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Sport Studies in US

 1.Sports Study概要

 「Sports Study」と一口で言っても、その領域は広範で、専攻できる科目も多岐に渡る。詳細は「スポーツ学のみかた」(朝日新聞社)などに詳しく記載されているので、そちらをご覧頂きたい。ここでは、多少(かなり?)乱暴ではあるが、スポーツの捉え方により以下の3つに分類してみることにする。


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 「Sports Industry in U.S.」のページでも触れたとおり、今やスポーツは巨額のお金が動く一大マーケットとなっている。2000年に開催された第34回スーパーボールでは、38社が中継のスポンサーとなった(うち17社がインターネット関連企業)が、各社は30秒のCM枠に対して平均220万ドルを支払っている。FIFAは2002年及び2006年のワールドカップ放映権を、それぞれ13億スイスフラン(約1200億円)、15億スイスフラン(約1380億円)で譲渡している。また、もうすぐ開催されるシドニーオリンピックでは、放映権、スポンサーシップ、ライセンス、入場料等により総額約26億ドルの収入が見込まれているという。

 このように、スポーツが莫大なお金を生み出す経済活動である以上、それをビジネスとして認識し、成功させる専門家が必要になる。チームの運営、チケットの販売や施設の維持・管理、広報活動等は、彼らの仕事の一部である。

 こうした、スポーツを経済活動の視点から捉え、そのマネジメント手法を学ぶことのできる代表的な専攻としては、
Sport Management(Sport Administration):スポーツ経営学、が挙げられよう。また、レクリエーションやレジャーといった経済活動を通じて、より健やかな生活を送ることができるよう、レクリエーション・レジャーの充実を図る人材を育成する、Recreation Managementといった専攻もある。


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 スポーツに怪我はつきものである。スポーツのレベルが高くなればなるほど、選手に求められる体力、スキルも多大、高度になる。それは同時に怪我のリスクが高くなることをも意味する。多くのトップアスリート達は傷害と紙一重のところでプレーしている。多くの偉大な選手が怪我によって引退を余儀なくされてきたのも、悲しい現実である。

 アメリカではアメリカンフットボールが最も人気のあるスポーツのひとつであるが、普及当初怪我人が続出したため、その応急処置をする人材が必要となった。そのため、1950年にNATA(National Athletic Trainer's Association)が設立され、69年にはNATAにより資格認定制度も整備された。

 こうした、スポーツを医学の視点から捉え、傷害予防の知識・技術を学ぶことのできる代表的な専攻としては、
Athletic Trainingが挙げられる。また、身体活動のメカニズムを分析し、より効果的で安全な身体活動を多面的に学ぶことの出来る専攻としては、Kinesiology:運動生理学、が挙げられよう。


スポーツを「人材育成」として捉える

 チームが勝利を収めるためには、洗練された戦略と、それを理解し、実践する優秀な人材が必要不可欠である。このうちのどちらかが欠けても、勝利を掴むことは困難になる。スポーツチームにおいて、統一された戦略を指揮し、選手を育成していくのがコーチの役割である。

 コーチは選手の才能を開花させるために、選手から自発的な向上心を引き出す必要がある。そのためには、選手ひとりひとりの性格、時に応じた心理状態やコンディションを的確に把握する術を身につけ、効果的なコミュニケーションを計る努力をしなければならない。

 こうした、スポーツを人材育成の観点から捉え、コーティングに必要な知識・技術を学ぶことのできる代表的な専攻としては、
Sport Coachingが挙げられる。


 上記3つに分類できない専攻も数多く存在するかと思うが、ここでは割愛させて頂くことにする。悪しからず。


2.Sport Management(Sport Administration)

 ビジネスの原則はどこでも共通であり、顧客に価値を提供する対価としてお金が動くわけである。スポーツ産業もその例外ではない。例えばプロスポーツであれば「面白い試合を観客や視聴者に伝える」ことが価値となるであろう。

 ここで、プロ球団が「面白い試合を観客や視聴者に伝える」ことと、SONYが「すばらしいパソコンを消費者に購入してもらう」ことを実現するためには、目標こそ違え、同一のビジネス機能が必要になる。つまり、顧客の欲する価値を把握し、それを顧客に訴える機能がマーケティングであり、予算作成や株式会社であれば株主に情報開示する機能がアカウンティングであり、資金投下対象とその調達手段を判断し、実行する機能がファイナンスである、といった具合に。

 Sport Managementでは、上記のようなビジネスに共通の機能をスポーツビジネスに適応した科目を履修することになる。ただし、Sport Management学科といっても、
大学(院)により、履修できる科目は異なるので注意する必要がある。ちなみに、UMassの2000-2001年Sport Management学科では次の7科目がMasterの必修科目となっている

(Fall Semester)
  -Sport and the Law
  -Sport Marketing
  -Socio-Historical Foundations of Sport
  -Economics of Sport
(Spring Semester)
  -Sport Finance and Business
  -Sport Management Policy
  -Sport Organization Behavior and Development

 卒業生の進路としては、プロチームのフロント、大学・高校のAthletic Department、スポーツ関連企業などが挙げられる。


3.Recreation Management(*1)

 多くの大学(院)ではレクリエーション学のプログラムをPhysical Educationの学部に設置しているが、単独の学部をもつところもある。レクリエーション学では、余暇のあり方について、肉体と精神の両面で満足する施設やプログラムを検討、計画、実施することになる。

 卒業後は公共/民間施設でのレクリエーション計画や財務管理、メンテナンス等に携わる場合が多く、具体的な進路としては、リハビリテーションの研究者もしくは、国立公園やゴルフコースのマネージャー、スポーツクラブのフィットネスマネージャーなどが挙げられる。


4.Athletic Training(*1)

 アメリカでは、体育学部やスポーツ・サイエンス学部の多くにAthletic Trainingのコースを設置し、公式のアスレチックトレーナー(Atletic Trainer, Certified=ATC)の養成に力を入れている。ATCは1990年に入ると、医師、看護婦、理学療法士と並ぶ第4の医療従事職(Allied Health Care Proffession)として認可されるまでになった。

 NATAの定義によれば、ATCの役割は、―害予防、⊇害認知と評価、傷害管理・治療・処置、ぅ螢魯咼螢董璽轡腑鵝↓ゥ廛蹈哀薀犧鄒と管理、Χ軌蕕肇ウンセリング、の6つと定められている。

 NATA公認のATCになるにはまず、受験資格を満たすことが先決になる。それには、NATAが認定するプログラムを持つ大学、大学院で所定のカリキュラムを修了する方法(この場合、学校とNATA双方から入学を許可される必要がある)と、NATAで指定されている教科のうち1科目をパスし、NATA認定のATCのもとで1500時間以上のインターンを行う方法の2つがある。

 NATAのプログラムを持つ大学院は、現在10校以上あるが、既にATCであるか、ATC試験の受験資格があるものに入学を制限している場合がほとんどであるため、日本の大学を卒業して上記の条件をクリアしていない場合、まず大学に編入し、受験資格を得る必要がある。ただし、2002年からインターンによる受験資格の授与制度は全面的に廃止される。

 卒業生の進路としては、プロスポーツ界、中学・高校・大学、私立病院などが挙げられる。


5.Kinesiology(*1)
 
 Kinesiology(運動生理学)とは、身体の活動や身体運動の力学を複合的に研究する体育学の一分野である。この分野のユニークな点は、特定のスポーツについて自己の能力や知識を高めるのではなく、身体活動のメカニズム、運動が心身の健康に及ぼす効果、より有効で安全な身体活動について多面的に研究することである。それだけに学際的な要素が強く、スポーツ科学、スポーツ心理学、生理学、社会科学などの分野にも深く関わっている。

 スポーツ選手の運動機能向上はもちろん、健康増進のための運動指導、フィットネス、レクリエーションとしてのスポーツ、高齢者や障害者のリハビリテーションなど、あらゆる分野で人間の健やかな身体活動に寄与できる学問領域である。

 卒業後の進路としては、フィットネスセンターのカウンセラーやプログラムコーディネーター、トレーナー、リハビリ指導、コミュニティーセンターや学校、企業の健康アドバイザーなどが挙げられる。


6.Sport Coaching(*2)
 
 チームには各分野のプロとして役割を分担している多くのプロフェッショナル達が携わっているが、コーチには最低限それぞれの専門家と対等に専門用語で会話ができる基礎知識が必要である。さらに、激変する競技ルールや最新のトレーニング理論、スポーツメーカーが続々と開発する新商品にも精通し、世代の違う選手をコントロールする柔軟性も要求される。

 現在特に注目されている分野が心理学である。70年代後半からSport Phychologyとして体育学部でも講義が持たれるようになり、80年代からはメンタルトレーニングがスポーツに不可欠な一要素として取り入れられている。

 また、Motor Learning呼ばれる分野にも注目が集まっている。これは、Kinesiology(運動生理学)やBiomechanics(動作解析学)といった身体活動を分析する学問と比べ、体の動かし方をどうやって学んだり教えたりするかを研究するという点でユニークである。

 ただし、こうした知識を学べばコーチになれるわけではなく、最終的にはコーチとしての実績がものを言うようである。


*1:それぞれの解説は、「'99大学院留学辞典」(アルク)より引用

*2:解説は、「スポーツ留学 in USA」(三修社)より引用

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