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日本スポーツ界の成長阻害要因であるドグマ主義的経営をどう解きほぐすか?

突然ですが、スポーツビジネスの「戦略とガバナンス」と聞くと、どう思いますか?ちょっとイメージしづらいかもしれませんよね。

一般的にプロスポーツは「リーグ」と「球団」により構成され、それより1つ上のレイヤーに、その競技を統括する「協会」が存在します。ガバナンスは、この3者の役割分担と考えると、少しは分かりやすくなるかもしれません。

商業化(ビジネス)は「リーグ」と「球団」が担当し、代表チームの組織や普及・育成は「協会」が担当するという整理が一般的ですが、競技や国によりそれぞれの役割分担やバランスには違いがあります。

例えば、日本で言えば、サッカー界は協会の傘下にJリーグがあり、その元で各クラブが経営を行っているというピラミッド型のエコシステムが形成されています。力関係で言うと、やはり協会>リーグ>クラブとなるでしょうか。これは、ワールドカップという世界大会で代表チームが勝つことを日本サッカー界として最大の目標として掲げているためですね。

Jリーグの傘下にも、階層型に地域リーグが構成されており、グラスルーツまで視野に入れた大きなピラミッドが形成されています。開放型モデルの特徴ですね。

一方、日本のプロ野球は全く違うモデルになっています。

まず、「協会」に相当する組織がずっとありませんでした。プロ野球や大学野球、高校野球など、それぞれが別々のエコシステムを有しており、サッカーの様に協会の下に階層型に整理されている訳ではありません。ピラミッド型の階層にならずに、まるで別の競技であるかのように、別々に閉じた世界が作られています。こちらは、閉鎖型モデルの特徴です。

成功するプロスポーツ経営を行うためには、競技レベルを上げるというのは常識ですよね。下手くそなプレーでは、誰もお金を払ってまで見たいとは思えません。少なくとも、一見して「うぉー、スゲー!」と素人を唸らせることができるレベルにないと、プロスポーツの興行としては成り立ちません。

競技レベルを上げるには、普及・育成活動を積極的に行い、競技人口を増やすことが重要です。競技人口が増えれば、競技レベルは上がり、誕生するスター選手の数も増えるからです。

冒頭の整理では、普及・育成は「協会」の役割と言いました。でも、先ほど言ったように、日本のプロ野球には普及・育成を包括的に担当する協会は長きにわたりありませんでした。でも、世界屈指の競技レベルを誇っています。

「協会」が“あるべき役割”を果たしていないのは日本のプロ野球だけではありません。米国の4大スポーツは、協会がそもそも存在しないか、存在しても、無きに等しい程度の存在です。なのに、競技レベルは野球もバスケもホッケーもフットボールも非常に高い。右肩上がりの成長を続け、大いに儲かっています。

これはどう説明すればいいんでしょう? スポーツビジネスの経営において、成功するための「共通解」はあるのでしょうか? あるいは、ビジネスモデルにより、KSF(成功要因)は違ってくるのでしょうか? 成功するビジネスモデルを読み解くための「変数」とは何なんでしょうか?

前置きが大変長くなってしまいましたが、来週末の17日(日)に、こんなテーマでディスカッションを実施します。



先日、SBAのコアメンバーで議論していて、個別のセッションやオムニバス型のスクールでは、それぞれのコマが個別最適になっているため、結果として漏れてしまう視点があるのではないかという話になりました。確かに、例えば各収益領域での効果的な手法やトレンドを知っておくことが重要であるのは間違いないのですが、思考が狭く、先鋭的になってしまいがちです。

しかし、経営者としては、むしろ全体を俯瞰して本質を押さえ、組織の方向性がずれてきたら、柔軟に方向転換していくことの方が重要なのではないか。そして、日本のスポーツ界は、こちらのアプローチがやや不得手なのではないか、という仮説から生まれたセミナーです。

俯瞰してみるためには、自分の組織や競技「外」のことも知っている必要があります。自分とは異なる競技の経営モデルも視野に入れ、自分の組織との比較や、それぞれの長所や短所を踏まえつつ、「現在の経営環境を分析・判断すると、今のモデルが最適である」と常に自問自答を繰り返しながら、最適解を探して変化し続ける、というのが理想かもしれません。

しかし、日本では競技の縦割りの弊害なのか、競技間に大きな壁があるように思います。競技間で人材やノウハウの移転があまり多く見られないように見受けられます。誤解を恐れずに分かりやすく言えば、サッカーの人は野球をあまり知らないし、野球の人はサッカーをあまり知りません(ビジネスモデルという意味です)。

そのため、極端に言えば、盲目的に今のモデルを信奉し、「とにかく言われた目的地まで一生懸命早く走ります」というアプローチが多いような気がします。でも、「本当にこの目的地でいいのか?」「靴を履きかえた方がいいのでは?」といった前提を疑う思考があれば、もっと楽に目的を達成できるかもしれません。

米国のスポーツビジネスは良くも悪くもその点は非常にシンプルで、とにかく「どうすれば一番カネを稼げるのか」が指標になります。カネを稼げない手法や人材はどんどん淘汰され、進化していきます。

一方、日本のスポーツ界は、教育とスポーツが融合しているせいもあってか、米国ほど割り切れない競技が少なくないと思います。それは、良い点ももちろんあるのですが、(カネで序列ができないので)派閥や面子争いが多発したり、自分達が最初に採用した経営上のポジショニングがドグマ(教義)化し、それを軌道修正することを良しとしないような風潮も見られます。

もしかしたら、日本のスポーツ界の最大の成長阻害要因はドグマ主義的な経営なのかもしれません。先日、パネリストと下打ち合わせを行ったのですが、この日本のドグマ主義をいかに解きほぐしていくかが、当日の大きな流れになるかもしれません。

そして、当日はこのテーマにぴったりのパネリストにお越し頂くことになっています(笑)。

まず、FIFAコンサルタントの杉原さん。世界各国のサッカー協会に飛び回り、協会運営やリーグ・クラブのガバナンスのアドバイスをしています。杉原さんの口ぐせは、「コピペはダメ」。上手く行っている他の事例をただ真似しても上手く行かないので、自分の組織が置かれた環境に最適化して進化し続けるしかないということですね。

多くの国の異なるガバナンスモデルを見ている杉原さんだけに、説得力があります。スポーツ組織の俯瞰的なガバナンスを語ってもらうには最強の人でしょう。ここでは刺激が強すぎて書けませんが、日本のスポーツ界が当たり前だと思っている考え方に、いくつも疑問点を持っている視点には、いつも驚かされます。

次いで、弁護士の山崎さん。山崎さんのことは、プロ野球選手会の顧問弁護士やFIFProのアジア支部副代表といった選手の権利を守る側のお仕事でご存知の方は多いと思いますが、実はスポーツ組織のガバナンスの専門家でもあります。

今年、日本のバスケ界には新たにBリーグが設立されましたが、その契機となったのはFIBAからの制裁(活動停止処分)でした。文科省の推薦で混乱下にあったバスケ界に入り、誤解を恐れずに言えば、上手く日本バスケ界の利害が損なわれない形で“大政奉還”し、Bリーグ誕生の下地を作ったのが、他ならぬ山崎さんです。

そして、言わずとしれた荒木さん。日本のプロ野球界のことをこの人以上に知っている人は少ないでしょう。球団経営からリーグ経営まで、酸いも甘いも知り尽くしている?方です。

特に、ガバナンスという文脈では、荒木さんの千葉ロッテ時代の経営改革の話も参考になるのではないかと思っています。というのも、実は日本のスポーツ界で一番環境にうまく適応して進化しているのは、パ・リーグの球団なのではないかと思うからです。それはなぜか? 種明かしは当日に(笑)。

そして、最後に蒔平さん。彼女はbjリーグの千葉ジェッツを立ち上げた創設メンバーの一人で、今はスポーツITベンチャーに勤務しています。バスケと言う、今日本で最も動きのあるスポーツの黎明期をクラブ経営者として過ごし、マイナースポーツの台所事情も肌で知っている人材です。

今は「スポーツ×IT」という視点からアウトサイダーとして様々なスポーツに関わることになり、クラブ経営者の経験を持ちながら、より業界を俯瞰してみることができる数少ない人材と言えるでしょう。

ということで、当日はこんなメンバーから一日あーでもない、こーでもないという議論をやってみようと考えています。きっと今までのセミナーとは一味違った新たな視点や気づきに出会えるのではないかと、司会者ながら期待しています。
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comments
鈴木様
ご無沙汰しています。
ビジネススクールでは学べない世界最先端の経営学 入山章栄という本は読まれましたか?

私はとても賛同する内容でした。

その中で

フォルトライン(組織の断層;組織内グループの境界線)理論が紹介されていました。
これまで男性×日本人中心であった日本企業にたとえば女性×30代×日本人だけを何人加えてもそれはフォルトラインを高めるだけの結果になってしまいます。しかし、もしもここにさらの女性×30代×日本人や男性×アジア人あるいは女性×40代×欧米人などいろいろなデモグラフィーの「次元」の人々を加えていけば結果として組織内のフォルトラインは減っていくことが予想できます。
中略 組織は成長ステージなどによって バリエーション(変化)→セレクション(選択)→リテンション(維持)というメカニズムを経験します。

端折りすぎて理解できないかもしれませんが、
仮説を立てました。: 日本社会はデモグラフィーが単元的なため、構造そのものによってフォルトラインが高い障壁になっているのではないか?

電通のような企業だと、経営判断を下すのは60歳前後の男性日本人の集団です。意思決定組織のデモグラフィーが単元的な国や組織は開けていかないのかなと思います。

サイロエフェクト ジリアンテッド著でもソニーが低迷の理由は同じような理由だと解釈しています。

それと最近、オリンピックに意味があるのかと思い始めています。協賛セールスの様子、賞金をもらった選手の使い道、花形選手を追いかけるメディア、。
オリンピックスポンサーを担当する弊社営業は毎日アプルーバル作業ばかりだそうです。とくに東京は同じカテゴリーで複数社相乗りですよね。
ドジャースの佐藤弥生さんの「less is more」という感覚が日本にはないと思います。みんな一緒になっちゃうんですよね。

とりとめなく。
森田和馬 | 2016/04/11 14:51









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