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NFL労使交渉でのサラリーキャップを巡る論点

アメリカでは、来年2011年に4大メジャースポーツの労使協定が一斉に失効します。3月に入り、NFLの来季サラリーキャップ消失が決まったり、MLSの新労使協定が締結されるなど、労使交渉ネタが続いているというこのもあるのですが、専門誌やカンファレンス、ブログなどでもこうした話題が増えてきています。

今日は、NFL労使交渉の大きな交渉トピックの1つであるサラリーキャップを巡る論点を整理してみようと思います。図にすると分かりやすいので、下図をご参照下さい。



上の図が現行CBAによるサラリーキャップ制度での分配イメージ、下図は新CBAに向けてオーナー側が提案している分配イメージです。いずれも、2009-2010年シーズンのNFLの売り上げ推定85億ドルを基準に作成しています。

現行CBAでは、売り上げからまず与信コスト(Cost Credit)枠としてリーグ収入の5パーセントが積み立てられることになっています。昨シーズン時点で、この額が10億ドルに達していたので、サラリーキャップ算出の対象となるのは、85億ドル-10億ドル=75億ドルとなります。このうち、キャップが59%に設定されていたので、選手年俸に充てられたのは総額44億3000万ドルとなります。これが昨シーズンのサラリーキャップのイメージです。

これに対して、オーナー側は現行CBAは選手側に有利すぎるとしてCBAをOPT-OUTしたわけですが、修正案として更に残額の18パーセント(13億5000万ドル)を追加で与信コスト用に留保し、残りをサラリーキャップ算出対象にするというものです。結果的に選手年俸への分配額は36億3000万ドルとなり、選手にしてみれば全年俸総額が8億ドルダウンすることになります。NFLには約1700名の選手がいますから、選手1人平均約47万ドル(約4230万円)の年俸が下ることになり、これはNFL選手会としては放っておけない事態です。

論点としては、この18パーセントという与信コスト用の追加カットがどれだけ合理的なものなのかと言う点がまず挙げられます。数字だけ単純に比較すると、8億ドル失う選手側に対して、オーナー側が失うのは5億5000万ドルと選手により重い負担になっていることになります。

NFL側は18パーセントの追加カットの根拠として、

・2006年の現行CBA締結以来4シーズンで合計36億ドルの追加収入を生んだ
・しかし、うち26億ドルは選手に流れており、リーグが手にしたのは10億ドル
・リーグに12億ドルの経費があり、差し引き2億ドルの赤字に陥っている

という点を挙げていますが、財務諸表などその数字的根拠は示していません。

オーナー側の提案によれば、選手側が昨シーズンと同額(44億3000万ドル)を手にするためには、リーグ収入が101億ドルを超えなければ実現しないことになりますが、リーグ側は来期以降の財務予測の数値を公開することも拒否しています。

NFL労使が新CBAを締結するにはまだ時間がかかりそうです。
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