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当世インターン事情

僕の会社で6月末にインターンシップを終えたN君が、就職活動の合間にオフィスに遊びに来てくれました。N君は「何が何でもNBAに就職する」という強い意志で、留学した誰もが困難を極めるアメリカでの職探しに臨んでいます。

N君によれば、当初は履歴書を全NBA球団に送ったり、リーグやチームが主催するジョブ・フェア(就職説明会)に参加してその反応を待つという典型的な就職活動を行っていたのだそうですが、何十人、何百人といるアメリカ人志望者の中で自分が突出することが容易ではないと悟るのに時間はかからなかったそうです。その後、N君はアプローチを変え、友人・知人のツテでアメリカのプロスポーツ業界に就職した日本人に会い、いかにすれば職を得ることができるのかのヒアリングを行い、彼らのアドバイスを元に履歴書を書きなおし、また必要な売り込み資料を作っている毎日を過ごしているそうです。

話を聞いていて印象的だったのは、タイミングや送付先を間違えると読んでさえもらえない履歴書が多く存在するということが分かったため、まずは間違いなく封筒を開封してもらうために(アテンションをひくために)、頭をひねってある仕掛けをするのだそうです(ここではせっかくN君が足を使って得た情報なので種明かしはしません)。しかも、その封筒を各チームの幹部全員に送るのだそうです。例えば、各チームに5通の履歴書を送るとすると、NBAは全部で30チームありますから、これだけで150通の履歴書を送ることになります。

有名な「エスキモーが氷を買うとき」の中で、著者がNBAサクラメント・キングスのコンサルタントをしていた際、シーズンチケットの更新案内を開封せずに契約を止めてしまうケースの対応策として、まずは更新案内を開封してもらうために手紙をゴム製のニワトリと一緒に送った逸話が記されていますが(※)、送ったものを開封してもらうための戦略としては、シーズンチケットの更新案内も履歴書も同じなのかもしれません。

※可愛らしい紙製ジャージが着せられた体長90センチのゴム製ニワトリがフェデックスの筒型容器に詰め込まれており、ジャージの前面に「ファイルで退場になるな:あなたはファイルで退場寸前です。けれども退場を免れてプレーを続ける方法があります。まずは同封した手紙を読んでください」という手紙がついている

また、現在アメリカでは最低賃金に関する規制が厳しくなっており、卒業した生徒を無休で雇用する(いわゆる「無給インターン」)は行わなくなってきているのだそうですが、大学に籍を置きながら授業の単位の一環とする無給インターンは引き続き採用し続けているんだそうです。有給のフルタイム職員としていきなり雇用されるということはめったにありませんから、N君もまずは無給インターンをとっかかりと考えていたようです。N君は既に大学院を卒業していましたが、これを聞いて本気で母校の授業を部分的に再履修することも考えているそうです。気合いが入ってますよね。

僕は大学院在籍中に起業してしまったので、留学生の多くが経験する熾烈な就職戦線は体験しなかったのですが、採用する立場から多くのインターンに触れてきました。履歴書を100通以上送るというのは、特に珍しい話ではありませんが、アメリカでは日本人は所詮外国人労働者。労働ビザの壁は厚く、こうした努力の甲斐なく、多くの日本人留学生が帰国を余儀なくされるのもまた現実です。

N君はうちの会社のインターン第1号なので、何とか頑張っていい結果を残してほしいものです。

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