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マイナーリーグを活用する地方自治体(下)

日経ビジネスオンラインに最新コラムがアップされました。マイナーリーグを地域再生に活用する地方自治体の後編です。今回は、マイナー球団を保有する自治体について書いています。

メジャーでは球団経営は営利目的に限定されており、公共サービスの担い手である自治体による球団保有は禁止されていますが、マイナーではこれが認められており、自治体の中には球団経営を地域再生に活用するものもあります。

■マイナーリーグを活用する地方自治体(下)
 〜身の丈経営の「おらが球団」で街おこし

 
前回「スポーツで実現する地方再生」のコラムでは、米国の地方自治体が「スポーツコミッション」と呼ばれる組織を作って、スポーツを軸にした地方再生を図っている事例を紹介しました。スポーツコミッションは、単なる観光案内ではなく、マーケティングアドバイザーとして積極的にスポーツ団体やイベントを招致し、地元の発展や住民サービスの向上に貢献しています。

 スポーツ興行の弱点は、いくら観客が望んでも、頻繁に試合(イベント)が開催できないことです。選手が疲弊してしまいますし、天候や季節の問題もあるからです。米4大プロスポーツで、最も試合数が多いメジャーリーグ(MLB)でも年間試合数は162試合です。つまり、ホームゲームは81試合しかなく、年間280日強はスタジアムが稼働していないことになります。現在、米国ではいわゆる「ノン・ゲームデー(試合のない日)」の収益をどう上げるかが、球団経営の重要課題になってきています。最近、MLBでは、複数の球団がノン・ゲームデーのイベントを共同で開発しようと動き出しました。

 ここでも、スポーツコミッションの役割は重要になってきます。地域にある複数スポーツの施設を横断的に捉えて、稼働率を上げる役割を担えるからです。米国のスポーツコミッションが増加した背景に、「ノン・ゲームデー」問題があるわけです。スポーツ施設の利用が活性化すれば、それだけ地域経済は潤うわけです。

 自治体の中には、スポーツコミッションを超えた取り組みをしているところもあります。より積極的、かつ直接的にスポーツに関わり、地域再生に結びつける取り組みです。

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マイナーリーグを活用する地方自治体(上)

日経ビジネスオンラインに最新コラムがアップされました。

今回は、スポーツを地域再生に結びつけている地方自治体にフォーカスしてみました。アメリカでは「スポーツコミッション」というスポーツマーケティングの専門組織が自治体の傘下に組織されており、スポーツが地方再生のツールとして積極的に用いられています。

■マイナーリーグを活用する地方自治体(上) 
 〜スポーツで実現する地方再生

 
マイナーリーグベースボールが主催する「プロモーションセミナー」が、10月初旬にテキサス州オースティンで開催されました。2泊3日のイベントに、全米各地のマイナー球団から約350人の幹部が参加しました。1977年に始まったこのセミナーは、毎年、野球シーズンが終了した直後に開催され、シーズン中に球団が展開した成功事例、いわゆる「ベストプラクティス」が披露されます。

 2000年まではテキサス州エルパソで開催されていましたが、2001年より各地方都市にフランチャイズを置くマイナー球団が持ち回りでホストを務めるようになりました。今年はオースティンに近いラウンドロックにフランチャイズを置く、ヒューストン・アストロズ傘下のトリプルA球団、ラウンドロック・エクスプレスが主催しました。このセミナー自体、プロスポーツリーグが主導するナレッジマネジメント(知識共有化)の手法として面白いのですが、今回は地方自治体とスポーツの関係にフォーカスしてみたいと思います。

 実は、このセミナーに協賛している組織を見てみると、「オースティン・スポーツコミッション」という団体があることに気がつきます。スポーツコミッションとは、まだ日本にはあまり馴染みのない組織ですが、ひとことで言えば、スポーツを通じた地域振興を目指す組織です。米国では、多くの場合、州や都市で自治体の外郭団体として設立されており、非営利組織(NPO)の形態を採用しているところも少なくありません。

 今年7月に、日本でもようやく同じような動きが始まろうとしています。スポーツ振興を都市戦略として位置づけている東京都が、日本初となるスポーツコミッションの設立を検討し始めたのです。
 
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MiLBセミナー

昨夜からテキサス州オースティン入りしています。今日から2泊3日でマイナーリーグプロモーションセミナーというカンファレンスが開催されており、それに参加しています。

MiLBセミナーは、毎年マイナーリーグシーズン終了直後の9月末に開催され、その年のシングルAからトリプルAまでの各チームの成功事例を共有することを主な目的としています。僕は今年で3回目の出席となったのですが、約300名の参加者が集まる過去最大規模のセミナーになっています。

アメリカでは、競技やメジャー・マイナーを問わず、こうした効果的な情報共有の仕組みが構築されています。今回は、最新事例そのものもさることながら、MiLBの担当者にセミナー設立の経緯や目的、運営ノウハウをヒアリングしに来ています。






メジャーチームを大企業に例えると、マイナーチームは中小企業ですが、中小企業にもその道何十年といった名物経営者がおり、そうした人の話やエピソードの行間に見え隠れする哲学や価値観は、こうしたセミナーを介して暗黙知として共有されているのだと思います。

また、こうしたマイナー組織を支える自治体という存在も見逃すことができず、今回のセミナーも地方自治体傘下のAustin Sports Commissionがスポンサーとなっています。米国の地方自治体とマイナー組織の関係は、日本にも応用できるのではないかと考えており、その仮説を大学教授とともに検証しています。

ちょっと良い話

ドリームツアー一行は22日の早朝の便で日本に発ったのですが、僕はもう1泊シャーロットに留まりました。22日の晩、大家選手の所属するシャーロッツ・ナイツ(シカゴ・ホワイトソックスAAA)の試合を観戦したのですが、その時にちょっと良い光景を目にしました。

僕は、相手チームをスカウティング中の大家選手、大家選手の友人、インターンS君と4人でバックネット裏から観戦していたのですが、その数列前に両親と一緒に試合を見に来ている5歳くらいの男の子がいました。すると、ちょうどその子の近くにファールボールが飛んできたのです。

男の子は頑張ってシートを乗り越えながらボールに駆け寄っていったのですが、残念ながら近くに座っていた男性にボールを取られてしまいました。その男の子は、文字通りがっくりと肩を落としながら両親の元に戻ると、声をあげて泣き出してしまいました。

その光景を目にしたスタンドのファンからは、ボールを取った男性に向けて「子供にボールをあげたらどうだ」といったヤジも飛んだのですが、その男性は涼しい顔をして観戦を続けています。きっと、自分の息子へのプレゼントにとでも思っていたのでしょう。

男の子のすぐ後ろに座っていた我々は、なんともその光景にやりきれなくなりました。友人が「あの子にボールあげられないかな」と大家選手に言うと、大家選手も「そやな」と言って、クラブハウスからボールを取ってくると、友人経由でその男の子にボールを手渡しました。男の子は、さっき泣いていたのが嘘のような笑顔でボールと受け取ると、はにかみながらわざわざお礼を言いに大家選手の席までやってきました。

胸のつかえが取れた我々は、ホッとして試合観戦を続けていました。

すると、今度はその子の前に座っていた青年がポケットからボールを取りだして、その子にそっと手渡したのです。実は、彼はスカウティングを行っていた相手チームの選手だったのですが、彼もその男の子が可哀そうになってクラブハウスからボールを取ってきたのでした。僕は、敵地でのゲームにも関わらず、相手チームのファンに温かく接する選手の姿を見て、「アメリカで野球選手になるということはこういうことか」と、その懐の深さにただただ脱帽してしまいました。

言うまでもなく、その子は2つのボールを手にして満面の笑顔を浮かべていました。もしかしたら、これが彼の初めての野球観戦だったかもしれません。彼はこの体験を生涯忘れることはないでしょう。

Fifth Third Field

NYに戻りました。お約束通り、トレドの写真をご紹介します。

まず、これが球場周辺の写真。平日(水曜日)の試合開始1時間前くらいのものですが、ほとんど人気がなく、閑散としています。ちなみに、この辺りはスタジアム建設前は倉庫だったそうです。



しかし、マッドヘンズの本拠地=Fifth Third Fieldにはいると、スタジアムはとてもきれいです。ちなみに、球場名は地元金融機関「Fifth Third Bancorp」が15年総額500万ドル(=約5億円)で結んでいるものです。年平均33万ドルちょっとですから、それほど高額ではありません。



これは、スイートボックスのある2階席からの模様ですが、スイートボックスは28室あり、約8500席あるこの球場の座席のうち、クラブシートも1019席設置されています。この辺の収益構造は、下手なメジャーのスタジアムも顔負けといった感じです。



観客席からフィールドの距離も非常に近く、川原で草野球を観戦している感覚です。メジャー・マイナーを問わず、この距離感が、日米での大きな違いの1つだと思います。



さらに、地元のランドマークを取り込むというトレンドもきっちり押さえています。写真は、ライトポール際のものですが、スタジアム建設前にあった倉庫をそのまま残し、手前はスポーツバー、奥は球団ショップ(1F)兼球団事務所(2Fより上)になっています。間にスタンドも設置しています。



また、以前「細部に神が宿る」でも書きましたが、この球場でも細かいところにこだわった作り手の意識が感じられました。まずは、これ。マンホールなのですが、球団名が入っているのが分かるでしょうか。



外野の立見席や、外野フェンスの外には、こんな芸の細かい銅像までありました。ちなみに、これは地元のアーティストが街の人々の寄付金で制作したもののようです。





言葉は悪いですが、アメリカの寂れた地方都市でもこのレベルのスタジアムを持っているところがあるというのは、非常に興味深いですよね。しかも、近年中にアイスホッケーのアリーナも建設されるということで、その辺のファイナンス手法なんかも調べると面白そうです。

以上、トレドレポートでした。

アメリカの地方都市におけるスタジアムファイナンス

昨日から、オハイオ州のトレドという町に来ています。

ここには、デトロイト・タイガース傘下AAAのトレド・マッドヘンズ(Toledo Mud Hens)というマイナーチームが本拠地を構えています。マッドヘンズは、マイナーリーグの中でも積極的なマーケティングを行うことで有名なチームです。

トレドの人口は約30万人で、日本で言えば青森市や春日井市(愛知県)、久留米市(福岡県)と同じくらいです。トレドは典型的なアメリカの地方都市ですが、近年は市街地の空洞化がかなり進んでいるようで、街中ではほとんど若者の姿は見受けられませんし、町並みもどちらかというと寂れた感じを受けます。

しかし、マッドヘンズのスタジアムに行ってみてビックリ。

最近のスタジアムのトレンドを押さえた、AAAにしてはかなりしっかりしたスタジアムを持っているのです。外野席がないので、収容人数は約8500席(立ち見席を入れて約1万)と少ないですが、以前「“カムデニゼーション”のルーツ」でもご紹介したような、「左右非対称の概観」「地元ランドマークの取り込み」「高付加価値シートの増設」といったトレンドが随所に見受けられるのです。

人口30万の寂れた都市になんでこんなスタジアムが建設できるのだろうと気になったので、ちょっと調べてみました。このスタジアムが建設されたのが2002年で、建設費は3920万ドル(=約40億円)です。メジャーのスタジアムと比べると、建設費は1ケタ違います。でも、日本のスポーツ組織が参考にするのは、むしろこの位のスケールのスタジアムの方がいいかもしれません。外野席をきちんとつくれば、3万くらいのスタジアムにはなるでしょうし。

ちなみに、資金調達(ファイナンス)は、オハイオ州から540万ドルの公金が注入されている他、TARTAという地元の公共交通システムの売上げの5%も充てられているようです。残りの部分については、チームと郡が折半するようです。郡は公債を発行して、これを調達しています。

写真も結構撮ったので、明日にでもアップします。

USBLが活動を休止

米プロバスケットの独立系マイナーリーグ=USBL(United States Basketball League)が2008年の活動を休止する旨を発表しました。

USBLは米バスケ界の独立系マイナーリーグでは老舗中の老舗でしたが、2007年の23年目のシーズンを最後に活動を休止する決定を下しました。参加チームが少なくなり、リーグ運営に支障をきたすようになったのが休止理由だそうです。昨年、USBLは8チームでシーズンを開幕しましたが、シーズン半ばに2チームが活動を停止し、6チームでのリーグ戦運営となっていました。ただし、参加チームが増えれば活動再開の可能性も残しているようです。

僕も昔日本人バスケットボール選手のサポートをしていた際に、USBLの試合にはよく通っていたので、懐かしい気持ち半分、残念な気持ち半分です。バスケに限らず、アメリカには野球やホッケー、フットボール、ラクロスなどの多くの競技で無数のいわゆる独立リーグが存在します。こうした底辺の活動の幅が広いので、頂点のメジャースポーツの発展があるのだと実感します。

その意味では、非常に残念なニュースでした。

【関連情報】
USBL SUSPENDS 2008 SEASON(USBL公式HP)
USBL suspends operations for 2008 season(USA Today)

24時間戦えますか?

メッツのシングルA=ブルックリン・サイクロンズは、6月19日のシーズン開幕に先駆けて、先々週末に面白い試みを実施しました。それは、24時間マラソン野球です。ここまでならよくある話かもしれませんが、面白いのは出場選手が全員球団スタッフという点です。

サイクロンズに勤務する22歳〜40歳のスタッフは、6月2日(土)午後4時30分から翌3日(日)午後4時45分まで、サイクロンズの本拠地=Keyspan Parkにて地元の13チーム(年齢、性別などに制限はなし)を相手に連続24時間以上の試合を実施しました。成績は10勝3敗ということで、プロスポーツチームのフロントとしてなんとか面目を保ったようですが、3敗のうちの1つは8歳〜9歳の選手によるリトルリーグのチームが相手だったとか。

アシスタントGMが先発投手を務めたり、チケットセールスマネージャーがキャッチャーをしていたりと、体力的にハードである点を除けば、普段顔の見えにくい球団スタッフの人となりが地元の人にオープンになる素晴らしい企画なのではないでしょうか。開幕前にファンの注目度や親近感を高めるという意味でも悪くないと思います。ちなみに、この企画はチャリティーを兼ねており、この24時間野球企画を通じて集まった約2500ドルは、全額地元のシェルター(保護施設)に寄付されたそうです。

【関連記事】
GET SOME SLEEP!(サイクロンズ公式HP)
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