July 2019  |  01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31

Linsanity現象とBIRG効果

今NYでは、 どのニュースを見てもニックスのJeremy Linの話題でもちきりです。社会現象になっています。NYのスポーツ用品店では、ニックスの背番号17のグッズで溢れています。

メディアにもLin選手の名前を文字って「Linsanity」「Lincredible」「Lintensity」などの造語が溢れています。アメリカに流行語大賞があったら、今年の受賞は間違いないでしょう(笑)。

ニックスファンの間では背番号17が飛ぶように売れているのですが、こうした状況は「BIRG効果」という考え方で説明することができます。これは「Basking In Refrected Glory」の頭文字を取ったもので(「Bask」とは「恩恵を受ける」の意)、社会的に高い評価を受けている他者と自分の結びつきを強調することで、自分の評価を高めようとする行動のことを指します。日本では、「栄光浴」などとも訳されているようです。

つまり、ニックスファンは彗星のごとく現れたLin選手の活躍を身につけるグッズを通じて自分と結びつけることで、自分もその栄光に浴しようとしているわけです。

こうした行動は、スポーツファンだけのものでなく、非常に一般的なレベルでも見られるものです。例えば、ブランド品のバッグを買ったり、有名人と写った写真を他人に見せたりするのも同じです。政治家もBIRG効果を積極的に活用していて、オバマ大統領がスーパーボウル優勝チームをホワイトハウスに招待するのも同様です。

スポーツファンの行動としては、応援しているチームが勝つとその後チームグッズを身につけるファンの数は増え、逆に負けるとその数は減ることになります。面白いのは、勝つと「We won the game」というように、主語に自分も含んだ一人称を用いるケースが多いのに、負けると「They lost the game」のように、自分を含まない三人称になるケースが増えるそうです。「負けたら他人」というワケですね(笑)。ちなみに、こうした心理を「Cutting Off Reflected Failure」の頭文字をとって「CORF」と言います。

こうした心理をスポーツ界もビジネスに上手く利用しています。

例えば、スーパーボウルでは、進出チームが決まると、どちらが優勝しても良いように予め両チームの優勝グッズを製作しておき、優勝直後から勝ったチームの優勝グッズの販売を開始します(負けたチームの“幻の優勝グッズ”は、捨てずに発展途上国に寄付されるそうです)。

スーパーボウルやNBAファイナルなどをテレビで見ていると、優勝が決まった直後のCM枠でリーグが優勝グッズの告知CMをオンエアしていますが、これなどはBIRG効果を活用したものです。BIRGへの欲求は勝利の直後が最も強まるということが研究で証明されているので、スポーツリーグは試合直後からグッズを販売できる体制を整えることで、負けたチームのグッズ製作費用を回収できるだけのアップサイドを確保することができるわけですね。

ところで余談になりますが、先日、スーパーボウルを制覇したNYジャイアンツを祝福する広告をジェッツが地元紙に掲載したことが話題になりました。


これも、ある意味BIRG効果を狙ったものかもしれませんが、ジャイアンツとジェッツのようにライバル関係の強いチームでは、必ずしもBIRG効果が表れるとは言えないかもしれません。むしろ、ライバルを祝福することで、ジェッツファンの団結を促す新手のマーケティングなのかもしれません(笑)。

スポンサーサイト

pagetop