MLBの収益分配制度というのは報道などでよく聞きますが、詳しいことは何も知らなかったのですごく勉強になります。

  • MPGS
  • 2006/12/26 6:17 PM
   

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