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連帯責任の法的根拠

名門である近畿大学のボクシング部が廃部になりました。同部は、過去に11度の日本一を経験するなど、輝かしい実績を残していました。現役部員2名が強盗容疑で逮捕されたのを受けての決定です。

■近大ボクシング部廃部 強盗事件受け OBに赤井、名城(朝日新聞)

 近畿大学(大阪府東大阪市)のボクシング部員2人が強盗容疑で大阪府警に逮捕された事件で、同大学は18日、事態を重視して同日付でボクシング部を廃部することを決めた。

 同大によると、ボクシング部は1943年創部。現在、20人の部員が所属している。同部は近畿の学生リーグでは過去36年連続優勝し、大学日本一にも11回輝いているという。俳優の赤井英和さんのほか、世界ボクシング協会(WBA)スーパーフライ級世界王者の名城信男選手も所属(大学中退)していた。

 強盗容疑で逮捕されたのは、いずれも19歳で同大経営学部2年生の男子学生。東大阪市内の路上で今月6日夜、自転車で通りかかった男性(20)に言いがかりをつけ、殴るなどして、現金7千円を奪ったとして、強盗容疑で逮捕された。逮捕されたうち一人の学生は「ほかにも2人で十数件やった」と供述しているという。

最近、日体大陸上部の部員が合宿所で大麻を所持していた件(部員は退学処分、陸上部には箱根駅伝のシード権剥奪や競技会への出場を6月末まで禁止する処分)や、京都教育大体育会運動部(陸上部、サッカー部、アメフト部など)部員による準強姦事件などもあり、世論に配慮した大学側が厳しい処分を行う流れになることは理解できますが、それにしても釈然としません。

僕自身、大学時代は体育会アメフト部に所属していた経験があるので、もしかしたら無意識的に選手寄りの立場になってしまっているのかもしれませんが、報道で触れる情報だけでは、なぜ部そのものが廃止になってしまうのか、その根拠が見えてきません。

報道によれば、逮捕された部員は強盗で奪ったお金をスロットなどの遊興費にも使っていたようです。もし、こうしたお金が別の部員に流れていたなど、ボクシング部による組織的な関与があれば(もしかしたら、大学側は既にそれを確認しており、公表していないだけなのかもしれませんが)、廃部という厳しい処分もやむを得ないかもしれませんが、報道で見る限り、個人の犯罪の範疇であるように見えます。

先日、「NCAAの「代理人禁止規定」は法律違反」でも書きましたが、連帯責任の議論ではないですが、「一民間団体に過ぎない体育連盟が所属選手だからという理由だけで個人の権利を奪うことはできない」という判決が下されています。この法理を今回の件にそのまま当てはめて考えてみると、「被告と同じボクシング部に所属していた」という理由だけで「好きな運動部活動を行う自由」を一方的に取り上げられてしまうのは、あまり合理的とは思えません。

HPで確認したところ、同部には2名の被告を含め、25名の部員がいるようです。2名の無期停学処分は当然としても、それ以外の23名の部員の人生を大きく変える可能性がある判断が、「臭いものには蓋」的な経緯で行われたとしたら問題です。

近畿大学による処分も、当然連帯責任を取らされた側からの訴訟リスクも検討した上で行われているものだと思いますので、連帯責任を負わせる法的根拠に足るだけの別の理由があったと考える方が自然でしょう。真相はまだ見えてきませんが、教育機関としての責務と個人の権利の保護のバランスの取れた判断がきちんと下されていたと信じたいです。

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