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プロモーション

「プロモーション」と言っても、「宣伝広告」の方ではありません。人事での「昇進」のことも、英語では「プロモーション」と言います。「He's got promoted」(あいつ、昇進したよ)なんていう風に使います。  

何でいきなりそんな話をしたかと言うと、毎年この時期には日米のお客様やお世話になった方々に年賀状も兼ねてグリーティングカードをお送りします。かなり大量の数を送るので、名簿の更新が結構大変なんですけど、日米スポーツ界で転職の有無とか肩書の変化を見ていると、面白い違いが分かります。

まあ、イメージ通りなんですけど、転職はアメリカのスポーツ界の方が圧倒的に多いです。特に営業職は、競技に関係なくバンバン転職して行きます。バスケから野球とか、野球からサッカーとか普通にありますね。

ただ、地域はあまり変わらない人の方が多いでしょうか。ニューヨークにいる人はニューヨーク近辺で、サンフランシスコの人ならベイエリア近辺で動いて行きます。営業は、コネクションが重要ですから、地域が変わるとその資産が生かされないからでしょうかね。まあ、家庭などあれば、やはり引っ越しを伴う転職はハードルが高いんでしょう。  

一方、広報とかコミュニティー活動など、組織での蓄積が仕事の質に差を生むようなポジションの人はあまり転職しないようです。  

あと、これもアメリカの特徴ですけど、若くても出来る奴はどんどん昇進して行きます。30代前半でチームやリーグのVice President(日本だと部長職くらいの役職。アメリカの組織ではVPがたくさんいます)になって行くのもあまり珍しくないですね。できる奴はどんどん上から引っ張られて行くか、別組織から引く抜かれていきます。  

そもそもアメリカでは採用する時に年齢を聞くだけで違法行為になるので、年功序列という考え方自体がありません。実力主義で極めて分かりやすいです。  

日本の場合は、転職は珍しくなくなってきましたが、競技を超える例は多くないです。野球界は野球界で、サッカー界はサッカー界の中で人材が回っているケースが多いような気がします。これは、別の機会に書いてみたいテーマですが、日本では転職だけに限らず、スポーツ界のあらゆる面で競技の壁が非常に厚いです。  

あとは、基本的に年功序列が多いので(この辺りは親会社のカルチャーが大きく影響するようです)、組織内の序列が数年で大きく変わるような人事は少ないようです。あとは、部署間の異動も結構多いですかね(いわゆるゼネラリスト育成型人事)。アメリカでは、例えば、法人営業は基本的にずっと法人営業、チケット営業はずっとチケット営業と言うように、スペシャリスト育成型人事が基本です。

3つ目の違いは、営業職(法人営業+チケット販売スタッフ)の数でしょうか。アメリカのメジャースポーツ球団では、だいたい職員数は100〜200人程度なのですが、そのうち1/3から多い所では全職員の半分くらいが営業職です。これに比べて日本では営業職の数が圧倒的に少ないです。二桁行かない球団の方が多いのではないでしょうか。

この違いの生み出す背景は、1つはアメリカが営業文化であるのに対して、日本は運営文化が強いため。もう1つは、人事制度の違いからだと思います。日本では、一度職員を採用すると基本的に解雇できませんが、アメリカは比較的簡単に解雇することが可能です。

ですから、例えば最近だとチケット販売ではシーズン席を売るのが厳しくなった分、グループ営業やプレミアム営業にシフトしているのですが、そのための特別営業部隊をすぐに組織して戦力化してしまいます。こうした試みは、基本的に「最低賃金+インセンティブ」という、球団が極力リスクを負わない形で行われ、失敗しても「スクラップすればいいや」という発想です。日本ではこれができません。

ただ、アメリカでは営業職が数字で厳しく業績を管理されるので、結構すり減って行くスタッフも多いようです。日本では昔から当たり前にやっているチームワークの価値を強調したり、ゲーム感覚でチーム全体を盛り上げていくような取り組みが改めて注目されていたりするのは面白い所です。

とはいえ、自分と同じ歳位とか年下のスタッフがバンバン出世して行くのをみるのは、気持ちが良いし、刺激になります。

珍しい払い戻し

先週、アメリカ全土が寒波に襲われ、NY州の北部を含む東北部一体に歴史的な大雪が降りました。NY州でも、カナダとの国境に近いバッファローなどは、一晩で7フィート(約2m10cm)の積雪があったそうです。家や車が雪に埋もれたと大きなニュースになっていました(ちなみに、マンハッタンは降雪もなく、全く大丈夫です)。

で、この雪の影響で日曜日(つまり、昨日)バッファローで予定されていたビルズ対NYジェッツの試合が延期になりました。ビルズは屋外型スタジアムを使っているのですが、2mも雪がふったら雪かきどころの騒ぎではありません。振り替え試合は、今日(月曜日)バッファローから約400km離れたデトロイトで、ライオンズのスタジアムを借りて開催されることになりました。

通常、米国では荒天などによる試合中止の場合(野球が多いです)、チケット料金の払い戻しは行われません。これを日本のスポーツ界の人に話すと一様に驚かれるのですが(日本では雨天中止などの場合、その都度払い戻しを行う)、その試合の存在が物理的に消滅しない限り、払い戻しは行いません。

チケット購入サイトやチケットの裏面などをよく見ると、「試合開始日時は変更になる可能性がある」と必ず記載されています。チケット購入者は、この条件を飲んでチケット購入契約を結んだと解釈されるので、試合がある限り払い戻しは行われないんですね。

ただ、今回のビルズのケースでは事情が違いました。例外的に払い戻しが認められたんですね。要は、何もかも雪に埋まって試合観戦どころではない、という地元の状況に配慮したんだと思います(ちなみに、米国東海岸は今日は一気に最高気温が20度近くまで上がり、バッファローは今度は洪水の危機に晒されています)。

どういう整理になったかと言うと、

・中止になった試合のチケット保有者には優先的に代替試合のチケットを配布
 →ただ、状況的に来られる人は少ない
・残りは、ビルズ・ライオンズ(対戦相手のジェッツではない)のシーズン席保有者に優先的に無料チケットを配布
・更に残りを一般ファンに向けて無料販売

って流れになりました。一般販売のチケットはあっという間に売り切れたそうです。非常に珍しいケースですね。

【関連情報】

Qcueという名の変な企業

日経ビジネスオンラインに最新コラムがアップされました。

今回はチケット価格を最適化するダイナミックプライシングについて書いてみました。もともとスポーツ界ではシーズン開幕前に全てのチケットに値付けをしなければいけないという商慣行が当たり前だったわけですが、冷静に考えると試合の「価値」は様々な要因(自軍の成績、対戦相手、先発選手、天気などいろいろ)によって変化します。つまり、価値の変化するものに一律の価格をつけていたわけです。 

このミスマッチを解消するのが、今回ご紹介するダイナミックプライシングです。

まあ、詳細はお手すきの際にでもコラムをご覧頂くとして、コラムでも取り上げているQcue(キューキュー)という会社がとても面白い会社なのです。まず名前からして変ですよね(笑)。この手の会社の本社がテキサスにあるってうのも、ちょっと変。

CEOのバリーも営業担当副社長のティムも若くて、既存の常識・枠組みには捉われない柔軟性や勢いがあります。「こいつらスゲェな」って感じます。大部分の経営陣は30代でしょう。でも、あのファスト・カンパニー誌が選んだ「最も革新的な50社」(2013年)にランクインしちゃったりもしてます(全体で49位、スポーツ界ではナイキ、NBAに次いで3番目)。

周りに流されずに、自分の信じた道を突き進む。ベンチャーの鑑みたいな企業です。もちろん、24時間365日仕事しています。やはり、アメリカのダイナミズムを作り出しているのは、こうした若くて勢いのある企業なんだなー、と変に感心してしまいました。日本にもこうした企業が増えてこないといけませんね。

ダイナミックプライシングが日本に根付くかは今後の頑張り次第ですが(個人的には本当に良いサービスだと思っています)、こうした勢いのある会社と一緒に事業を創り上げて行く機会を頂けて、仕事冥利に尽きる思いです。

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■米スポーツ界に革命を起こしたダイナミックプライシング(上)
 〜革新的な値付け手法の誤解と真実

今日は、スポーツ観戦チケットの値付けの話をしようと思います。突然ですが、皆さんは「ダイナミックプライシング」(Dynamic Pricing)という言葉を聞いたことはありますか? レベニューマネジメント(顧客の購入意欲に応じて商品・サービスの価格と割当量を変えることで収益の最大化を図る)の考え方をスポーツ界に応用した値付け手法です。   

これまで、スポーツ観戦チケットの値付けはシーズン開始前に行われるのが普通でした。例えば、野球なら4月から10月頃まで開催されるシーズンに備えて、開幕前にホームゲーム全試合(MLBなら81試合)の値段を決めていました。多くは、座る座席の場所(席種)に応じて価格帯を変えて値付けを行います。フィールドに近い席ほど値段が高くなり、この値付けが全試合一律に適用されることになります。   

恐らく、これが一般的にイメージされるチケットの値付け方法でしょう。しかし、半年以上も前に試合の「本当の価値」を正確に予測するのは簡単ではありません。いや、事実上不可能と言ってもいいくらいです。なぜなら、「本当の価値」を決める要素は多岐にわたる上、事前予測が困難なものが多いからです。   

「自チームの成績」や「対戦相手の成績」は、試合の価値を決める代表的な要素の1つです。消化試合なのか、優勝を決める試合なのかで、その試合の持つ重みは大きく異なってしまいます。でも、これはシーズンが深まるまで誰にも予想できません。また、野球なら、「誰が先発するのか」(エースが投げるのかどうか)、「天気はどうなのか」(暖かいのか、寒いのか)、「何か大きな記録がかかっているのか」(通算200勝や2000本安打など)などによって、チケット購入者が実際に感じる価値は変動します。   

つまり、「価格は一律」がこれまでの業界スタンダードだったのに対して、「その価値は変動する」のが現実に起こっていたことでした。要は、価値が変動するものをずっと同じ値段で売っていたわけです。いや、同じ値段で売らざるを得なかった、と言った方が正確かもしれません。理由は2つあります。

(続きはこちら
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残された命の使い方

日本でも報じられていたかもしれませんが、アメリカでは「残された命の使い方」に関して、ここ1週間で対照的にも見える2つの大きなニュースに接する機会がありました。

1つ目は、末期の脳腫瘍を患ったカリフォルニア州在住だった29歳の女性が、尊厳死の認められているオレゴン州に移住し、10月31日に予告通り、医師から処方された薬を飲んで家族に見守られながら死去したというニュースです。


この女性は、今年前半に悪性の脳腫瘍との診断を受け、余命半年の告知を受けていたそうです。彼女は結婚したばかりで、これから夫と共に新たな人生の門出に期待に胸を膨らませていた時でした。その失意たるや、常人では計り知れないでしょう。

これは、アメリカでも大きな議論を呼んでいました。尊厳死はどこまで認められるべきなのか。人は神に与えられた命にどこまで手を加えることが許されるのか。これは答えのない議論かもしれません。実際、州により対応は分かれ、オレゴン州のように尊厳死を認める州も米国には複数存在します。

もう1つのニュースは、こちらも脳腫瘍を患い、余命数か月の宣告を受けている19歳の女子大学生が、11月2日に夢であったバスケットボールの試合に出場し、シュートを決めたというものです。


彼女は、試合の最初と最後に合計2本のレイアップシュートを決め、1万人を超える観客からスタンディングオベーションを受けました。


きっと立っているだけでもフラフラだったに違いありません。彼女の命に向き合う力強さに多くの人が勇気をもらったに違いありません。  

一方は静かに自ら命を終える選択をし、もう一方は試練に立ち向かう。そのように対照的に見えてしまったかもしれません。アメリカのニュースでも、明らさまな比較は行っていませんでしたが、言外にそのようなニュアンスを匂わせて扱っているニュース番組もありました。  

もちろん、現実はそんな単純なものではないと思います。どちらが良い悪いという判断はできない。それは本人にしか分からないものでしょう。命とは比較するべきものではありません。  

ただ、僕にはこのいずれのニュースも他人事とは思えませんでした。「2度目の311に際して思うこと」でも書いたように、僕は19歳の時に中高6年間を共にした義兄弟を亡くしたのですが、実は彼も脳腫瘍でした。まさに、レイアップシュートを決めた彼女と同じ歳の時です。  

命ある限り生きていたいのが人間の本能です。しかし、残酷なことに人の命の長さは平等ではありません。29歳の女性のケースでは、その命の終え方が大きなニュースになりましたが、彼女だってできれば自ら命を絶ちたくはなかったでしょう。    

私たちが考えるべきは、彼女の様に不条理な死を受け入れざるを得ない人がいる中で、今生きている自分が、その命を目一杯生き切っているか自問自答することかもしれません。

WSも今年からテレビ放映スケジュールを変更

日本シリーズはホークス、ワールドシリーズ(WS)はジャイアンツの勝利で日米の野球界は奇しくも同じタイミングでシーズンを終えました。

日本では、パ・リーグ優勝を果たしたホークスが、セ・リーグ2位のタイガースを破って堂々の日本一に輝きました。CSファイナルステージでタイガースがジャイアンツを破った際は、リーグ優勝のジャイアンツに配慮して胴上げなどはやりませんでしたが、これは非常に日本的な配慮ですね。これはこれで文化の表れで良いのではないかと思います。

一方、MLBはWSに進出したロイヤルズもジャイアンツも、共にワイルドカードからチャンスを掴んだチームでした。これについては、批判がないわけではないようです(例えば、これとかこれ)。今後、この批判が大きなうねりになるようなことがあれば、また別途レポートしたいと思います。

閑話休題。

一昨日、日米のPOのテレビ中継のオンエア方法の違いについて書きましたが、実はWSも今年からテレビ放映スケジュールに若干の変更を加えているんです。WSは

2試合
1日休み
3試合
1日休み
2試合

の7試合で、4勝先取のフォーマット(ちなみに、英語では「Best-of-seven」と言います)で実施されています。で、昨年までは初戦が水曜日に開催されていたのですが、今年からこれが火曜日に1日繰り上げになりました。なぜだと思いますか?

実はこれ、NFLとの放映スケジュールの重複を避けるためなんです。何で今更?と思う方もいるかと思いますが、実は近年、NFLは自ら保有するNFL Networkでの試合中継を強化していて、これを木曜日に充てるようになってきています(つまり、今ではNFLは木・日・月と週3日間テレビ中継している)。

Business Insider誌の図が分かりやすいので、ちょっと拝借します。


 出所:Business Insider

ご覧のように、水曜日から始める放映日程(図の右側)だと、最大で7試合中4試合がNFLと重複するリスクがあるわけです(黄色の網掛け部分)。火曜日開始にすれば(図の左側)、このリスクを1試合に軽減できるというわけです。

まあ、そもそもアメリカではフットボールのコンテンツ力が強すぎるのですが。MLBでは、公式戦の試合中継なら視聴率は数%(一桁前半)程度(全国放送の場合)、WSでも10%前後です。一方、NFLは公式戦でも10%を超えてきますし、スーパーボウルに至っては50%弱という怪物コンテンツです。

ともあれ、MLB最高のコンテンツであるWSですら、競合コンテンツとの食い合いを避けてその露出効果を最大化しようとしているわけですね。

【参考】

日米のPOオンエア時間の違いについて

本当に久しぶりの投稿になってしまいました。この春先から多忙を極めていて、このブログや日経ビジネスオンラインへの寄稿など、どうしても執筆活動に費やす時間を減らさざるを得ない状況になっていました。

ここにきて、ようやく仕事量も落ち着いてきたので、執筆活動も再開しようと思っています。今回は、日米野球界のプレーオフフォーマットの違いについて書いてみようと思います。

日米の野球界では決勝シリーズ真っ盛りですね。ちょうど数週間前に日本からクライアントが米国視察に来ていたのですが、運よくMLBのプレーオフを観戦する機会に恵まれました。観戦したのは、10月3日のサンフランシスコ・ジャイアンツ@ワシントン・ナショナルズ戦。


もともとワシントンDCを訪問する予定が先にあり、その後ナショナルズがPO進出を決めたので、急遽チケットを手配したのですが、購入時(約1週間前)には試合開始時間が「TBA」(To Be Announced)となっていて、まだ決まっていませんでした。

で、試合時間が決まったのがいつだったかというと、何と試合前日でした(苦笑)。しかも、午後3時開始という時間を知って二度びっくり。10月3日は金曜日だったのですが、平日の午後3時から開始するというアナウンスを前日に決めたわけです。

なぜこんなことが起こるかと言うと、テレビ放映の時間を調整するためなんです。実は10月3日には、ナショナルズの試合も含めて4試合のPOがあったのですが、以下のように全ての放映時間が重複しないように調整されています(時間は全て米国東部標準時)。

 午後12時〜  タイガース@オリオールズ
 午後3時〜     ジャイアンツ@ナショナルズ
 午後6時半〜 カージナルス@ドジャース
 午後9時半〜 ロイヤルズ@エンゼルス

試合開始時間の発表が試合前日までずれ込んだのは、テレビ放映局との調整に時間がかかったものだと思われます。まあ、前日に試合時間が決まっても、それが平日の日中帯でも、観客席は超満員なんですけどね(笑)。

日本で同じことをやっても、きっと空席が目立つことでしょう。それ以上に、ファンからの苦情が殺到するに違いありません。「試合時間を前日に決めるなんて非常識だ!」と。以前、「スポーツと民主主義の成熟度は比例する?」などでも書きましたが、この辺りは、スポーツに対する文化的な受容度の差なんだと思います。

で、実は先々週は日本への出張が入っていて、日本でクライマックス・シリーズ(ファイナルステージ)をテレビで観る機会があったのですが、米国での感覚にすっかり馴染んでしまった自分としては、セ・パのCSが同じ日の同じ時間に開催していることに大きな違和感を覚えずにはいられませんでした。

そもそも米国スポーツ界では、異なるスポーツ間ですら、プレーオフのようなプレミアコンテンツの放映時間が重複することは余程の事情がない限りありません。視聴率を喰い合うのが目に見えているからです。

これはひとえに、権利の所在の問題です。MLBでは、PO(WSを含む)のテレビ放映権はリーグ機構が保有しているのに対して、日本のプロ野球界では球団が保有しています(ただし、日本シリーズはNPBが保有)。

リーグが保有していれば、当然オンエアの時間帯はリーグ全体のマーケティングメリットを勘案して露出を最大にするために時間をずらすという形になりますが、球団が保有していれば、一球団にとって最大のメリットとなる時間帯=ゴールデンタイムが選択されるため、結果的にオンエア時間が重複することになります。

しかし、これは本当にもったいないことです(ランチとディナーを一緒に食べろを言われているようなものです)。よりによって、シーズンの中で最も価値のある試合の1つなのに、その価値を落とす方向で自らが首を絞めてしまうからです。

ここは、米国のようにPO全試合の開始時間をずらせとまでは言いませんが、せめて例えばシリーズ勝者が決まる第4戦以降だけでも重複をさけて別の日、もしくは時間差開催するなどはできないものでしょうかね??

ただでさえファンの野球離れが叫ばれて久しい野球界です。テレビ放送は最大のマーケティングツールですから、球界全体の利益を考えるなら、合計露出が最大になるようにオンエア時間に配慮があってしかるべきだと思います。

今年のCSも白熱した試合が目白押しでした。こうした最高の野球コンテンツを、一人でも多くのファンに見てもらうことこそが、今の日本球界にとって必要とされていることではないでしょうか。普段野球に接点の少ない人に「あ、野球って結構面白いんだね」と思ってもらい、顧客基盤を広げるまたとないチャンスですから。

もったいないついでに言うと、リーグ優勝した球団にファイナルステージで1勝のアドバンテージを与えるというのも、再考の余地があるのではないかと思います。以前、MLB関係者とこの話をした時に、「あれは金をドブに捨てるようなものだ」と言っていました。一番高く売れるコンテンツを1試合分減らすという判断は、MLBの感覚では信じられなかったようです。

これは、「公式シーズンの重み」をどう考えるかという議論になると思います。この点については、以前「プレーオフ方式は必要か?」でも書きましたが、米国でも同じような議論がないわけではありませんでした。ただ、最近はあまり聞かなくなったように思います。

米国では、公式シーズンはマラソン、プレーオフは短距離走で、チャンピオンは長距離も短距離も強くなければならないというコンセンサスがあるように思います。ルールで決めた以上、敗者が「公式シーズンの重み」を持ち出すのは言い訳ですし、文句があるならルールを決める時に言うべき、というのが米国流です。

奇しくも、今年日本シリーズに出場した阪神タイガースと、ワールドシリーズに出場したカンザスシティ・ロイヤルズは、いずれもワイルドカードから29年ぶりの優勝を狙っています。アップセットはスポーツ最大の醍醐味とも言いますし、今年も日米の野球界から目が離せません。

欧米スポーツ界の女性進出で記念すべき日に

昨日は欧米スポーツ界において女性進出で記念すべき日になったようです。

まず、フランスプロサッカーの2部リーグに当たるリーグ・ドゥに所属するクレルモン・フットにて、仏男子プロリーグ初の女性監督が誕生しました。この女性監督は、仏女子代表チームで主将も務めた40歳のコリンヌ・ディアクルさん。

これは2部リーグの話ですが、こちらはもっとすごいです。昨シーズン、NBAで優勝したサンアントニオ・スパーズに初の女性アシスタントコーチが誕生しました。こちらはWNBAのサンアントニオ・スターズ(スパーズと同オーナー)で16年間活躍したベッキー・ハモンさん。

無理して例えるなら、INACの澤選手が引退後いきなりサンフレッチェ広島の助監督になるような感じでしょうか。あるいは、ソフトボールのルネサスの上野選手が、引退後ジャイアンツの投手コーチをやるような感じ?まあ、こちらは競技が違うので厳密には違いますが、インパクトとしてはこんなイメージかもしれません。

【参考資料】

人生のビジョンとしての校訓

最近、何とはなしに自分が通っていた学校の校訓について思い出しながらあれこれ考えていました。

実は、校訓は、会社に例えるならミッションステートメントに紐づくビジョンに当たる部分で、起業家がここに魂を込めるのと同様に、学校創設者の気持ちが最も込められているところなのではないかと思います。

僕は、神奈川県相模原市にある旭小学校に通っていました。旭小の校訓は、確か以下の3つでした。

・明るく素直な子
・最後まで頑張りぬく子
・人の心を大切にする子

それぞれ、頭文字をとると「あさひ」になります。何て素敵なんでしょう!

この校訓、歳を取るほど響きますねぇ。この3つが出来れば、仕事でも起業でも人間関係でも何でも成功しそうです。まさに人生を生きて行く上での要諦がまとめられていると思います。

中学校からは横浜にある中高一貫の浅野学園に通っていました。浅野の校訓は以下の2つでした。

・愛と和
・九転十起

こちらも分かりやすい。しかも、良く見ると旭小の校訓と似ています。要は、シンプルに考えると、

自分の内面に対して: 素直であること
自分の外部に対して: 愛を持って接すること
物事一般に対して: 最後まで諦めないこと

という姿勢が生きて行く上で大切なんだというメッセージだと受け止めました。40過ぎると、逆に刺さりますね。

皆さんも、自分の母校の校訓を思い出してみてはいかがですか?隠された素敵なメッセージや自分のルーツと出会えるかもしれませんよ。

スポーツが単なる競技を超える時

日本からの来客が相次いだ2週間で、久しぶりにマンハッタンのオフィスに戻ってきた感じです。ようやく一息つけそうです。

そのクライアントとの視察中、偶然スポーツが「競技」を超える瞬間を2つ目の当たりにすることができました。「競技を超える」と言われても、いまいちピンと来ないかもしれませんが、要は単なるフィールド上の競争(=狭義のスポーツ)という枠を超え、スポーツの持つ「競技以外の力」を発揮する(=広義のスポーツ)といったようなイメージです。
 
1つ目は、昨日のヤンキース対レッドソックス(@ヤンキースタジアム)の試合にて。実は、その前日までボストンにいて、レッドソックスを訪問していたのですが、先週末に不慮の事故で職員が亡くなってしまったという訃報を耳にしていました。
 
昨日のヤンキース戦では、試合前にその職員に対して黙とうをささげる時間がもうけられていたのですが、その間、ヤンキースタジアムのビジョンには亡くなった職員の遺影が大きく掲げられていました。
僕自身は亡くなったJackと直接の面識はなかったのですが、レッドソックスには多くの友人がいるので、他人事とは思えずにいたところ、偶然ヤンキースタジアムでこの計らいを目にして、その心遣いにグッときてしまいました。レッドソックスとヤンキースは、フィールド上は最大のライバルですが、フィールド外では強い絆で結ばれていることを再確認しました。

2つ目は、一昨日開催されたNBAドラフトでの出来事。今年のNBAドラフトは昨年に引き続きブルックリンにあるBarclays Centerで開催されたのですが、実はこちらもその前日に施設の中を視察しに訪問していました。
 
ドラフトの前日だったのは偶然だったので、バスケットボールアリーナがドラフト会場に様変わりする様子が見られたのはラッキーでした。こうしたリーグイベントの際は、基本的にコート上はリーグ機構の管轄になってしまうので、Barclays Centerの関係者でも許可なく立ち入ったりできないんですよ。
 
で、そのドラフトでサプライズが起こりました。ドラフト1巡の15位指名と16位指名の間で、NBAがベイラー大学のアイザイヤ・オースティン選手を指名したのです。

同選手は2年生ながらドラフトの有望株として注目されていたのですが、ドラフト直前に心臓に悪影響を及ぼす先天性ファルフィン症候群と診断され、競技バスケットからの引退を余儀なくされていました。同選手の失意は計り知れないと思いますが、彼の無念さを少しでも晴らそうと、NBAが粋な計らいをしたというわけです。
 

スポーツの役割は単に競技を運営して、最高のプレーを見せるだけではありません。もちろん、それも大切ですが、競技という軸とは別の視点から付加価値を提供することも、スポーツの持つ本質なのではないかと思います。
 
実はNBAは、米国メジャースポーツでいち早くこの点に気付いたリーグで、組織のミッションステートメントにもそれは明文化されています。
 
1)We will grow and celebrate the game of basketbal(バスケットボールを育て、称える)
 
2)We understand that the popularity and visibility of our teams, players, and league obligate us to demonstrate leadership in social responsibility(チームや選手、リーグの人気には社会的責任においてリーダーシップを発揮する責務が伴うことを自覚する)

日本におけるスポーツは、教育的価値観が強かったり、部活カルチャーなどがあって、競技軸が非常に強いのですが、これがビジネス的には顧客層を狭く定義してしまったり(純粋に競技が好きな人しか見て楽しめない環境になっている)、ファン層の競技間の重複をなくしてしまう(野球ファンはサッカーを見ない、サッカーファンは野球を観ない)などの弊害を生んでいます。

日本でも競技軸を超えた付加価値を提供する視点がもう少し強くなれば、スポーツを支える環境もまた違ったものになるかもしれません。

愛媛FCの「ストライカー・ファンド」

J2の愛媛FCが何やら面白い取り組みをしています。その名も「ストライカー・ファンド」。

サポーターから広く出資金を募り、その原資でストライカーを補強し、J1昇格に向けた課題の1つである得点力を補うのが目的だそうです。以下のイラスト、分かりやすいですね(笑)。


寄付とも募金とも違う、新しい形のコミットメントとでも言いましょうか。過去に、ヴェルディもファンドを組成して出資金を募るという取り組みはやっていましたが、選手補強を目的にしたファンドは、アメリカでも聞いたことがないですね。

似ていると言えば、NFLグリーベイ・パッカーズの株式公開でしょうか。株式公開と言っても、厳密に株式市場に上場している訳ではありません。実態は、疑似株式を発行して資金を募り、それをスタジアムの改築費用の足しにしているわけです。株主に配当があるわけではなく、強いて言えば「チームの一部を保有している」という気持ち、プライドがリターンと言えるかもしれません。

パッカーズの球団株式追加発行に賛否両論」「NFLのオーナーになりました!」などでも書きましたが、私もパッカーズの増資で株式を購入しています。興味本位で購入したのですが、「購入する」という行為がコミットメントを生むので、無意識的にパッカーズを応援してしまうようになります(笑)。行為がブランドへの好意形成の後押しをしているんですね。この辺は心理学的に説明できるはずです(以前、そのような話を聞いた覚えがあります)。

ちなみに、この「ストライカー・ファンド」ですが、既に1000万円以上の出資を受けているそうです。今月末までが申込の締切だそうですので、本気で愛媛FCにコミットしたい人はもちろん、スポーツビジネスを勉強している人は、実際に当事者になってみるという経験は大切ですので、いかがでしょうか?

※念のために最後に付記しますが、私はこのファンドとは無関係であり、私にコミッションなどが支払われるということはありません。
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