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投資回収フェーズを終えたMLBAMの新たな火種

MLBは先週14日、15日とフロリダでオーナー会議を行っていましたが、そこで今年のMLBの総収入が60億7500万ドルだったことが公表されました。また、MLBのインターネットビジネスを統括するMLBAMの今年の売り上げも4億5000万ドルを超える見通しだということです。

MLBAMは2000年に設立され、全30チームが均等に株式を持ち合っています。ここまで、各チームがMLBAMに投資した金額は約8000万ドル(1チーム平均266万ドル)と言われていますが、今年までにその投資分が全てチームに還元され、投資回収フェーズは終えたようです。

MLBAMが設立された2000年は、アメリカでちょうどインターネットバブルがはじけた時期と重なります。「インターネットは金にならない」とも言われた時期にリーグがネットビジネスに乗り出したリーダーシップも大したものですが、その後年率30パーセント以上で成長を続けたMLBAMは、米国スポーツ界でも類を見ない巨大エンターテイメントIT企業に成長を遂げました。

しかし、一枚岩のように見えたMLBAMですが、投資回収を終えたということもあってか、ここにきてにわかにそのビジネスモデルを巡って議論が巻き起こっています。チームの中には、「MLBAMが管理するインターネット権の一部はチームのものだ」と主張するものも現れたのです。レッドソックスのトム・ワーナー会長は「MLBAMには引き続き成長して欲しいが、ローカルマーケットはチームのものだ」とコメントしています。

ネットで収益化できるモデルを手にした今や、レッドソックスをはじめとするビックマーケットのチームはデジタル権利が喉から手が出るほど欲しいに違いありません。今後、インターネット権を巡るリーグとチームのせめぎあいが激しくなっていくでしょう。ただし、そもそもMLBAMを設立した背景の1つとして、戦力格差が広がったチーム経営を均等化することがあったわけですから、リーグ機構は簡単にはチームに権利を渡さないでしょうが。

しかし、実はそんな思惑を抱くMLBリーグ関係者が冷や冷やする訴訟が争われています。

NHLは、昨年6月にそれまである程度チームにも認めていたインターネット権をリーグに集約して「MLBAM化」するポリシーを打ち立てたのですが、これに対してニューヨーク・レンジャーズの親会社=Madison Square Gardenが「NHLのポリシーは、チームのビジネスの自由を侵害し、反トラスト法(=日本で言う「独占禁止法」)に違反する」として、民事訴訟を起こしたのです。

NHLのケースは、最初からリーグにネット権を集約していたMLBとは経緯がことなりますが、どこまでリーグ機構がリーグ全体としてのビジネスモデルを規定できる権限があるのかは、テレビ放映権など他の領域にも大きなインパクトがありますので、この訴訟の行方は要注意です。

【関連情報】
MLBの今季総収入は6700億円(Nikkansports.com)
Extra Innings in the Digital Game(Business Week)

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comments

すでに回収時期は終わって、次なるフェーズでの課題と
いうことですね。日本ではパ・リーグの動画配信会社が
スタートしたばかりですが、新たなるビジネスモデルと
して注目しています。

洋の東西を問わず、既得権を移転させるというのは
非常に難しいし、時間のかかることなんだというのを
痛感させられます。

資金力豊富な球団がローカルでの権利を主張するのも
理解はできるのですが、リーグ全体での収益あっての
個別球団での利益なのだという発想に立ってほしいです。

  • Baseball all of my life
  • 2007/11/23 2:28 PM

Baseball all of my lifeさん

コメントありがとうございます。おっしゃる通りだと思います。なかなか既得権に手を入れてまで共存共栄を実現するというのは、言うは易しですが、実行は簡単ではないと思います。MLBでも、収益分配制度を実施するのにリーグ設立から90年以上を要しています。

  • tomoyasuzuki
  • 2007/11/23 11:19 PM
   

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