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MLBの課徴金(ぜいたく税)制度

以前、「スラムダンク奨学金」を紹介したブログを書いた際、MLBの“業界成長基金”(Industry Growth Fund)について触れました。IGFは1996年の労使協定にて、収益分配制度、課徴金制度とともに設置された「MLB3大改革」のうちの1つで、米国やカナダをはじめとする全世界で野球を普及する目的で設置されたものです。

で、IGFの原資はというと、選手とオーナー側が折半する形になっており、基金設置時でまず選手側は1997年と1998年の年俸の2.5パーセントを拠出し、オーナー側もそれと同額を拠出するという取り決めになりました。オーナー側からの拠出は主に課徴金制度(ぜいたく税)により徴収されたお金が回されることになります。

で、話のついでに課徴金制度によって徴収されたお金の使い道についても触れたところ、読者の方から「徴収されたぜいたく税が収益分配の対象になるというような報道も見られるようなのですが、どうなのでしょう?」という問い合わせがあったので、この場を借りて改めて課徴金制度の仕組みとその用途について解説してみたいと思います。

まずその仕組みですが、年俸総額が一定額を超えた球団に対して、一定率のペナルティー(いわゆる「ぜいたく税」)を課すというものです。ペナルティーの税率は、違反回数に比例して大きくなります。年俸総額を基準とするのは、年俸総額と戦力との相関関係が最も高いとされているためです。

具体的には、以下のような感じです。

(年 / 基準額 / 税率)
2003年 / 1億1700万ドル / 17.5%
2004年 / 1億2050万ドル / 22.5%(初犯)、30%(2年連続)
2005年 / 1億2800万ドル / 22.5%(初犯)、30%(2年連続)、40%(3年連続)
2006年 / 1億3650万ドル / 0.00%(初犯)、40%(初犯以外)

次のその用途ですが、ぜいたく税により徴収された総額は、最初の500万ドルは留保され、それ以外の部分は

 1)MLB選手の福利厚生に50%
 2)高校野球が組織されていない国の選手育成に25%
 3)IGFに25%

というように配分されます。つまり、収益分配の対象にはなりません。

収益分配の対象となるというような記事があるとすれば、それは先日解説した「MLBの収益分配制度」の「Central Fund Component(中央基金コンポネント)」と混同しているのかもしれません。Central Fund Componentでは、金持ちチームに課税して、貧乏チームに分配する形になりますので。

参考までに、課徴金の使途については、労使協定の原文を以下に掲示しておきます。

H. Uses Of Competitive Balance Tax Proceeds
Competitive Balance Tax proceeds collected pursuant to Section B(4) above shall be used as follows.

(1) The first $5 million of the proceeds (collected for any Contract Year) shall be held in reserve for the purposes described in paragraphs (5)(b)(ii), (5)(c)(ii)(C) and (5)(d)(iii) of Section E and, if the Parties agree based on experience under such Salary attribution rules, another $5 million, or such other figure to which the Parties agree, of proceeds (collected for any Contract Year) shall be held in reserve for such purposes. Any amount held in reserve pursuant to this paragraph (1), with accrued interest, shall be contributed to the Industry Growth Fund and used for the purposes set out in Article XXV if and when the Parties agree that there is no longer any need for such reserve.

(2) Fifty percent (50%) of the remaining proceeds collected for each Contract Year, with accrued interest, shall be used, as the Office of the Commissioner and the Association shall agree, to fund benefits to Players active during the term of this Agreement.

(3) Twenty-five percent (25%) of the remaining proceeds collected for each Contract Year, with accrued interest, shall be used, as the Office of the Commissioner and the Association shall agree, to fund projects and other efforts to develop baseball players in countries where organized high school baseball is not played.

(4) Twenty-five percent (25%) of the remaining proceeds collected for each Contract Year shall be contributed to the Industry Growth Fund and, with accrued interest, used for the purposes set out in Article XXV.

ということで、今日の解説はMLBの課徴金制度についてでした。

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