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ブレーブス買収案件とオーナーシップ・ルール

1年ほど前からアトランタ・ブレーブスが売りに出されていましたが、その買収案件が先週13日に基本合意に達しました。

ブレーブスの現オーナーは、雑誌「タイム」や映画会社「ワーナー・ブラザーズ」、ニュース専門ケーブルチャンネル「CNN」、インターネットサービスプロバイダ「AOL」などを傘下に収めるタイム・ワーナー社で、新たな買い手はメディア投資会社=リバティー・メディア社です。

今回の買収案件の基本合意は、売買の当事者間のものですが、最終的に買収が完了するためには、MLBコミッショナーによる最終承認が必要となります。米国では通常各リーグがチーム保有に関する基本的なガイドラインを定めた「オーナーシップ・ルール」を定めています。今回は、ブレーブスの買収をオーナーシップ・ルールという観点から見てみることにします。

MLBのオーナーシップ・ルールに照らし合わせると、今回の買収には2つの問題点が指摘されています。1つ目の問題点は、企業によるチーム保有(コーポレート・オーナーシップ)という観点です。MLBでは、コーポレート・オーナーシップは認められていますが、NBAやNHLほど積極的に推奨されていないのが現状です。企業(特にメディア企業)によるチーム保有には、メディアとのシナジー効果という利点がありますが、やはり本業との掛け持ちになることから、スポーツビジネスに100%集中できないというデメリットもあります。この点で、MLBのオーナーの中にはコーポレート・オーナーシップに反対している人も少なくありません。現在、企業により保有されているMLBチームはブレーブスをはじめ、カブス、ブルージェイズなど少数派です。ちなみに、NFLはコーポレート・オーナーシップを禁止しています。

もう1つの論点は、先日「NBAオールスターゲームに見られる政治学」でも書きましたが、ギャンブルとの関係です。実は、リバティー・メディア社はオンライン・スポーツカジノ=DonBest.comを保有しており、この点をどうするかと言う問題です。MLBやNFLは、ギャンブルに対して厳しいポリシーを持っており、ギャンブル関連ビジネスを保有する企業・個人がオーナーになることは認めていません。逆に、NBAやNHLではそれが許容されており、例えば、ラスベガスでカジノを所有するジョー・マルーフ氏は、NBAサクラメント・キングズとWNBAサクラメント・モナークスのオーナーです。

このように、今回のブレーブス買収案件を、オーナーシップ・ルールという観点から見てみると、以上のような論点が考えられることになります。買収が成立するかどうかはMLBの匙加減しだいとも見えますが、事態を厄介にしているのが、実はリバティー・メディア社が衛星放送大手のDirecTVの買収にも名乗りを上げているという点。DirecTVはMLBの放映権を取得しており、MLBから見れば、いわば「お得意様」で、無下に断るわけにも行かないというわけです。

MLBがどのような判断を下すか、注目したいと思います。

【関連情報】
DonBest.com
リバティー、タイム・ワーナーからのブレーブス買収条件で合意(Wall Street Journal翻訳版)

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