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専門化が進み、日本化する米国のユーススポーツ

先週末のCBSの「60 Minutes」は面白かった。この番組では、度々スポーツに関するテーマも取り上げられることがあるのですが、先週末は「Quarterback Guru」(クォーターバックの教祖)と題して、小・中学校レベルの子供にQBのスキルを教えるコーチの話題が特集されていました。

その映像がこちら。


映像は13分程度ですので、時間があれば是非見て頂ければと思うのですが(こちらにTranspriptもあります)、要は最近は日本の受験戦争さながらに、米国スポーツ界でも有名大学へのスカラシップ入学の競争が激しさを増しており、小学校位からしっかりとしたコーチのもとで指導を受けさせるようになってきている、という話です。受講料は確か1時間400ドル(4万円)って言っていたと思います。

で、びっくりしたのが、12〜3歳の年齢の子供に有名大学がスカラシップを提供してるんですね。こうした子供たちの中から大学でもフットボールを第一線で続けられるのは僅か6%、さらにそこからプロに行けるのは0.08%(1万人に8名)と言われています。

こんな年端もいかない子供に1時間400ドルも払ってレッスンを受けさせるなんて馬鹿げてると思う人もいるかと思いますが、親の子供に対するスポーツ投資の態度が最近変わってきているようなんです。

米国といえば、スポーツはシーズン制を採用していることが有名です。春から夏に掛けては野球をし、秋から冬はアメフトやバスケといった具合に複数競技を掛け持つのが普通とされてきました。でも、最近のユーススポーツの世界では「Specialization」(専門化)が進んでいるんだそうです。

これは知り合いのNYUの教授に教えてもらったのですが、最近はアメリカでも子供が小さい時から1つの競技に絞って専門的なコーチングを受けさせるようになってきているんだそうです。これは親の考えが強く影響しているようなのですが、「より早く、より専門的な教育をうけさせる方が選手として大成し、プロになれる、あるいはプロまで行かなくとも大学に奨学金で通える可能性が高まる」という発想です。

この背景には、ユーススポーツもビジネス化しているという点が挙げられます。例えば、リトルリーグ・ワールドシリーズなどは、テレビ放映権がESPNに売られ、全国トーナメントの全試合が全米中継されています。そこに協賛企業が付き、グッズも売られています。まさにプロスポーツと同じモデルです。

子供のチームであっても、全国遠征して経験を積み、またこうしたユースチームを招致するために、地方自治体が子供専用のスポーツ複合施設を建設したりもしています。近くにホテルが完備され、施設内には子供の遠征に帯同する親のためにWifiも飛んでいるという、至れり尽くせりの環境です。こうしたビジネス化の波に飲み込まれ、子供たちもプロ予備軍として「Specialization」が進むようになってきたそうです。

でも、実は「より早くより専門的な教育を受けさせると大成する可能性が高まる」というのは嘘で、親の思い込みなんだそうです。

実際は、小さいころから競技を絞ると、動作が固定され(例えば、野球ならバットの素振りとか)、体がそれ以外の動きをしなくなるので、結果としてアスリートとしての総合的な運動能力の開発が遅れ、怪我のリスクが高まるんだそうです。そういう研究結果が出ていると言っていました。

もしこの「専門化」が今後もユーススポーツ界で進んでいくと、僕は思わぬ副産物が米スポーツビジネス界にもたらされるんじゃないかと思ってます。それは、競技間のファン層の重複が少なくなるという恐れです。

これは以前「競技軸と地域軸」でも書きましたが、競技軸が強い日本では、ファン層も競技により分断されている傾向が強いと思うのですが、対照的に米国では地域軸がスポーツを支えているので、同じ都市にフランチャイズを置く複数競技でファン層は大きく重複しているように感じます。そして、この状況を育んでいる背景として、スポーツのシーズン制があるわけです。

ですから、ユーススポーツで専門化が進むと、将来的に米国でも競技軸が強くなり、ファン層の重複が少なくなるのではないかと。これは市場の縮小につながり得る話ですので、今後も状況の推移を注目して行きたいと思います。

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