November 2019  |  01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30

スポンサーサイト

一定期間更新がないため広告を表示しています

ヤンキースとレッドソックスに“ぜいたく税”

MLBは先週金曜日(21日)、労使協定が規定する課徴金制度(Competitive Balance Tax)の定める1億4800万ドルの上限を超えたヤンキースとレッドソックスに、いわゆる“ぜいたく税”の請求書を送付しました。両チームにとっては、有難くないクリスマスプレゼントになった格好です。

2007年シーズンのヤンキースとレッドソックスの年俸総額はそれぞれ2億770万ドルと1億6310万ドルでした。両チームは、2006年も課徴金制度が定める上限を超えていたため、今期の税率は40%となり(※2006年が上限を超えなければ22.5%だった)、この税率が超過分に対して適用されるため、“ぜいたく税”の金額はそれぞれ2388万ドル、606万ドルとなります。

ちなみに、現行の労使協定(2007〜2011年)が定めている課徴金制度の年俸総額上限と税率は以下の通りです。

■MLBの課徴金制度(年俸総額上限 / 税率)
2007年:1億4800万ドル / 22.5%(※2006年も違反したチームは40%)
2008年:1億5500万ドル / 22.5%(初犯) 30%(2年連続) 40%(3年連続)
2009年:1億6200万ドル / 22.5%(初犯) 30%(2年連続) 40%(3年連続)
2010年:1億7000万ドル / 22.5%(初犯) 30%(2年連続) 40%(3年連続)
2011年:1億7800万ドル / 22.5%(初犯) 30%(2年連続) 40%(3年連続)

税率については、初犯が22.5%、2年連続の違反は30%、3年連続以上になると40%になります。40%以上になることはありません。

上記が基本となるのですが、実は新労使協定となって税率については規定が細かくなり、2回目以降の違反が連続とならない場合は、間が1年の場合は前回違反時の税率が、2年以上の場合は一段下の税率が適用されます。

ちょっと分かりにくいのですが、例えばレッドソックスが今年に引き続き2008年シーズンも連続違反した場合の税率は30%となりますが、仮に2009年は違反せずに2010年に3回目の違反を犯したとしても、税率は据え置きの30%になるということです。また、09年、10年と2年違反しない年が続けば、11年に3回目の違反を犯しても税率は1つ下の区分である22.5%が適用されます。

また、※印のところは、「なぜ労使協定初年度の税率に、旧協定最終年の年俸総額が関係するのだろう?」と疑問を感じた人もいるかもしれません。これは、旧労使協定(2003〜2006年)には、

・最終年(2006年)が初犯の場合は課税されない
・2005年に違反がなかったチームは、違反回数に関わらず2006年は課税されない

というルールがあり、2006年が例外的に年俸総額を上げやすい条件となっていたためです。

なぜ最終年にこうしたルールがあるかというと、一言で言えば、経営者側に労使交渉を誠実に行わせるインセンティブとするためです。労使交渉が長引くと、経営者側は安易に「前年度までの協定を1年延長しよう」と言って来ることが多いのですが、こういう安易な交渉カードを切らせずに、経営者側と選手会側が誠実に交渉するように仕向けるために、このような条件になっているわけです。

話がちょっとそれましたが、ヤンキース・レッドソックス両チームは、来年1月31日までにコミッショナー事務局にぜいたく税を支払わなければなりません。

徴収されたぜいたく税は、最初の250万ドルが内部留保され、それを超えた額については、75%が選手の福利厚生財源として、残りの25%が“業界成長基金”(Industry Growth Fund)の財源として用いられることになります。IGFは1996年の労使協定にて、収益分配制度、課徴金制度とともに設置された「MLB3大改革」のうちの1つで、米国やカナダをはじめとする全世界で野球を普及する目的で設置されたものです(旧労使協定での課徴金制度はこちらをご参照下さい)。

日本での報道を見ると、「徴収された課徴金は年俸総額の低いチームに配分される」といった記述を目にするのですが、これは収益分配制度と混同している誤りです。

【関連情報】
Yanks, Red Sox hit with luxury tax(MLB.com)

スポンサーサイト

comments

いや、ほんとにその部分いつまでたっても間違って報道されてるんですよね。
昨年お書きになっていた、週刊ベースボールでの記事でもご説明されていたと思うんですけど。
どうも日本のメディアって一度間違って覚えてしまうとそれを訂正することへの反応が鈍い気がします。
その点が重要だと認識していないのか、それとも先に結論ありきで作りはじめているので途中で間違っていたと気づいても、都合が悪ければそのまま流してしまっているのか。

先日バレンタイン監督が日本プロ野球の批判の中で年金や労働環境でさえ劣っていることを批判していましたが、この点に関しては同感で、年俸では太刀打ちできないにしてもそれら福利厚生の充実を図ることが出来れば、重視する点が違う選手も居るでしょうから残るという選択肢も考えてはもらえるような気がします。
個人的には収益分配・閉鎖型に進むことには賛成していませんが、それとはまったく別の問題として福利厚生の財源を何らかの形で回収する、それに限れば資金の潤沢な球団から優先的に徴収しても構わないと思うのですけど。

  • DIME
  • 2007/12/26 11:39 AM

日本では、ぜいたく税に限らず、収益分配、そしてMLBには
直接関係ありませんが、サラリーキャップに関する正確な
理解が不足しているように思います。
個々の表面的な、時には誤解のままとなっていることも
多々あり、また、それぞれ併用した場合のメリットを正確に
理解できていないかなと。自身の反省も含めてそう感じます

労使協定を読むことはそういった理解を深めるのに、
非常に役立つのだなということを最近痛感しております。
もう少し、自分に英語力があればと思いました。

さて、前置きが長くなりましたが、22.5%も結構いい税率
ですが、40%というのもものすごい税率ですね。

ただ、ポイントは鈴木さんご自身もおっしゃっていた通り、
徴収したお金の使い道にあると思います。
福利厚生もそうですが、一時期話題となっていた裏金問題
を解決する上での1つのヒントになるのではと思います。

「裏金をなくす」という発想ではなく(「裏金」を生む
仕組みにしている限り、裏金はなくならない)、
このIGFのように「野球を普及する目的の投資である」と
いう観点に立つことが重要だと思います。

また、「アメリカはアメリカ、日本は日本」という考え方も
いいのですが、労使協定の考え方は日本のプロリーグでも
非常に参考になるのではないかと思いました。

  • Baseball all of my life
  • 2007/12/26 1:56 PM

DIMEさん Baseball all of my lifeさん

コメントありがとうございます。僕は、フィールド上の力量(つまり、チーム力)については、日米でほとんど差がないと感じています。野球のスタイルは違いますが、同じ土俵で戦えば、仮に100戦してもいい勝負になるのではないかと思っています。

ただ、やはりお二人の言われるとおり、お金の稼ぎ方と使い方には大きな違いが存在するように思います。労使協定は英文で200P以上ある代物ですが、これを通読するだけでかなりの知識はつくはずですし、疑問に思うことを考えるだけで、その裏にある思想が分かってくると思います。

労使協定は労使双方の立場から練りに練られて作られているので、格好の参考書になるはずです。

  • tomoyasuzuki
  • 2007/12/26 11:50 PM
   

trackback

pagetop